7月8日新潟日報メディアシップ2階日報ホールで、批評家の若松英輔氏の講演会「水俣病は終わらない~水俣病患者のコトバに耳をかたむける」が開かれる。主催は新潟水俣病阿賀野患者会。午後1時30分~3時30分(開場午後1時)。入場無料。問い合わせは025-244-0178。
演題は「石牟礼道子『苦海浄土』から新村苑子『葦辺の母子』へ」。『苦海浄土』は言わずと知れた、水俣病の現実を熊本弁を駆使して書いた日本の文学史上に残る大傑作である。『葦辺の母子』は『苦海浄土』に触発されて、新潟水俣病について、差別と偏見に翻弄される患者たちの運命を描いた連作短編集である。
新村苑子は「北方文学」の同人であり、2010年から新潟水俣病に関連する短編を「北方文学」に書き続けてきた。2012年に『律子の舟』を「新潟水俣病短編小説集Ⅰ」として刊行、2015年には続編の『葦辺の母子』を刊行した。『律子の舟』は2014年度、第17回日本自費出版文化賞で小説部門の部門賞に輝き、同じく第7回新潟出版文化賞では選考委員特別賞(新井満賞)を受賞した。
玄文社としては新村苑子の本が若松氏によって、石牟礼道子の傑作と並べて紹介されるということが、とにかく光栄なことである。どちらの本にも帯文に「新潟弁で書かれた『苦海浄土』」との言葉を使った者として、若松氏の講演を楽しみにしている。