十日町市で気になる動きがある。過去三回開かれたアートトリエンナーレ「大地の芸術祭」も随分気になっていたが、次は民間主体での開催ということになったようだ。それでも第四回目では、十日町市と津南町で一億円を負担するということだが……。
合併で隣りの市になったせいもあり、友人、知人が多くいることもあって、十日町市のことは気になって仕方がない。新しい動きは「大地の芸術祭」と密接にからんでいる。昨年の「大地の芸術祭」に初めて登場した「妻有焼」に、そのことは関係している。
田口十日町市長が先日の記者会見で、「妻有焼」を十日町の新しい産業として、地域活性化の目玉にする計画を発表したのだった。市が主体となり、六千万円を注ぎ込んで、廃校となった小学校を改造し、陶芸設備をそろえ、陶芸センターをつくるというのである。
「妻有焼」は東京在住のある陶芸家が、十日町の土に惚れ込んで、昨年の「大地の芸術祭」で発表したもので、もとから地域にあったものではない。市長はその陶芸家個人の可能性に期待しているようだが、「週報とおかまち」によると、「軌道に乗る見通しはあるのか」「全国でそのような成功例はあるのか」との記者の質問に、市長は「取り組んでみなければ分からない」と答えたという。
五月十八日号の「タイムス抄」でも書いたが、文化創造に対する行政の介入や過度の支援には反対である。特定の陶芸家に行政が肩入れすることに大きな疑問を感じる。産業振興のためというなら、その陶芸家が「妻有焼」を自立的に興し、軌道に乗る見通しが立ってから支援すべきであって、失敗したら税金の無駄遣いである。税金というものは、もっと公平な使われかたをしなければいけない。
その陶芸家は十日町の土を「最高の土だ」と言っているそうだが、地元の陶芸家は「そんなことはない」と言っているという。また柏崎出身のある陶芸家は「十日町の土がそんなにいいなら、窯業のまちとして栄えていたはず。昔から陶器で有名なところは、どこもその土がよかったからだ」と言っている。何かおかしい。他山の石としなければならない。
合併で隣りの市になったせいもあり、友人、知人が多くいることもあって、十日町市のことは気になって仕方がない。新しい動きは「大地の芸術祭」と密接にからんでいる。昨年の「大地の芸術祭」に初めて登場した「妻有焼」に、そのことは関係している。
田口十日町市長が先日の記者会見で、「妻有焼」を十日町の新しい産業として、地域活性化の目玉にする計画を発表したのだった。市が主体となり、六千万円を注ぎ込んで、廃校となった小学校を改造し、陶芸設備をそろえ、陶芸センターをつくるというのである。
「妻有焼」は東京在住のある陶芸家が、十日町の土に惚れ込んで、昨年の「大地の芸術祭」で発表したもので、もとから地域にあったものではない。市長はその陶芸家個人の可能性に期待しているようだが、「週報とおかまち」によると、「軌道に乗る見通しはあるのか」「全国でそのような成功例はあるのか」との記者の質問に、市長は「取り組んでみなければ分からない」と答えたという。
五月十八日号の「タイムス抄」でも書いたが、文化創造に対する行政の介入や過度の支援には反対である。特定の陶芸家に行政が肩入れすることに大きな疑問を感じる。産業振興のためというなら、その陶芸家が「妻有焼」を自立的に興し、軌道に乗る見通しが立ってから支援すべきであって、失敗したら税金の無駄遣いである。税金というものは、もっと公平な使われかたをしなければいけない。
その陶芸家は十日町の土を「最高の土だ」と言っているそうだが、地元の陶芸家は「そんなことはない」と言っているという。また柏崎出身のある陶芸家は「十日町の土がそんなにいいなら、窯業のまちとして栄えていたはず。昔から陶器で有名なところは、どこもその土がよかったからだ」と言っている。何かおかしい。他山の石としなければならない。
(越後タイムス6月1日「週末点描」より)