倉敷市内で就労継続支援A型事業所を運営していたフィルが事業停止し、障害者約170人を解雇した問題で、同市は13日、障害者総合支援法に基づき、市内にあった3事業所に対する指定取り消し処分をした。解雇した障害者の再就職先などを見つける責務を果たしていないことが主な理由。県によると、A型事業所の指定取り消し処分は県内で初めて。
厚労省によると、A型事業所の指定取り消しは2016年度に全国で13件あったが、助成金の不正受給などが理由。経営破綻に伴う再就職先の確保を怠ったことを原因とする取り消しは「聞いたことがない」(担当者)という。
フィルは3月15日、3事業所の廃止届を市に提出。翌日、雇用する障害者171人を解雇した。労働基準法で定める1カ月以上前の解雇予告もなく、1カ月半分の賃金が未払いになった。
市は、解雇した障害者の受け入れ先を見つけるようフィルに勧告や命令をしたが、改善が見られなかったため、取り消し処分に向けた聴聞会を13日に実施すると通知した。しかし、フィルは聴聞会に出頭せず、代わりに陳述書を12日に提出した。陳述書は再就職先の確保について「今後尽力する」との内容にとどまっていたといい、市は「改善できない正当な理由とは認められない」として取り消しを決めた。
市によると、取り消し後もフィルには再就職のあっせんなどの法的義務は残っている。解雇された障害者のうち再就職が決まったのは5日現在で8人だけ。一般企業とA型事業所が4人ずつという。
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