ホタルの便りが聞かれるようになった。先週号で松浦孝義さんが書いている刈羽村の「ほたるを観る会」が十三日、刈羽村刈羽のこがね保育所付近で行われた。四十人ほどの住民が参加して、ホタルの光を楽しんだ。昨年までは公民館の主催だったが、今年からは「ラピカ」の主催に変わった。
松浦さんが「Kさん」と書いているのは地元の小林正直さんで、小林さんの解説つきで、「観る会」は行われた。小林さんは、平成九年にこの地区の山崎川にホタルが復活していることに気が付いた。平成十二年からは、ホタルの季節には毎日出掛けて、観察を続けてきたという。小林さんは「ホタルと遊んできた」と謙遜するが、なかなか専門的な解説を聞かせていただいた。
刈羽村では、正明寺や油田、赤田でもホタルが見られるようになったという。この山崎川は水量も多く、砂丘地の湧水を水源にしているため、水質も良く、最もホタルの生育に適しているという。U字溝が敷設されたため、長くホタルの発生はとだえていたが、環境の変化とともに、自然に再発生するようになった。
ホタルは成虫だけが光るのではない。卵も光れば、幼虫も光る。幼虫は四月以降の雨の降る真夜中に、サナギとなるために上陸するのだという。小林さんは、五十匹以上のホタルの幼虫が一斉に光りを放ちながら、U字溝を上がっていく様子を見たことがあるのだそうで、「何とも神秘的な光景だった」という。うらやましい体験だが、熱意を持って観察を続けてきた結果である。
十三日には、山崎川の川上と川下で四十匹ほどのホタルが見られた。葉っぱに止まって光っているメス、ゆっくりと点滅を繰り返しながら飛び回っているオスの姿を見ながら、「こんなペースで暮らせたらいいな」と思ってしまった。
(越後タイムス6月16日「週末点描」より)