電車の車両ドアの数や位置が異なっても対応できる駅ホームドア「どこでもドア」の実証実験が二十四日、京急久里浜線の三浦海岸駅(神奈川県三浦市)で始まった。視覚障害者団体のメンバーも検証に訪れ「ホームドアの開く幅が広く、電車のドアを見つけにくい」と改良点を指摘した。
実験で使うどこでもドアは扉の幅が約三・二~三・六メートルあり、車両のドアの幅約一・三メートルに比べてかなり広い。このため車両の種類によってドアの位置がずれてもカバーでき、車両側の改修が不要で、他社の車両の乗り入れにも対応できる。
三浦海岸駅では電車一両分に当たる長さ十八メートル、扉が三カ所あるホームドアを設置。電車が到着すると車両の種類や停止位置などをセンサーで判別し、三ドア車両の場合は三カ所の扉がすべて開き、二ドア車両では両端だけが開いた。
この日は、全日本視覚障害者協議会(東京都豊島区)の山城完治理事(60)ら五人が検証に訪れた。参加者からは「乗り込む時、電車のドアまで数歩分の距離があって危険を感じた」「つえでホームドアに触れながら進むと、(ドアを収納する)戸袋が出っ張っていて歩きにくい」などの意見が聞かれた。
開発した三菱重工交通機器エンジニアリング(広島県三原市)の担当者は「利用者や京急側の意見を聞き、改良を検討したい」と話した。実験は一年間の予定。
ホームドア「どこでもドア」の感触を確かめる全日本視覚障害者協議会の山城完治理事
2016年10月25日 東京新聞