ゴエモンのつぶやき

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民生委員活動の課題はICTで解決できる--佐賀県の森本CIO

2015年04月17日 11時02分20秒 | 障害者の自立

 県庁職員のテレワーク環境 整備救急車へのiPad 導入など、行政におけるICT活用の先陣を切る佐賀県が、今度は、行政と地域住民の“つなぎ役”である民生委員・児童委員活動へのICT導入について検討を進めている。

 民生委員は、地域住民の生活状況を把握し、高齢者世帯や障害者世帯の見守りや、援助が必要な住民の相談を聴いて行政窓口を案内する役割を担う。独居老人の孤独死対策、災害時に避難援助が必要な世帯の把握など、高齢化が進む日本において民生委員活動の重要性が増している一方で、個人情報保護法の影響や委員のなり手不足により、業務負担が重くなっていることが問題になっている。

 佐賀県では、民生委員の負担軽減を目的に、業務へのタブレット端末導入の検討を開始。2014年2月から2015年3月にかけて、同県と佐賀市、佐賀市民生委員児童委員協議会、インテル、日本マイクロソフト、NTTドコモ、佐賀市に本社を置くシステム開発事業者の木村情報技術の7者で協働し、佐賀市内本庄地区の民生委員22人にタブレット端末を配布する実証研究を行った。

 実証研究では、インテルがWindowsタブレット端末、日本マイクロソフトがクラウドサービス(Windows Azure)、NTTドコモがLTEサービスを無償提供。木村情報が、民生委員の業務に特化した専用アプリケーションの開発と、クラウドおよびタブレット端末への実装を担当した。

 同取り組みの発起人である佐賀県の森本登志男CIO(最高情報統括監)は、「さまざまな行政業務で民生委員の人たちを関わる中で、民生委員の業務課題の解決は、ICTの得意分野だと気付いた」と話す。

 まず、これまで紙で作成していた活動報告書をアプリ上でデジタル化し、集計作業を自動化した。活動報告書は、民生委員自身が、毎日の相談内容ごとの訪問件数を記録し、月1回集計して市の事務局に提出するものだ。毎日の記録と集計作業に手間がかかり、手計算による集計ミスも散見されていたとする。アプリでは、相談内容を選択し、件数を指定することで入力、集計がが完了する。各委員の活動記録は市事務局に共有されるため、提出の手間も省かれる。

 また、佐賀市の民生委員は、災害発生時などの避難支援や、訪問先の位置と世帯状況を可視化する目的で、これまで、地図上に要支援世帯の位置と状況を色別に記した資料を作成してきた。プライバシー保護の観点から、地図に直に印をつけることはせず、地図に透明シートを重ね、シート上に色シールを貼る決まりになっている。世帯の状況が変わった際には、シート上のシールをピンセットで剥がして張り替えるという。民生委員、福祉員、自治会長で共有するために同一資料を3部作成していた。

 今回の実証研究では、Microsoftの地図サービス「Bing Map」と連携した住民情報管理機能を構築し、この地図資料をデジタル化した。アプリに住民情報を登録すると、地図上に世帯の状況が色別に表示される。データはクラウド上で管理し、タブレット端末には情報が残らないため、情報管理の安全性も向上する。

アプリ上で、住民からの相談内容に関連する福祉サービスを検索できる

 さらに、家庭訪問時に持ち歩いていた行政サービスに関する大量のパンフレットをアプリ上に集約した。市や社会福祉協議会、地域包括支援センターなどが提供する福祉サービスの制度概要を蓄積したデータベースを作成し、住民から相談を受けた際に、民生委員がその場で情報を検索して提供できるようにした。

 実証研究に参加した佐賀市民生委員児童委員協議会 会長の石井智俊氏は、タブレット端末を利用することの利便性を実感し、「もう無くてはならないツールだ」と語る。石井氏によれば、民生委員1人が担当する家庭は約200世帯に上り、その4分の1の世帯に見守りなどの支援が必要な要援護者がいるという。

 石井氏は、委員活動を効率化するアプリの利便性だけではなく、住民とのコミュニケーションツールとしてタブレット端末に魅力を感じているという。「民生委員は、住民との世間話の中から、その人が困っていることを聞き出して、行政の支援を受けられるように手配するのが職務だ。高齢者との雑談の中で、例えば、お子さんが務める会社のHPを見せてあげると大変喜ばれ、話も弾む」(石井氏)

 当初、実証研究は2014年6月末で終了し、一旦タブレット端末は回収される予定だったが、石井氏ら現場の民生委員から「タブレット端末を使い続けたい」との要望があったことを受けて、実証研究の期間を2015年3月末までに延長した。

 しかしながら、全国に23万人、佐賀県だけでも約2100人いる民生委員全員にタブレット端末を配布することには、予算の課題がある。

 民生委員は、市町村に設置された民生委員推進会が推薦した者を都道府県知事が推薦し、厚生労働大臣が委嘱することによって決定される制度になっており、佐賀県の場合では佐賀市保健福祉部、佐賀県地域福祉課、厚生労働省の3者が関わる事業である。タブレット端末の購入や通信サービス料金の予算をどの組織が持つのか、難しい調整が迫られる。

 今回の佐賀市本庄地区における実証研究は、ベンダー各社から製品サービスの無償提供を受けて予算ゼロで実施された。3月末で研究期間が終了した時点で、実導入への予算がつかないでいる。インテルが貸与したタブレット端末本体の継続使用は認められたものの、通信サービスなどの利用は停止している状態だ。

 CIOの森本氏は、実導入に向けた今後の展開について、次のように説明した。「民生委員活動へのICT導入は、県の地域福祉課だけにとどまるテーマではない。例えば、民生委員が高齢者世帯を訪問する際に、タブレット端末を使って認知症テストを実施することができれば、病気の早期発見と医療費削減につながる。また、民生委員が調査した地域の高齢者情報をICT活用によって警察と共有することで、徘徊する高齢者の捜索活動に協力できる。このように、医療や警察など、より大きな組織を巻き込んで予算化していくことが現実的だ」

(前段右から)佐賀県CIOの森本登志男氏、佐賀市 民生委員児童委員協議会 会長の 石井智俊氏、木村情報技術 取締役CIOの橋爪康知氏、(後段右から)佐賀市 保健福祉部 福祉総務課 福祉政策係長の牛島省吾氏、佐賀県 健康福祉本部 地域福祉課 副課長の門村友晴氏

2015年04月16日    ZDNet Japan


15年は「養子縁組」「ナースの起業」に注力 日本財団は莫大な資金源を「社会貢献」にどう活かすか

2015年04月17日 10時52分40秒 | 障害者の自立

ボートレースからの収入が270億円超

ご縁があり、たびたび「日本財団」の取材をさせて頂いている。共働き家庭の家事分担を考えるイベントや、障害者たちのアート作品展示、ハンセン病差別をなくすためのグローバルアピールなど、いくつか見てきた中で、「日本財団とは改めてなんぞや」ということが気になった。同財団は世界有数の社会貢献団体だが、「一体何をしているのかよく知らない」という人も多い。財団が、全国の男女2460人を対象に行なった調査(14年3月)によれば、「日本財団」を知っている人は全体の3割だったが、知っている人の過半数が「活動内容は知らない」と答えたそうだ※1 。 

今回は、そんな疑問を解消すべく、4月1日に開かれた事業計画・予算の記者発表を報告する。日本財団の大きな資金源は、全国の「ボートレース」による売上だ。ボートレースの売上高は、年間1兆円に迫るともいわれ(笹川陽平会長の挨拶より)、その約2.5%が日本財団の収入となる。記者発表によると、15年度は270億円あまりの見込み

これに加え、投資活動による収入が457億円。両者を合わせた収入から、被災地の復興支援や地域おこし、海外事業、子育て支援など、さまざまな公益事業への助成金が支出される。15年度の支出は455億円だ。 

親に恵まれない子供の85%が「施設」で暮らす現実を変えたい! 15年は「特別養子縁組普及キャンペーン」に注力

日本財団が今年度、注力する事業は2つある。そのうち筆者が最も注目しているのは、日本でなかなか普及しない「特別養子縁組」の促進だ(ハッピーゆりかごプロジェクト~すべての赤ちゃんにあたたかい家庭を~)。望まない妊娠や貧困などの理由で、生みの親が子を育てられない場合、日本では85%が「児童養護施設」に入ることになってしまう。現在は、3万2000人の子供が児童養護施設で暮らしている。特別養子縁組がなされれば、こうした子供たちも保護者と「1対1の関係」を作ることができる。が、施設ではそれができない。いくら職員が優しくても、施設の構造自体が「子供のプライバシー」を軽視していたり、子供同士のイジメがあったりと、環境は厳しい場合が多い。 

筆者が昨年、参加した日本財団のイベントでは、「児童養護施設では、一般的な家庭で教えられる社会的なマナー(切符の買い方や、基本的な買い物の仕方など)を学べない」との声も聞いた。子供たちは18歳で施設を出なければならないが、右も左も分からない状態で、働き先が見つからず、生活費が尽きて結局「生活保護しかなくなった」というケースも珍しくない。 

6組に1組のカップルが不妊に悩んでいるのに、特別養子縁組は年間わずか300~400件

「国連子どもの権利条約」では、すべての子供が「家庭環境の下で成長すべき」と定めている。だが、日本ではそれがほとんど叶えられていないのが現状だ。夫婦の6組に1組が不妊に悩んでいるのに、親に恵まれない赤ちゃんの85%は、養子の可能性すら考慮されることなく、施設に入ることになる。現状、「特別養子縁組制度」は年間300~400件程度しか行われていないが、制度が広まれば、施設で養育した場合の公的負担(子供1人につき1億3000万円かかるといわれている※日本財団の記者発表より)を、削減することもできる。 

日本財団では今年度、映画を活用した啓発イベントや、思いがけない妊娠をした女性のための相談窓口の強化、「養子縁組推進法(仮)」の制定へ向けた政策提言などを行う予定だ。恵まれない子供たちが、幸せな家庭で育つ仕組みづくりに期待したい。特別養子縁組の啓発活動はもちろん、実際に養子縁組を考える人たちに、経験者の声を届けるイベントなどがあればもっといいと思う。 

看護師が起業する! 「在宅看護センター」の支援

日本財団では今年度、第2の柱として、「看護師の起業支援」に尽力する。「在宅看護センター起業家育成事業」だ。2025年には、団塊世代が一斉に「後期高齢者」となる。4人に1人が高齢者という、未曾有の高齢化社会の到来だ。地域の病院は、お年寄りを受け入れきれずにパンクする可能性もささやかれる。こうした課題の一助となるのが、看護師が患者の自宅でケアを担う「在宅看護」だ。 

在宅看護センターは、看護師を中心に、介護士、理学療法士、作業療法士など、10~15人の体制で運営される。地域の患者たちを24時間カバーできるのが強みだが、現状、多くの団体が資金難に苦しんでいる。これを支援し、かつ、新たに起業する看護師を増やそうというのが日本財団の試み。 

14年度の実績では、在宅看護への意欲の高い看護師17人(それぞれ、10年程度の臨床経験あり)に研修を行い、起業・運営ノウハウなどの専門知識を教授。全員が研修を終え、在宅看護センターの起業を予定している。先日、第1号のセンターがオープンしたという。 かつては、看護師が「血圧を測る」ことすら許可されていなかった時代もあったが、近年は看護師を目指す学生の4割が大学生であり、医療権限も拡大している。経験値の高い看護師が「起業」し、地域医療の中核を担う未来は明るいだろう。 

9億円の資金が「独自に使える」初の試みに期待、「子供たちの福祉」充実を

日本財団はこれまで、ボートレースなどから得た資金を、小規模な財団法人や学校法人、NPOなどに「助成金」として分配してきた。が、今年度からは初めて、9億円の資金を、独自の事業に使うとしている。今までは、地域の団体が行う活動を「支援」してきたのが、これからは一部を、主体的な事業活動に充てるというのだ。これをぜひ、子供たちの教育や福祉を充実させる活動に使って欲しいと思う。政府の社会保障支出は、7割が「高齢者向け」であり、子育て支援は手薄い。この部分を、日本財団の潤沢な資金で補えないだろうか。 

教育格差の是正のため、無料の学習塾を開いたり、貸与型の奨学金制度を充実させたりするのもアリだろう。日本では質量ともに不足している、ベビーシッターや保育ママの普及へ向けて、研修事業を行なったり、団体を創設したりするのもいいと思う。子供たちの幸せのために、多額の資金を使える団体はそう多くない。日本財団の新たな活動に期待したい。 

(取材協力:日本財団)     2015年04月16日


生活困窮者へ支援の実例 自立への取り組みが本に

2015年04月17日 10時42分40秒 | 障害者の自立

 就労や生活の困難さから生活保護を受ける直前の人々をサポートするため、川崎市が開設した生活自立・仕事相談センター「だいJOBセンター」。その取り組みが本にまとまった。タイトルは「いっしょに歩けばだいじょうぶ」(バリューブックス)。生活困窮者が支援を受けて自立するまでの姿が実例で紹介され、早期支援の仕組みや大切さが分かりやすく解説されている。 

 市内のある五十代男性は介護中の母を亡くし、障害のため定職にも就いておらず将来の生活が描けなくなった。「仕事もないし、お金もない、家もなくなってしまうかもしれない」

 そんな不安を抱えているときセンターを訪れ、支援員の助言で身体障害者手帳を取得し公営住宅に入居した。「介護を勉強してみませんか」と勧められて資格を取り、現在は介護施設で働く。男性は「センターを紹介されてから道が開けた。自分で立って、動いたことで良い結果を生み出せた」と振り返る。

 本はインタビュー形式で、センターが支援した実例を紹介。この男性のほか、借金のある夫と離婚し職も失った三十代のシングルマザーや、年金を受給できない個人事業主の高齢男性など六人を取り上げた。さまざまな悩みに支援員が寄り添い、自立への一歩を踏み出すまでをイラストや漫画を交えて説明している。

 それぞれのケースを大学教授らが自立支援制度の説明を交えながら解説。相談に向き合った現場の支援員の思いも紹介している。

 センターは二〇一三年十二月に開設。今月一日施行の「生活困窮者自立支援法」に先駆けて国のモデル事業になった。ハローワークの次に張る第二のセーフティーネットとして、最後のとりでである生活保護の要件が整わない段階でも就労支援やカウンセリング、居宅訪問による生活アドバイスなどを行う。これまで約千二百人の相談を受けてきた。

 市の生活保護・自立支援室は「本を読んで利用しやすい所だと理解してもらい、気軽に相談に来てほしい。周りの人にもこういう場所があるんだと知ってもらえれば」と話している。

 百五十八ページ。五千部発行し、市内の民生委員らに配るほか、一冊五百円でネット書店のアマゾンで販売している。市立図書館やセンターでも貸し出す。相談は無料で、平日の午前十時~午後六時。問い合わせは同センター=電044(245)5120=へ。

就労の困難などに直面している人の自立を支援する「だいJOBセンター」(川崎市提供)

2015年4月16日   東京新聞