カメラの種類と特徴を整理しよう(その3)

 デジカメ、コンデジ、デジタル一眼レフ、デジイチ、デジタル一眼、マイクロ一眼など色々な呼び方のあるデジタルカメラですが、ここに来て更に種類が増えてきそうな気配がありますから、ますます混乱してくるのではないでしょうか。そこで初心者やこれからカメラを買おうという方のために、これら色々な呼び方をされているカメラをカテゴリ毎に判り易く解説しようと云うのが「カメラの種類と特徴を整理しよう」です。第3回目の今日は、いよいよ今話題の「デジタル一眼」と「マイクロ一眼」が登場です。中・上級者、あるいはカメラにはまったく興味のない方はどうぞ読み飛ばしてください。

デジタル一眼
 パナソニックは2004年にFour Thirds(フォーサーズ)規格に賛同し、さっそくオリンパスのE-330をベースにしたDMC-L1を登場させ、ついで2007年にはDMC-L10(同じくE-510がベース)を発売しています。ここまでは「デジタル一眼レフ」でしたが、L10の次に登場したDMC-G1、GH-1はレフレックス機構(「その1」を参照してください)を持たないマイクロフォーサーズ規格に準拠したカメラとなりました。そこで登場した名前が「デジタル一眼」です。

 デジタル一眼レフのような格好をしているけれど、レフレックス機構を持たず、ファインダーは撮影用のイメージセンサーの情報を内臓式電子ビューファインダー(EVF)に表示する形式となっています。つまりレフレックス機構がないから「レフ」を外して「デジタル一眼」と名乗ったわけです。ですが、「その1」でご紹介した「コンデジ」はすべて撮影用に一つのレンズを持ったデジタルカメラですから、これらコンデジも云ってみればすべて「デジタル一眼」と云うことになります。

 つまり、「デジタル一眼」と云う名称はG1やGH-1を正しくカテゴライズできていないと云うことですね。このカメラをあえて区別しようとするならば、少々長くなりますが「デジタル方式のレンズ交換可能なEVF内臓型カメラ」となるでしょうか。どうしても「一眼」と云うこと言葉を使いたければ「レンズ交換式EVF一眼カメラ」略して「EVF一眼」ではないかと郷秋<Gauche>は思います。

 問題はG1・GH-1に次いで登場したDMC-GF1です。こちらはG1・GH-1のフォーサーズ規格に対して、レンズマウント径を小さくし同時にフランジバック(レンズマウントからイメージセンサーまでの距離)をほぼ半分に短縮したマイクロフォーサーズ規格を採用し、レフレックス機構を持たないだけではなくEVFを内臓せず、ボディ背面のモニターを見て撮影するようになっています。そのため、G1やGH-1が一眼レフのような格好をしていたのに対して、GF-1はコンデジのような格好をしています。GF-1をあえてカテゴライズするならば「デジタル方式のレンズ交換可能なEVF内臓型カメラ」と云うことになるかと思いますが「レンズ交換式マイクロフォーサーズ・コンデジ」と云うこともできると思います。

蛇足:パナソニックはGF1に「ファッション・ムービー一眼」と云う、いかにも家電メーカー的なキャッチコピーを付けています。初心者に対しては大いに訴求することでしょうが、積年の写真・カメラファンにはそのコピーだけで足を遠ざけさせるのに十分でしょう。

もうちょっと詳しく:このカテゴリは、内臓EVFを持つものとEVFを持たないものではその格好が大きく異なりますが、いずれにしても高級コンデジとデジタル一眼レフの中間に位置します。このカテゴリのカメラとしてはLUMIXの3機種の他にオリンパスのE-P1が含まれますが、こちらは「マイクロ一眼」を名乗っていますが、どちらもマイクロフォーサーズ規格に準拠しています。

 このカテゴリの一番大きな問題は価格です。一眼レフが高価なのはレフレックス機構、つまりレンズとイメージセンサーの間にあって撮影の度に高速で上下するミラーと、ミラーの上部にあってファインダーまで画像を導くペンタプリズムを持っているからです。この高価なレフレックス機構がないのにも関わらずGF1はL10よりも、レフレックス機構とペンタプリズムの代わりにEVFを内蔵したG1よりも高価なのです。この傾向は次ぎの項で説明するオリンパスのE-P1も同様で、このカテゴリのカメラを買う際の最大の障害になっていると云えるでしょう。

 フォーサーズ(Four Thirds)およびマイクロフォーサーズ(Micro Four Thirds)についての詳細はこちらをご覧ください。

マイクロ一眼
 デジタル一眼の項に書きましたように、パナソニックが「デジタル一眼」と称しているのとまったく同じカテゴリのカメラであるE-P1を、オリンパスは「マイクロ一眼」と呼んでいます。マイクロフォーサーズ規格に準拠したレンズ交換式のレフレックスカメラでEVFを内臓しないという成り立ちはLUMIX GF1とまったく同じですが、GF1では外付けEVFが用意されるのに対してE-P1にはその用意がありません。更にストロボも内蔵していません。

 フォーサーズとマイクロフォーサーズ規格はオリンパスが主導して策定したオープン規格ですが、マイクロフォーサーズ規格のカメラの商品化ではパナソニックに先を越されました。その悔しさが「デジタル一眼」ではなく「マイクロ一眼」を名乗らせたものと推測します。

 オリンパスE-P1の最大の特長はそのデザインです。カメラに関して、ほとんど何の伝統もないパナソニックに対して、オリンパスは1936年発売のセミオリンパスⅠ型以来の脈々たる伝統を持ち、特に1959年発売のPEN以降は小型軽量かつ高性能なカメラメーカーとしての確固たるポジションを築いています。その歴史と伝統、デザイン上のアイデンティティを最大限に生かして、更に最新のテクノロジを投入して現代に甦ったPENがE-P1です。まったくの実用品ではなく、半ば趣味のものとして持つカメラを選ぶ際にはこの「歴史と伝統」そしてそれに基づいた新たなデザインは多くの消費者に訴求するものと郷秋<Gauche>は思います。

「カメラの種類と特徴を整理しよう」シリーズ、掲載予定

カメラの種類と特徴を整理しよう(その1)(10/5掲載)
    【キーワード:デジカメ / コンデジ / 高級コンデジ / GR / GX200】

カメラの種類と特徴を整理しよう(その2)(10/6掲載)
    【キーワード:デジイチ / デジタル一眼レフ / D300s / 7D】

カメラの種類と特徴を整理しよう(その3)(この記事)
    【キーワード:デジタル一眼 / マイクロ一眼 / GF1 / E-P1】

カメラの種類と特徴を整理しよう(その4)(10/8掲載)
    【キーワード:APS-Cコンパクト / Kマウントコンパクト / X1】


 さて、例によって記事本文とは何の関係もない今日の一枚は北鎌倉、東慶時の萩。萩は秋の七草としても親しまれる日本の固有種。万葉集では最も多く詠まれた花であると聞いていますが、艶やかな外来種を多数見ることの出来る現在、この地味で奥ゆかしい花の地位は相対的に低下しているように思いますがいかがでしょうか。
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