Law&Orderは、シーズン18の最終回から、司法制度の中に潜む
問題点をあぶり始め出したように見えます。
シーズン19の第7回では認知症判事についてです。
ところで、アメリカには連邦の裁判所と州の裁判所の二つの体系があります。
このうち連邦裁判所の判事については憲法で身分が保障されており、定年は
ありません。
たとえば、女性としては二人目のギングリッチ判事は1933年生まれですが、
今も現職です。
州裁判所は州によって違いますが、Law&Orderのニューヨーク州の場合は
一応14年任期、70歳定年となっているようです。
ところが、70歳になっても、即退職というわけではなく、3年を2回延長すると
いう選択権があるようです。わかりやすくいうと再雇用のようなものなんでしょうか。
実は2回延長というのもはっきりしておらず、今までの最高が2回だったということの
ようです。
さて、アメリカも高齢社会です。70歳になってもまだまだ元気な人が多いです。
早く引退して、ゆっくりと老後をエンジョイするのが理想だったアメリカですが、
今のように高齢化すると、仕事を辞めてもその後の長い老後、何もすることがない、
できる限り仕事を続けたいと考える人も多いようです。
判事職は、地位も名誉もあり、収入もあるので、とても魅力的なのでしょう。
さて、Law&Order、70歳になった判事が事件の担当者となりました。
検事のカッターは、どうもおかしい、認知症ではないかと疑います。
事件そのものは、カッターに有利に進行しています。というのは、担当の書記官が
カッターに好意を寄せているからです。カッターは正義の塊のような人ですから、
どうも書記官の言いなりではないかと感じるのです。
しかし、当然、書記官も自分がコントールしているなどと認めるわけにはいきません。
法廷でも、書記官が立ち合うので、書記官が判事にメールを送っているようなのです。
目の前のパソコンの画面をみて、判事は、そのまま読み上げるというわけです。
カッターは正攻法で、認知症の判事の交代の申立をします。
しかし、申立を受けた他の判事は、同じ仲間です。自分も同じ立場になるかもしれない
というわけで、認めません。むしろ、カッターを口汚くののしり悪者にしてしまいます。
これはドラマですから、カッターは実力行使?に出ることを決意します。
法廷で、実態を暴くしかないというわけです。
相手、すなわち被告人の弁護士と組んでひと芝居打つのです。
担当書記官を証人席に着かせざるをえないよう進めます。上手くいきました。
さてさて、書記官は証人席からはパソコンがないので、メールを送れません。
判事は認知症ですから、何もできません。証人席から、書記官が指示を出します。
公開の場で、暴露されたのです。
ということで、判事は自らの意思で辞めることになり、目出度しでした。
なお、カッターは強硬手段に出る前に、判事に辞めるよう促しますが、本人いわく。
妻に先立たれ一人だとか、こどもとは上手くいかないとか、自分はこの仕事が好きだ、
などなど・・・
書記官はというと、判事が辞めたら、自分の仕事もなくなる、自分の生活のために
判事が必要というわけなのです。
また、前述したとおり、他の判事もいつかは自分の身に降りかかることです。
仲間ですし、何よりも自分のためにも、頑張ってもらった方がいいわけです。
特権が与えられると、腐敗してしまうのはどこの社会も同じです。
その結果、公正であるべき裁判がゆがめられているのです。
Law&Orderがこういう形で取り上げたのは、判事仲間のかばい合いが、
耐え難いほどの害を及ぼすようになったからではないかと推測します。
日本でも、検察の問題が村木事件をきっかけに暴かれました。
裁判所にもあるはずです。
最近、その判決おかしいんじゃないとか、その裁判所のやり方おかしいんじゃないと
思うことが多くなりました。
また、弁護士会がおかしいことも書きました。
同じ制度が長く続くと、腐敗するということだと思います。
戦後70年、政治に始まり、すべてが、機能不全になっています。
制度というものの宿命なのだと思います。
ガラガラポンの時期になっているのですね。
さて、アメリカですが、自浄能力は?
最近は、高齢化でも、バブル崩壊でも、その後のリセッションでも、そして
この東日本大震災の際の原発事故でも、日本が問題の先進国になっています。
裁判所の世界でも、Law&Orderでアメリカの問題として取り上げられたことは、
日本では、とっくの前から、知る人ぞ知るということではないでしょうか。
アメリカではLaw&Orderという形でそれが明らかにできたということが、
アメリカのアメリカたるところ(開かれた社会)ということだと思います。
大きな問題提起のシーズン19の7でした。
(後記)なお、ブログを書くにあたって調べたところ、このころ、70歳を超えても
3年2回延長の権利を行使した判事が実際にいたようです。
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今日はオフィスの受付からです。
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