ゴエモンのつぶやき

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人が集まらなくなった福祉現場

2007年05月16日 10時42分25秒 | 制度の話し
福祉の人材が集まらない状態が顕著に出始めて来ているようです。
このままでは、私達障害者は「生きては行けるが、生活は出来ない」状態になりそうな感じです。
介護職の給与保障を国はするべきだと思います。


人が集まらなくなった福祉現場
政策的な誘導が不可欠下川 悦治(2007-05-15 11:45)
 2006年(平成18年度)の介護保険制度改正により、介護報酬が減らされました。そのため、どこの事業所も人件費削減と、さらなる報酬削減が繰り返されています。
 
 厚生労働省が社会保障審議会福祉部会に提出した資料によると、賃金は、非常勤で13万円~15万円。常勤で17万円~20万円程度です。そして、介護労働者の7割が賃金に対して不満と感じているようです。対人援助という高度な専門性が求められる仕事であるにも関わらず、あまりにも評価が低いことが原因でしょう。



介護労働者賃金厚生労働省資料 介護労働安定センターの「事業所における介護労働実態調査(2004年度)」によると、離職率は正社員が16.9パーセント、非正社員が22.7パーセントと、全労働者より5パーセント以上、上回っていました。

 このような高齢者福祉分野を中心とした労働条件の悪化は障害者福祉にも波及してきました。原因は障害者自立支援法による報酬減です。それにともない、私が運営にかかわっている複数の法人でも、非常勤職員の比率を増やしたりしましたが、今度は人が集まらなくなりました。

障害者分野での待遇悪化

 昨年4月に施行され、10月から全面実施となった障害者自立支援法では、報酬単価が削られ、さらに月払いから日割り計算法式となったことで、大幅な減収となりました。障害者には、毎日通所できない人も少なくありません。精神障害者も同様です。日払いになると、その日に実際に来た人に対してのみの報酬になるので、施設は、ひと月の利用人数を稼ぐために、土曜日開所や登録人数を増やすなどの対策をします。それにより、職員の負担はさらに増えています。


障害者分野はもともと運営基盤が脆弱(ぜいじゃく)です。私が運営にかかわっている社会福祉法人でも、昨年度、3人が退職しましたが、その理由は賃金の低さと将来の見通しのなさでした。バザーなどで資金稼ぎをし、賃金の補填(ほてん)なども行っています。この収益の一部で、定期昇給分を確保しているというのが現状です。一方で、バザーの準備もかなり大きな負担となっています。

 2006年10月に全国福祉保育労働組合障害種別協議会が発表した調査結果によれば、4月以降、「賃金の減給があった」と答えた職場は48パーセント。減給の場合、その内訳は本俸引き下げが20.9パーセントとなっている。さらに、職員構成については、職員数が「減った」と回答した職場は39パーセントとなっている。知り合いの社会福祉法人には、求人広告費の予算を計上したところもあります。

ツケは国民に。増える非常勤職員

 介護職員に占める非常勤の介護職員の割合はおおむね増加しており、2005年(平成17年)で約42パーセント。事業所の種類別でみると、非常勤の介護職員の割合は増加しています(厚生労働省社会保障審議会資料による)。さらに、社会的な求人状況の好転から、福祉系の学校を卒業した人にも福祉現場は敬遠されています。

 国は、準介護福祉士というのを制度化して、外国からの労働者受け入れも可能にしました。しかし、安上がりの福祉を狙う政府の姿勢に厳しい批判の声が出ています。

 高齢者施設での虐待なども起きていますが、少ない職員しか配置できない仕組みや専門性を重視しない方向性、そして、なによりも人件費削減などの原因で人材が集またないのが実情です。モラルのみ強調し、問題をそらしている政府とマスコミ。こうした実情のツケが、すべて国民に返ってくるという認識をしないと、福祉はいつまでも「善意」の延長のものでしかありえないでしょう。国の政策として、魅力的な福祉の現場を整備することが急務なのではないでしょうか。