相模原市緑区の障害者施設「津久井やまゆり園」で入居者19人が刺殺された事件を受け、共生社会の実現に向けた理念を発信しようと県が策定した憲章案が14日、県議会本会議に提出され、全会一致で可決した。県によると、共生社会に関する憲章を定めるのは都道府県で初という。
事件を契機に障害者への差別が助長される恐れがあるとの懸念が障害者団体などから寄せられたことを踏まえ、県が策定した。県議会厚生常任委員会でも障害者団体代表者からの意見聴取を行い、審議を行っていた。
憲章では「このような事件が発生したことは、大きな悲しみであり、強い怒りを感じています」としたうえで、「事件が二度と繰り返されないよう、私たちはこの悲しみを力に、断固とした決意をもって、ともに生きる社会の実現をめざす」とした。
具体的には、あたたかい心をもって、すべての人のいのちを大切にします▽障がい者の社会への参加を妨げるあらゆる壁、いかなる偏見や差別も排除します-などとうたっている。
憲章案同意を受け、黒岩祐治知事は「共生社会の実現は神奈川からとの思いを発信していく」と力を込めた。
同日の県議会本会議では、津久井やまゆり園建て替えの基本構想の策定費用や、憲章の内容をアピールするためのイベント開催費用などを含む総額2億4300万円の補正予算案も可決した。
◆「ともに生きる社会かながわ憲章」
一、私たちは、あたたかい心をもって、すべての人のいのちを大切にします
一、私たちは、誰もがその人らしく暮らすことのできる地域社会を実現します
一、私たちは、障がい者の社会への参加を妨げるあらゆる壁、いかなる偏見や差別も排除します
一、私たちは、この憲章の実現に向けて、県民総ぐるみで取り組みます
2016.10.15 日本経済新聞