直方市永満寺の福智山ろく花公園で5日、視覚障害者と健常者が一緒に山登りを楽しむグループ「やまぼうしの会」(古野貴史会長、約20人)が、桜の苗木を植えた。神奈川県から取り寄せた、香りの強い品種「春めき」で、メンバーは木が成長して、目の不自由な人にも春を知らせる日を心待ちにしている。
自身にも全盲の子供がいる花公園園長の田丸雄二さん(69)が春めきを知ったのは、3月16日付の毎日新聞夕刊。神奈川県南足柄市の農園経営、古屋富雄さん(62)が、自ら開発した春めきの苗木を視覚障害者向けに届けていることを記事で読んだ田丸さんは、古屋さんに連絡して苗木の提供を受け、やまぼうしの会に贈った。
この日、苗木を植えたのは花公園の駐車場と園内の花園、隣接する「紅葉の森」の計3カ所。枝の感触を手で確かめながら、土をかけ、施肥をして木の成長を祈った。やまぼうしの会副会長の高松久さん(59)は「目が見えないので桜の開花は分からないが、香りで開花が想像できるといいですね」と話した。
やまぼうしの会は地元の点訳サークルと視覚障害者の交流会を機に1999年に発足。メンバーを募集している。問い合わせは事務局の河原敏彦さん0949・26・2936。
〔筑豊版〕 毎日新聞 2015年04月06日