今回の旅行はシチリアがメインでした。
シチリアは、大まかに見て、フェニキア、ギリシャ、ローマ、ビザンツ、アラブ、
ノルマン、スペイン、フランスの支配を受け、1860年イタリア王国に併合されて
イタリアとなるという2000年以上にわたる複雑な歴史を持っている。
支配者が変わるごとに異なる文化が持ち込まれてきた。
今シチリアを訪れると、いろんな、しかも素晴らしい文化遺産が残されていて、
観光客を魅了してくれる。
18世紀末にシチリアを訪れたゲーテは「シチリアを理解することはあらゆる文明を
理解すること、つまりここは人類文明理解のためのカギである」と語ったという。
ただ、そのような環境のもとで、普通の人々はどのように生きていた、生きてきたの
だろうか?
自分たちに何のかかわりもなく、一夜にして支配者・国が変わり、いろんな価値感が
変わる。
たとえばノルマンのルッジェーロ王はパレルモにあった300を超えるモスクを
たった一夜にして壊してしまったという。
何を基準に、何を信じて生きていたのだろうかと思う。
支配が変わるときには、当然、普通の人々を巻き込んだ激しい戦争があったわけである。
今、紛争の真っただ中にある中東地域について、住んでいる土地を捨てて逃げるしかない
普通の人たちは何を信じて生きているのだろうかと思う。
シチリアでは伝統行事のほとんどが宗教行事だという。
棕櫚の主日の行進の参加者を見ても、普通の人のように見える。
フランシスコ・ローマ法王が平和を訴えていますが(法王は私たちの旅行の2、3日前に
ポンペイ、ナポリを訪問)、特に宗教というものを信じていなくとも、
普通の人・庶民に視点をあてると平和を祈るしかないのかなと思う。
今も昔も庶民は平和を祈りながら家族の絆を第一に生きているのかも知れないなどと
取り留めもなく考えている。
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これはヴェスヴィオ山である。
ナポリ港では曇って見えなかった山頂ですが、シチリアから帰ったときは雄大な姿で迎えてくれました。
山頂は2つの峰からなっているのですね(噴火による)。
エトナ山もそうでしたが、平地から山すそが大きく広がっているのが印象的でした。
何もかも忘れてゆったりした気分になりますね。
(2015年3月31日車窓から)