県選管は今回の県議選で初めて、視覚障害者向けの選挙公報を導入する。点字版約1600部のほか、CDに録音された音声版約3100部、視力の弱い人向けの拡大文字版650部を作成し、9日に各市町村の選管や福祉事務所などに配布する。
県選管によると、これまでも目の不自由な人のための選挙公報は国政選や知事選で作成。候補者が多く、告示日から投票日までが短い県議選では導入を見合わせていたが、障害者団体などからの要望や請願があり、実施を検討していた。
点字の選挙公報の作成を委託された障害福祉サービス事業所「神奈川ワークショップ」(藤沢市獺郷おそごう)では、視覚障害者や職員ら約30人が急ピッチで作業を進めている。先月末から候補者の名前や政策を点訳し、「わたし」と「わたくし」など漢字の細かな読み方まで確認しながら、3度の読み合わせを行って校了。亜鉛版やプラスチック版に点字を打ち込み、それを紙と一緒に機械に挟み込んで印刷している。
印刷作業を行う視覚障害者の松井俊貴さん(53)は「私たちにとって、点字の資料はなくてはならないもの。投票時に困ることが何度もあったが、今回は投票に行くのが楽しみ」とうれしそうに話した。
点字が使われている県議選の選挙公報