知的障害者らの力作を集めた書作展が13日、北区王子1の北とぴあで始まった。障害者の就労支援に取り組む同区の社会福祉法人「ドリームヴイ」書道クラブとして13回開催。今回から「みんなと書道 一九三(いっきゅうさん)」に名称を変更した。
講師の有馬高枝さん(74)は「元気になる書展なので、ぜひ見に来てほしい」と来場を呼び掛けている。15日午後5時まで。無料。
〔都内版〕 毎日新聞 2018年4月14日
知的障害者らの力作を集めた書作展が13日、北区王子1の北とぴあで始まった。障害者の就労支援に取り組む同区の社会福祉法人「ドリームヴイ」書道クラブとして13回開催。今回から「みんなと書道 一九三(いっきゅうさん)」に名称を変更した。
講師の有馬高枝さん(74)は「元気になる書展なので、ぜひ見に来てほしい」と来場を呼び掛けている。15日午後5時まで。無料。
〔都内版〕 毎日新聞 2018年4月14日
到底許される行為ではもちろんないが、家族を一方的に責め立てるだけでは問題の解決にはつながるまい。相次ぐ精神障害者の監禁事件は問うている。社会の偏見が家族を追い込んではいないか。
近代日本の精神医学の基礎を築いた呉秀三が、私宅の座敷牢(ざしきろう)に閉じ込められた精神障害者の悲惨さを告発したのは一九一八年。病気に加え、国の無為無策という“二重の不幸”に苦しめられていると痛烈に批判した。
それからちょうど百年。いまだに往時を連想させる事件が表面化する現実に愕然(がくぜん)とさせられる。
去る一月に兵庫県三田市で、精神疾患のある四十二歳の男性が自宅の檻(おり)の中に閉じ込められているのが見つかり、先週、父親が逮捕された。監禁はおよそ二十五年に及ぶ疑いがあるという。
昨年十二月には大阪府寝屋川市で、統合失調症と診断されていた三十三歳の女性が自宅の小部屋で衰弱の末に凍死した。両親は監禁と保護責任者遺棄致死の罪に問われている。およそ二十年間閉じ込めていたとの見方がある。
三田事件の父親は二十年以上前に三田市に相談していた。男性は障害者手帳を持っていた。寝屋川事件の両親は二〇〇一年に女性を受診させていた。それを元に障害年金を受け取ってもいた。
福祉であれ、医療であれ、接点はあった。にもかかわらず、なぜ途切れてしまったのか。
精神障害のある人の家族でつくる全国精神保健福祉会連合会の最新の調査では、信頼して相談できる専門家は「いない」との答えがほぼ三分の一に上っている。
暴れたり、叫んだりする症状に困り果て、近隣とのトラブルも心配する家族は多い。二つの事件の親もそう感じていたらしい。
手を差し伸べるべき側の待ちの姿勢が、結果として家族の不信と諦めを招いていないか。地域の差別的なまなざしが、家族を孤立させてしまう面もあるだろう。
気分障害や統合失調症、認知症といった精神疾患のある人は増える傾向にある。すでに四年前に三百九十二万人を上回っている。インターネットに依存したゲーム障害も問題化している。
患者と家族だけに負担と責任を押し付けるような仕組みでは、座敷牢事件は後を絶たないだろう。
支え合う社会へ向けて、例えば義務教育段階から病気の正しい知識と対処法を学ぶべきだ。そうしてこそ精神障害者への偏見、差別の解消にもつながるに違いない。
2018年4月14日 中日新聞
障害のある子どもを放課後や長期休暇の間に預かる「放課後等デイサービス」の事業所が県内で着実に増え続けている。制度が始まった2012年の事業所数は1カ所だったが、今年4月1日時点で59カ所に増加。自立のための力を身に付けられるほか、保護者が勤めに出たり、保護者同士で情報共有したりできることが人気の要因とみられる。一方、依然として預け先が足りず、地域によって事業所の数にばらつきがあるなど、課題も浮上している。
「自分の長所って何?」「絵を描くことですかね」-。スタッフと利用者が軽快なやりとりを繰り返す。富山市神通本町の「ヴィストカレッジ富山駅前」でのスキル訓練の風景だ。並べられた席に中学生と高校生4人が座り「自分研究-履歴書を作ろう」のテーマで和気あいあいと話し合っていた。自己分析し、長所、短所を人に説明できるようになることが目標だ。
ヴィストカレッジ富山駅前は昨年9月に開所し、6~18歳の51人が通う。ほとんどは発達障害のある子どもたちだ。受け入れる子どもの障害の程度や指導内容は事業所によってさまざまで、この事業所は対人関係のマナー、金銭、健康管理、仕事体験などのプログラムを用意。利用者は年齢に応じて取り組める。林原洋二郎センター長(43)は「自分が他人からどう見られているのか認識できないのが発達障害の特徴。自立するためには自己理解が必要で、その手助けがしたい」という。
自閉症の息子がいる富山市の40代女性は、息子の将来を心配し、昨年から市内2カ所の事業所を併用している。以前は家でゲームばかりしていたが、利用し始めてからは会話も増え、自分の感情を制御できるようになるなど成長を実感しているという。「できることを自分のペースで取り組めるし、褒めてもらえる。保護者同士のコミュニケーションで親も助けられており、とても心強い」と話す。
県障害福祉課によると、制度が始まった2012年以降、県内の事業所は予想を上回るスピードで増加している。だが、キャンセル待ちの利用希望者がいるなど、預け先が足りていないのが現状だ。
昨年夏、1日に受け入れられる利用者数の上限を超え、県から処分を受けた事業所があった。この事業所の代表(44)は「預けたいという保護者の希望を断れなかった」と振り返る。県には、関係者や放課後等デイサービスの利用者などから処分の軽減を求める嘆願書が届いた。
県内の事業所数には地域間の格差もある。事業所のほとんどは富山市内に集中。障害の程度の重い子どもを預かれる事業所は8カ所(4月1日現在)だけで、富山市と高岡市にしかない。県障害福祉課の高田篤史地域生活支援係長(43)は「不足している地域の解消や、医療ケアが必要な子どもに対応できるよう、さらなる開設を促していきたい」と話した。
■預け先不足 大半が少数定員
事業所数は増えているものの、預け先が足りていないという声は多い。理由の一つが、県内の大半の事業所の定員が10人以下と少数であることだ。
放課後等デイサービスは、1人の職員が担当する子どもの数を減らして細やかなサービスを提供できるよう制度設計されている。定員を増やすと利用者1人当たりの報酬単価が下がるため、事業所への給付費も減ってしまう。
厚労省障害福祉課は、定員を増やせば利用者から支払われる利用料が増えるとし、受け入れる人数について「事業所の経営判断に委ねられる」とした。
一方で、全国的にはテレビを見せるだけだったり、子ども同士がけんかをしても放置したりするなど、適切なケアを行わない事例があった。厚労省はサービスの質向上を目指して運営条件を厳格化し、事業所で働く職員に資格や経験を求めるなどの対策を取っている。
◆放課後等デイサービス◆
学童保育を利用しづらい障害児らに、専門的な支援をする居場所として2012年に制度化された。小学1年生~高校3年生(6~18歳)が対象で、場合によって満20歳まで利用可能。発達障害、難聴、肢体不自由などの障害のある子どもを対象としている。都道府県などが事業所を指定し、指定を受けた事業所は、利用者の利用実績に応じて市区町村から給付費を受け取ることができる。利用者の負担は原則1割。
47NEWS 2018年04月14日
■「農業」担い手不足、「福祉」低い就業率
障害者が農業従事者となる「農福連携」の取り組みを推進する県内初のセミナー(県主催)が3月下旬、佐賀市で開かれた。農業や福祉、行政の関係者らが参加。担い手不足や耕作放棄地の増加に悩む農業分野と、就業率が低く、賃金が安い障害者福祉の双方の課題を解決し、互いの利益につなげる「ウィンウィン」の関係づくりに必要なことを考えた。
国の調査(2015年度)によると、農業者の平均年齢は66・3歳で、就業人口は20年足らずで約半数に減少した。一方、障害者福祉分野では、雇用契約を結ばずに働く就労継続支援B型事業所の平均工賃は全国平均で月1万5千円程度と低く、底上げが課題となっている。
セミナーでは、農水省の担当者が農福連携の現状や国の支援制度を説明し、全国農福連携推進協議会の濱田健司会長が、全国の先進事例を交えながら講演した。濱田会長は「障害者が社会とつながりを持つきっかけになる」と連携の意義に触れ、生産者が障害者施設に営農指導に行くなど、できるところから交流を始めてほしいと述べた。その上で、「障害者を安価な労働力としてとらえてはならない」「障害者を利用して社会貢献活動をPRしない」と心構えも強調。「利益だけを追求せず、農業、福祉、地域みんなが幸せになることが大切」と訴えた。
県内からは、佐賀市のNPO法人「佐賀中部障がい者ふくしネット」コーディネーターの藤戸小百合さんが、県やJAさがと連携し、ホウレンソウの出荷作業を福祉作業所が請け負った事例を発表。野菜を階級ごとに分類するために道具を色分けしたり、比較写真を置いたりして工夫をし、障害者が働きやすいよう「作業の見える化」に取り組んだことなどを説明した。
取り組みについて、事業所、生産者の双方から好意的な声が寄せられた一方、「福祉事業所の就労時間と農業の作業時間が合わない」「担い手不足が深刻な中山間地までの移動距離が長い」といった改善すべき新たな課題も見えてきたと説明。「農業側、福祉側が協力をしながら活動が広がっていくことをサポートしていきたい」と話した。