オリンパスがソニーと資本・技術提携

 予てよりの噂通り、オリンパスがソニーと資本・業務提携を締結したことを、今日、発表した。ソニーは、約500億円でオリンパス株の11.28%を取得し筆頭株主になると共に、取締役1人をオリンパスに派遣するとの報道。具体的には、オリンパスが得意な医療事業(内視鏡)において、ソニーとの合弁会社を設立し、オリンパスの光学技術、ブランド力と、ソニーのデジタル技術などを組み合わせて競争力のある新製品を開発してゆくとのこと。

 カメラ部門についてはオリンパスがレンズなどをソニーに供給し、ソニーはイメージセンサーなどをオリンパスに供給する。主にコンパクトデジタルカメラ分野でレンズやイメージセンサーと云った基幹部品を相互に供給し合い競争力を高めたいとの事。

 さて、このニュースを聞いての郷秋<Gauche>の感想は次の通り。

 地球環境(生態系)や人間社会に多様性が不可欠であるように、産業界においても多様性は欠かせない。カメラ界においては少なくともここ数年前にペンタックスがリコーの軍門に下っており、今回のオリンパスとソニーと資本・技術提携により、それまで4社あったカメラメーカーが実質的には2社に統合されている。多様性が失われているのである。このような多様性の喪失はクルマの世界でも急速に進行しており、A社のB車と、C社のD車は、実は同じシャーシ、同じエンジン、同じトランスミッション、つまり実質的には同じクルマであると云う事が多くなっています。

 例えば、自分とまったく同じ見かけ、まったく同じ考え方の他人がいることを想像してみてください。自分とまったく同じ考え方の人と話をして果たして楽しいでしょうか。時に反論され時に同意される、時に知らないことを教えてもらい時に教えてあげることがあるからこそ会話は楽しいのです。

 植物、昆虫など小動物などにより生態系の豊かな多様性が保たれた畑で育った葡萄で作られたワインには、その多様性が「複雑な味わい」と云う形でワインの中に凝縮される。そのような畑、そのような葡萄で作られたワインこそが美味いのだと云う話しをドメーヌの当主にお聞きしたことがありますが、まったくその通りだと思います。

 人間社会も、違う考えの人がいるからこそ、時に憂鬱なことがあったとしても、それでもバランスのとれた豊かな社会が出来上がる。金太郎飴のような人ばかりでは楽しくも面白くもないだろうと思うのです。

 話が横道に逸れてしましたが私が云いたいのは、オリンパスのロゴがついているけれど、中身はソニー製だとか、あるいはその逆であるようなカメラは必要ない、少なくともオリンパスのブランドが残るうちは、オリンパスのカメラはオリンパスであって欲しい。そのような形でカメラ世界の多様性を保持していくのが、資本を投入する「世界のソニー」の責務であるだろうと郷秋<Gauche>は思うのです。


 例によって記事本文とは何の関係もない今日の一枚は、たしか「スズメガ」だったと思うが、ようするに蛾の幼虫。青虫と云うか、黒虫。「これ、可愛いでしょう」と見せてくれたのは昆虫学がご専門の女性。可愛いかどうかは別にしても、この色遣いのセンスがなかなかのものであることには同意する。

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