唐松林の中に小屋を建て、晴れた日には畑を耕し雨の日にはセロを弾いて暮したい、そんな郷秋<Gauche>の気ままな独り言。
郷秋<Gauche>の独り言
カメラの種類と特徴を整理しよう(その2)
昨日に続いて、デジカメ、コンデジ、デジタル一眼レフ、デジイチ、デジタル一眼、マイクロ一眼など色々な呼び方のあるデジタルカメラを、カテゴリ毎にその特徴を初心者にも判りやすく紹介しようと云う「カメラの種類と特徴を整理しよう」の第2回目、いよいよ今話題のデジタル一眼レフの登場です。中・上級者、あるいはカメラにはまったく興味のない方はどうぞ読み飛ばしてください。
デジタル一眼レフ
フィルムの時代からあった一眼レフを元に、撮像体をフィルムからCCDやC-MOSと云ったイメージセンサーに置き換え、イメージセンサーによりデータ化された画像をCFやSDと呼ばれるカードに記録する形式にあたらためたものです。一見したところ、カメラの裏面(撮影者側)にモニターがある以外はフィルム方式の一眼レフと大きな違いはないように見えます。事実、海外のメーカーの製品が中心で非常に高価ですので一般的ではありませんが、フィルムとイメージセンサーを使い分けることの出来るハイブリッド一眼レフも存在します。
このタイプの最大の特徴は、撮影に使用するレンズを通りミラーとプリズムで反射させた、事実上撮影時と同一の被写体の映像をファインダーで確認することが出来ることです。これによって正確なフレーミングと精度の高いピント合わせ、露出の調整が可能になります。またレンズ交換が可能なことから、まさにカメラの王様と云うことの出来るのがこのタイプです。いまだにフィルムに拘っている以外のすべての写真家、報道カメラマン、写真愛好家がこのデジタル一眼レフタイプのカメラを使っています。
もう一つの大きな特徴は、上にも書きましたがレンズを交換できることです。つまり、被写体の種類や表現意図により魚眼レンズ、広角レンズ、標準レンズ、マクロレンズ、望遠レンズ、超望遠レンズなど、作者の意図を最も的確に表現することが出来るレンズを自由に選択し、使用することができます。また、どのようなレンズを使用していても、撮影されるのと同じ状態の被写体を常にファインダーを通して直接、正確に見ることが出来ます(より正確に書けば、シャッターボタンを押したホンの一瞬だけはファインダーがブラックアウトします)。撮影が上達する毎に、少しずつレンズを買い揃えていくのも一眼レフの楽しみの一つです。
Nikon(ニコン)のD300s、D90、D5000、D3000、キヤノンのEOS 50D、EOS KISS X3などが代表的な機種です。フィルム時代のレンズを使用することも出来ますが、その場合の画角は狭くなります。判り易い表現としては、フィルム時代の標準レンズをAPS-Cサイズセンサーのデジタル一眼レフに装着した場合には焦点距離が1.5倍の75mm相当のレンズとなる事を覚えておく必要があります。なお、ニコンのD5000、D3000にはAF(オートフォーカス)駆動用のモーターが内臓されていませんので、フィルム時代のレンズではAFが作動しませんので注意が必要です。また、より美しい写真を撮るためには、デジタル専用に設計されたレンズの使用が望ましいことを覚えておくと良いでしょう。
なお、ニコン、キヤノンの他に、ソニー、ペンタックス、オリンパスから(マイナーですが、富士フイルム、シグマ、パナソニックからも)同様の製品が発売されていますが、オリンパスの製品はフォーサーズと呼ばれる、APS-Cの半分の大きさのイメージセンサーが使われています。フォーサーズ規格のカメラはボディ、レンズが小型にすることが可能ですが、イメージセンサーが小さいため画質面ではやや不利となります。
価格はボディ本体のみで5万円から20万円程度。35mmフィルムと同じサイズのセンサーを持つプロ用は30万から80万円。ボディの他に別売のレンズが必要です。プロが使う望遠レンズには100万円を超えるものもありますが(このクラスのレンズはニコンとキヤノンのみが製造販売)一般的なレンズは2~5万円、高性能なものでも10万円程度です。初心者向けにはボディとレンズを別々に買うよりもお得なセット商品もあります。レンズを標準セット品より良いものにするという買い方もありますが、その際にはカメラに詳しい方に相談するとよいでしょう。
もうちょっと詳しく:デジタル一眼レフの多くはコンデジに使われている1/2.5インチ型のイメージセンサーよりもはるかに大きい、35mmフィルム(最も一般的なフィルム)の1コマの半分ほどの大きさのAPS-Cと呼ばれるイメージセンサーを使用しています。この大きなサイズのイメージセンサーにより、高画質とポートレートの際のバックに代表される大きく美しい「ボケ」が可能になります。
先の説明で「APS-Cセンサーのデジタル一眼レフに装着した場合には焦点距離が1.5倍の75mm相当のレンズとなる」と書きましたが、フォーサーズ規格のカメラに装着すると、焦点距離100mmのレンズが200mm相当になるなど、レンズに表記してある焦点距離の2倍の焦点距離のレンズとして使用することになり、望遠側には有利な反面、広角側には不利な要素があります。
なお、一眼レフタイプのカメラはレンズ交換ができるのが最大の特徴であると書きましたが、「マウント」と呼ばれるボディ本体とレンズの接合部の規格がメーカー毎に異なるため(富士フイルムはニコンと同じ「Fマウント」を使用しているが、レンズの製造販売はしていないので、レンズはニコン製を使うことになります)、原則としてニコンのレンズをキヤノンやソニー、ペンタックス、オリンパスのカメラに装着することは出来ませんし、その逆も出来ません。つまり、今はキヤノンを使っているけれど、ニコンが欲しくなった時にはボディだけではなくレンズもすべて買い換えなければなならないのです。いずれニコンにしようと思うなら、最初からニコンを買うことをお勧めします。
シグマ、タムロン、トキナーなど「サードパーティー」と呼ばれるレンズ専業メーカーが各社のボディに装着可能なレンズを販売しているのも一眼レフの特徴の一つです。サードパーティー製のレンズは、かつては「安かろう悪かろう」でしたが今ではなかなか魅力的なレンズが廉価で登場していたりもします。ソニーブランドのレンズにはレンズ専業メーカーのOEM製品があったりするほどです。新しいレンズを購入する時にはサードパーティー製のレンズを候補の一つに上げてみるのも良いと思います。
一眼レフと云う名称は、一眼レフが登場する前に全盛期を迎えていた二眼レフと対比するために生まれたものと考えられます。つまり、二眼レフの「二眼」は撮影用に一つ、撮影画像確認(ファインダー)用に一つ、合計二つのレンズを持っていることから「二眼」と呼ばれました。「レフ」の意味は反射(レフレックス)です。撮影画像確認(ファインダー)用のレンズを通した画像をファインダーに導くためにミラーで反射(レフレックス)させていることからこの名前があります。一眼レフの「一眼」と「レフ」の意味をご理解いただいておくと、次回以降の記事の理解も早くなることと思います。
二眼レフの場合には撮影画像確認(ファインダー)用のレンズを通った画像をミラーで90度上方に導きピントグラスに投影させていますから、胸の前に構えたカメラを上から覗き込むようにします。また、レンズを通した画像をミラーで一度方向を変換しただけですからファインダーに写るのは被写体の左右逆像となります。
一眼レフは撮影用のレンズの後ろ(かつイメージセンサーの前)に光の進行方向に対して45度の角度でミラーを置き、さらにミラーの上に配置したプリズムを通して被写体と同じ方向に左右正像が見えるようにしています。このままだとレンズを通して被写体を見ることは出来てもイメージセンサーに画像イメージが到達しませんので、撮影の瞬間だけミラーを上方に跳ね上げ撮影が終わると元の位置にミラーが戻るようになっています。先に「シャッターボタンを押したホンの一瞬だけはファインダーがブラックアウトします」と書いたのはこのためです。
さて、今日はここまで。明日は最近話題の「デジタル一眼」(「レフ」の字が付かない)と「マイクロ一眼」について書く予定ですのでお楽しみに。
「カメラの種類と特徴を整理しよう」シリーズ、掲載予定
■ カメラの種類と特徴を整理しよう(その1)(10/5掲載)
【キーワード:デジカメ / コンデジ / 高級コンデジ / GR / GX200】
■ カメラの種類と特徴を整理しよう(その2)(この記事)
【キーワード:デジイチ / デジタル一眼レフ / D300s / 7D】
■ カメラの種類と特徴を整理しよう(その3)(10/7掲載)
【キーワード:デジタル一眼 / マイクロ一眼 / GF1 / E-P1】
■ カメラの種類と特徴を整理しよう(その4)(10/8掲載)
【キーワード:APS-Cコンパクト / Kマウントコンパクト / X1】
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例によって記事本文とは何の関係もない今日の一枚は、ドングリ。丸いこれはクヌギのドングリ。もう一つ良く見かける細長いドングリはコナラのものです。ちなみに「クヌギ」は「栗似木」(くりにぎ)、栗によく似たという意味で、栗によく似た葉を付けることから名付けられたと云われています。