玄文社主人の書斎

玄文社主人日々の雑感もしくは読後ノート

蚊に強くなる秘策

2013年08月02日 | 日記
 まだ梅雨はあけていないが、間歇的に暑い日が続く。去年から、暑くても冷房を必要としない部屋を発見したので、夏になると事務所から資料ごとその部屋に引っ越しをする。資料が飛んでしまうほど風が入る日もあって、絶好の避暑地なのだ。
 夜も風通しの良い部屋で寝ているので、冷房は必要ない(というか、寝室に冷房はない)。しかし、網戸を閉めていても、甲虫は入ってくるわ、時にはコウモリが飛び込んでくるわで賑やかだ。なかでも辛いのは蚊に刺されることである。
 昨年、蚊取線香も焚かないで、三晩蚊に刺されっぱなしになったことがある。酔っていたのか、疲れていたのか、蚊が刺しに飛んできても、面倒臭くて何の対策も立てることなく放っておいた。しかも、虫も殺せない性格なので、血を吸いに来た蚊を掌でピシャリとたたきつぶすこともできず、ボコボコに刺されて、三日間不眠の夜を過ごした。
 しかし、その後驚くべき現象が起きたのであった。蚊に対する耐性ができたのである。蚊に刺されてもさほど痒みを感じなくなったのだ。刺された痕が腫れても、キンカンを一塗りすれば腫れもすぐに引っこんでしまう。だから今夏も、一度も蚊取線香を焚いていない。
 テレビで東南アジアの男性が、全身を蚊に刺されても平気でいる様子を見たことがあるが、あれは本当だったのだ。人間の体はよくできている。ワクチンや注射で伝染病に対する抗体をつくるように、蚊に刺され続けることで、蚊の唾液に含まれる痒みを引き起こす物質に対する抗体をつくるのだ。
 蚊対策として、人様にお奨めできる方法ではないが、非常に経済的な方法ではある。キンチョーさんには申し訳ないが……。

越後タイムス7月25日「週末点描」より)

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誰もが驚いた

2013年08月02日 | 日記
 原子力規制委員会の新安全基準施行に間に合わせようという、東京電力による安全審査申請表明と、それに対する会田市長と泉田知事の対応について、大きく見出しを立てて書こうと思ったが、全国版ニュースで詳しく流されているので、見出しを立てるのをやめた。しかし、書いておきたいことがある。
 会田市長は「驚いた」と言っていたが、誰もが驚くだろう。チェルノブイリ事故と同じレベル7の事故を起こし、今もなお、事故収束の目途も立たず、福島からの避難者約十五万人が全国で不自由な生活を強いられているというのに、当事者である東京電力が手を挙げるとは誰も思わなかったに違いない。
 少なくとも八日の申請開始に他電力と一緒に申請を行うのではなく、一番最後に“申請させてもらう”というのが事故の当事者として、まっとうな態度ではなかっただろうか。しかも、地元に何の説明もなしに表明を行ったのでは、泉田知事でなくても怒るのは当然のことであろう。
 東京電力の謝罪の言葉、反省の言葉は、何度も何度も聞いた。それにも拘わらず、地元住民よりも企業の論理を優先させるのは、大企業に染みついた体質のようなもので、今回の事故によってさえそれが改まらないのであれば、今後も改まることはないだろう。
 しかし、再稼働へのハードルは、地元の不信感の増幅で更に高くなったと言える。会田市長は「信頼関係を損ないかねないもの」と言ったし、泉田知事にいたっては「嘘つき」呼ばわりまでした。会田市長はフィルター付きベントの事前了解申し入れ文書を受け取ったが、泉田知事はこれを拒否した。
 誰もが“驚いた”東京電力の安全審査申請表明は裏目に出た形となった。

越後タイムス7月10日「週末点描」より)

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地方銀行の行方

2013年08月02日 | 日記
 銀行の“預貸率”というものがあって、貸出残高を預金残高で割った率のことを言う。バブル期にはこれが一○○%ということもあった。つまり、預金者から集めたお金を全部貸し出しに回していたということである。当然貸出金利息の方が預金利息より大きいから、それだけ儲かったわけだ。
 この預貸率が日本ではバブル期以降下がり続けていて、特に大都市よりも地方の方が低くなっている。地方の景気低迷で借り手がいないからだ。地方銀行では預貸率が五○%を切っているところもある。これで商売になるのだろうかと思ってしまうが、銀行は国債を中心とした有価証券運用でしのいでいるのだ。だから、地方銀行の方が有価証券運用の比率が高いという。
 ところで地方銀行では預金が少しずつ増えていって、貸出金が少しずつ減っていく傾向が続いている。心配になってしまうが、預貸率が一挙に改善される可能性があるという話を聞いた。なぜかと言うと、地方銀行の預金がある時一斉に、都市銀行に移行する日がくるからだ。
 つまり地方銀行の預金の多くは高齢者、それも高度成長期に多くかせいだ現在の高齢者のものであり、彼らが死んでいく時、その預金は田舎を出て大都市で暮らす彼らの子供達の預金へと移行するということに他ならない。
 そういう時代に、地方銀行はどうするのだろう。今まで潤沢に集めることのできた預金を集められなくなるではないか。貸出金の原資も少なくなるし、有価証券を運用して利益を確保することもできなくなる。
 まあ、縁のない世界の話だから、要らぬ心配かも知れない。しかし、地方の人口減少と都市集中は近い将来、劇的な影響を及ぼしかねないということを意味するのかも知れない。

越後タイムス6月25日「週末点描」より)

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