ニコンD600は本当に軽量かつコンパクトなのか

 昨日、Nikon(ニコン)から「フルサイズイメージセンサーを持つDSLRとしては最小最軽量かつ最廉価であるD600」が発表されたことを書いた。これはもう、何をおいても書かざるを得ないほどの、今年のカメラ界における重大なニュースの一つなのだが、冷静になってその大きさ重量を確認してみると、ホントに軽量かつコンパクトなのかと云う疑問が湧いてくるのもまた事実ではある。

 確かに、146×123×81.5mm、1000gのD800と比べれば幅が5mm、高さが10mm小さく(奥行きは0.5mm大きい)、150g軽い。しかしだ、それはあくまでもD800と比べればの話であって、古今東西のSLRの中で最高傑作であることを誰もが認めるニコンF3と比べた時どうなのか。当時、巨大で重過ぎると云われたF3は148×101×69mm、760gである(もっとも一般的なF3HPの場合)。

 F3HPと比べると、D600は幅こそ7mm小さいが、高さは23mm、奥行きは13mmも大きく、90g重いことになる。今どきフィルムを使うカメラとデジタルカメラを比較することに意味があるのかと云う意見もあるだろう。たとえ比べるにしても、F3とではなく、F5あるいはF6と比べるべきだろうとの主張も多いことだろう。でもだ、郷秋<Gauche>がD600と比較したいカメラはF4でもF5でも、F6でもなく、実はEMなのである。

 ニコンが、D600はフルサイズなのに小さく軽いと主張するならば、文字通り35mmフルサイズでありながら、世間を「あっ」と云わせた「リトルニコン」ことEMと比較するのがフェアだろうと郷秋<Gauche>は思うのである。

 F3と同じ年に発売となったEMはF3をメインに使用するプロがサブ機として好んで使用した事からもその「出来」を知ることができる名機だが、その大きさと重量は、134.5×86×54mm、460g。時にF3の代役を務めることも出来るフルサイズのEMがこの小ささ、軽さなのである。D600が、フルサイズにしては小さく軽いと主張するのならば、EM並みの小ささ、軽さであって欲しい。先にも書いた通り、フィルムのカメラとデジタルカメラを直接比較するのには無理があるのだとすれば、せめてD3200程度の大きさ軽さでなければ、コンパクト軽量を名乗るのは「詐欺」だろうと思う郷秋<Gauche>であるぞ。


 今日の一枚は、本文中に出てきた名機中の名機、ニコンF3(正確には、チタンの外装を持つF3/T。ブラック塗装のF3/Tが圧倒的に多い中で、チタンの地肌を出したままのこのモデルは「白チタン」と呼ばれる)と、正真正銘、軽量コンパクトなフルサイズ一眼レフ、ニコンEM。
追記:郷秋<Gauche>は程度の良いEMを複数台所有しているが、そろそろ手放そうか思い始めている所なのでいずれオークションに出品することになりそうだ。上の写真には写っていないがFE2(シルバーと黒各1台)も遠からず同じ運命を辿りそうである。

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