玄文社主人の書斎

玄文社主人日々の雑感もしくは読後ノート

ほたるを観る会

2006年06月17日 | 日記


 ホタルの便りが聞かれるようになった。先週号で松浦孝義さんが書いている刈羽村の「ほたるを観る会」が十三日、刈羽村刈羽のこがね保育所付近で行われた。四十人ほどの住民が参加して、ホタルの光を楽しんだ。昨年までは公民館の主催だったが、今年からは「ラピカ」の主催に変わった。
 松浦さんが「Kさん」と書いているのは地元の小林正直さんで、小林さんの解説つきで、「観る会」は行われた。小林さんは、平成九年にこの地区の山崎川にホタルが復活していることに気が付いた。平成十二年からは、ホタルの季節には毎日出掛けて、観察を続けてきたという。小林さんは「ホタルと遊んできた」と謙遜するが、なかなか専門的な解説を聞かせていただいた。
 刈羽村では、正明寺や油田、赤田でもホタルが見られるようになったという。この山崎川は水量も多く、砂丘地の湧水を水源にしているため、水質も良く、最もホタルの生育に適しているという。U字溝が敷設されたため、長くホタルの発生はとだえていたが、環境の変化とともに、自然に再発生するようになった。
 ホタルは成虫だけが光るのではない。卵も光れば、幼虫も光る。幼虫は四月以降の雨の降る真夜中に、サナギとなるために上陸するのだという。小林さんは、五十匹以上のホタルの幼虫が一斉に光りを放ちながら、U字溝を上がっていく様子を見たことがあるのだそうで、「何とも神秘的な光景だった」という。うらやましい体験だが、熱意を持って観察を続けてきた結果である。
 十三日には、山崎川の川上と川下で四十匹ほどのホタルが見られた。葉っぱに止まって光っているメス、ゆっくりと点滅を繰り返しながら飛び回っているオスの姿を見ながら、「こんなペースで暮らせたらいいな」と思ってしまった。

越後タイムス6月16日「週末点描」より)



日本自費出版文化賞

2006年06月17日 | 日記
 うれしい知らせだった。昨年の新潟出版文化賞で優秀賞を受賞した「石黒の昔の暮らし編集会」(大橋寿一郎編集責任者)による『ブナ林の里歳時記 石黒の昔の暮らし』が、今度は日本自費出版文化賞で見事「地域文化部門」の部門賞を獲得したのだ。全国区での価値ある受賞だ。
 日本自費出版文化賞は今年で九回目。よく続いてきたと思う。発足当初は運営に大いに関わらせてもらった。ところがタイムスの仕事を引き継いでからは、時間的な余裕もなく、三年ほどサボらせてもらっていた。しかし、このところ、また少しずつ復帰しつつある。
 日本自費出版文化賞への応募については、大橋さんの依頼で代行させてもらった。推薦文も私が書いたので、思い入れも深く自分のことのようにうれしい。四月十五日に東京八王子で開かれた第二次選考会では審査の場に立ち会っている。
 実はその場で感触を得ていた。地域文化部門の担当に、滋賀県彦根市のサンライズ出版の岩根順子さんという人がいて、彼女から高い評価をもらっていた。サンライズ出版は、琵琶湖周辺の歴史や文化を掘り起こした、質の高い出版活動を続けている会社で、岩根さんの地域文化誌に対する目は確かである。
 最終選考は、歴史学者の色川大吉氏、ルポライターの鎌田慧氏、詩人の秋林哲也氏、作家の中山千夏さんなど錚々たるメンバーによって行われた。このメンバーも設立当初から変わっていない。私は最終選考者の評価を信頼していたので、自信を持っていたのだ。予想通りの受賞であった。
 七月十五日に東京のアルカディア市ケ谷というところで授賞式が行われる。一昨年、高柳町石黒の大橋勝彦さんが文芸部門で入賞した時も参加している。今年も参加させてもらうことにしよう。

越後タイムス6月9日「週末点描」より)