ゴエモンのつぶやき

日頃思ったこと、世の中の矛盾を語ろう(*^_^*)

注目集める 障害者と健常者協力 小国で健康食品販売 

2018年04月06日 13時23分40秒 | 障害者の自立

 小国町の中心街に自然素材を活用した健康商品を販売する店「自然館」(安部秀子代表)が今年1月にオープンした。障害者と健常者が協力して運営する店舗として、注目を集めている。

  町の有志で構成する「白い森のまちづくり研究会」(吉田岳会長)が空き家活用の一環として取り組んだ。1階に商品を陳列し、2階に加工所を設置。20~80代の障害者28人が主に加工所でパッケージ詰めを行い、健常者の職員11人が販売などの指導を担当して運営している。

 主力商品は、県内随一の森林面積を誇る小国の山に群生するクロモジと桑の葉を摘み取ったお茶。クロモジ茶は抗酸化作用、桑の葉茶は高血圧の改善が期待されるという。障害者らが作ったポーチやマスコット人形なども販売している。

 同店で働く嶋貫来未(くるみ)さん(38)は「初めての接客で、とてもやりがいがあります」と喜ぶ。商品開発や販売の指導を担当する渡部恵子さん(32)は「障害があっても健常者に負けないくらいの力を感じます」と感心する。

 近くの「道の駅白い森おぐに」やネット直販などで販路を拡大することも計画。町内の高齢者らが里山で葉を摘み取り、若者が加工所で働くような、循環型の6次産業化を目指すという。障害者や高齢者を支援するNPO法人「まんまる」(同町)の施設長、本間義信さんは「障害者が主体的に運営する経営体に発展させていきたい」と意気込んでいる。

毎日新聞        2018年4月5日 


精神障害者の青田買いが法改正で激化、肝心な職場への定着はどうする?

2018年04月06日 12時12分08秒 | 障害者の自立

法定雇用率引き上げで注目集める   「見えない障害者」の就労実態

 いま、多くの企業が注目しているのは、「見えない障害」と言われる精神障害(発達障害も含む)者の雇用義務化が、2018年4月から始まったことだ。2013年の法改正により、精神障害者についても法定雇用率の算定基礎に加えられ、障害者の法定雇用率も、これまでの2.0%から2.2%に引き上げられた。

 障害者を雇用しなければいけない民間企業の事業主の範囲は、従業員50人以上から45.5人以上に広がり、対象になる企業は全国約9万社に上るという。3年後の2021年4月までには、さらに法定雇用率は2.3%に引き上げられる。

 引きこもる人たちの背景には、大人の発達障害や精神疾患が要因になっている人たちも少なくない。

「引きこもり」という状態と発達障害や精神疾患との因果関係を示すエビデンスとしては、2010年に厚労省研究班が行った調査で、引きこもり状態の人の割合のうち発達障害と診断された者が約25%で4人に1人、不安障害や適応障害なども含む精神疾患と診断された者を含めると、9割を超えたというデータがある。

 しかし、この調査の対象者は、そもそも精神保健福祉センターに通う外来患者を対象に行われたものであり、8年前と比べて時代や世間の認識も大きく変わってきていることから、引きこもっている人たちの現実を表したものとは言い難い。

 実際には、周囲に知られないよう、診療を受けていない、あるいは家族から受けさせてもらえず、制度の谷間に埋もれ、精神障害者手帳を持たせてもらえていない人たちも少なくない。パワハラやセクハラといった職場の人間関係から逃れ、社会的ストレスで恐怖を感じ、働けなくなってしまった人たちもいる。

 とはいえ、厚労省によると、グレーゾーンの人が多く含まれる「大人の発達障害」者について、今回の雇用義務の対象になる人は、原則的に精神障害者手帳を持っている人に限られる。

 一方で、障害者雇用における全事業主の法定雇用率の達成割合は、2017年6月時点で、50.0%というのが現状だ。17年度の目標値である46.5%はクリアされていたものの、今年度からはそのハードルが上がることによって、企業側による人材の争奪戦も予想されている。

 企業の現場では、早くも「一般枠の人たちと同じように、(それぞれの仕事に適した特性の持ち主である)優秀な発達障害者を巡る青田買いが始まっている」(大手企業採用担当者)とも言われている。すでに、ハローワーク経由での精神障害者の就職件数は2013年度に、また新規求職申込み件数は2014年度に、それぞれ身体障害者の数を抜いた。

実雇用者数が増えないなか   定着支援事業を手がける人々

 ところが、実雇用者数はそれほど増えていない、という状況がある。そこで、これからは定着支援の重要性が高まってくるだろうと指摘されている。

「精神・発達障害の方と一緒に働くという世の中になっていくので、企業の側も一緒に働けるように本格的に受け皿準備をしないといけない時期に来ている」

 そう話すのは、全国各地で障害者向けの就労移行支援事業所「LITALICOワークス」を運営し、これまで合計で5000人以上を企業に送り出してきた株式会社LITALICO(東京都目黒区、長谷川敦弥社長)のLITALICOワークス事業部、服部一史さんだ。

 精神障害者の雇用についてはもともと、仕事が長続きしにくいという職場定着の課題があった。また、なかなかフルタイムで働けないという問題もある。

 そこで厚労省でも、今年4月から改正省令を施行し、従来、短時間労働者を0.5人とカウントしてきたが、精神障害者の短時間労働者に限っては、雇用してから3年以内を「1人」としてカウントし、3年後までにフルタイムへの移行を目指すことにしているという。

「4月から新たに『定着支援事業』ができたという動きもありますが、定期的に顔を合わせ、大きな問題になる前の小さな相談を受けられるようなきめ細かい定着支援の重要性が、今後より大きくなっていくでしょう」

 LITALICOの服部さんはそう説明する。

不用意な発言に「ホウレンソウ」欠如
障害者へのアレルギーや誤解も

 雇用に意欲的な企業も多くなってきた一方で、精神障害者に対するアレルギー反応や、「できることが少ない人たち」という誤解も依然として多いのが現実だ。定着支援や実習の有無によって定着率が変わってくる。きちんと定着支援を受けたり、実習を踏まえて採用したりすること自体がミスマッチを防ぐアプローチになると、服部さんは指摘する。

「特に発達障害の場合、ちょっとした工夫をすれば、上手く仕事が回るケースが結構あるんです たとえば人間関係の場合は、周りの人たちに障害特性をしっかり知っていただくことで不要なトラブルを防げるんです」

 実際、思ったことをストレートに言ってしまう人であることを予め知っていれば、空気が読めないことを言われても、そこまで腹は立たない。雑談が苦手な人の場合、1人で昼食をとるのが好きだったり、女子会のような輪の中に入りたくなかったりするのに声をかけてしまうことが、かえってストレスになるといった具合だ。

 業務遂行面でも、資料を書き写す際、前後の行が目に入ってしまって、文字を混ぜて書いてしまう人がいれば、前後の行をずらすなどの工夫をすればスムーズに作業できる。

 引きこもっていた20代半ばの男性は、学校を中退後、もともと社会経験がなかったものの、少しずつ外に出て来れるようになった。ところが、コミュニケーションをとることが苦痛で、「ホウレンソウ」(報告・連絡・相談)がまったくできなかった。一方で、作業やパソコンの訓練をすると、とてもスキルが高い。

 就職を考えると、ホウレンソウができないのは致命的だ。そこで、「ホウレンソウ・フォーマット」のようなものをつくり、1時間ごとに指示を受けてやったこと、そのとき迷ったこと、その結果判断したことをフォーマット化して提出する練習をした。すると企業から「実務実習の中で、まったく問題なく仕事ができた」という報告を受けた。
「ホウレンソウができないと働けないと思って一生懸命訓練していたんですが、特性を上手くカバーして活かすためにツールを1つ立てたことで、課題がすんなり解決できたのです」。

 大人の発達障害の人たちの中には、学生時代は問題が顕在化しなかったのに、ビジネスの現場に入って人とコミュニケーション取っていく中で、なかなかうまくいかず、初めて自分の中にある“障害”を感じて相談に来るケースが多いという。

 LITALICOではまず、職場体験実習を踏まえての採用を企業側に提案し、面接にも同行する。採用が決まれば、当事者が働きやすくなるための合理的配慮事項の検討や、環境調整への助言を行い、採用後も本人や企業との面談を続ける。合理的配慮については、合意契約書も作成する。

 最終的にはサポートがなくても本人が自立でき、企業側も自然な形で本人を支えられるようにする「ナチュラルサポート」という体制にする。こうした長期戦略型の支援を受けたLITALICOワークス利用者の就労先への1年後の定着率は、77.3%(2016年度)とかなり高い。

「定着支援」で使用する「ヒアリングシート」は、離職につながりかねない綻びを、小さな段階で掴めるため、本人たちからもセルフモニタリングできると好評だという。厚労省でも「定着支援」を事業化し、今年4月から新たな就労系福祉サービスとしてスタートさせることにしている。

受け入れの環境が悪いだけ     働く環境は十分整えられる

 先行して雇い入れている企業の側からは、「発達障害や精神障害の方の特性を知れば知るほど、受け入れ側の環境が悪いだけで、十分働ける環境はつくれると確信を持った」という声も聞こえてくる。

 一方、企業の間では、精神疾患や発達障害が算定に入ることが、まだあまり知られていない。企業から「精神も雇用しなければいけないのか?」といった問い合わせも、公的機関などに増えているという。

「発達障害当事者協会」運営スタッフの嘉津山具子さんは、こう語る。

「当事者たちは、チャンスだと思っている。勤めてきた会社でも、これまでなら辞めるしか選択肢がなかったのに、障害者雇用に切り換えてもらえるので言いやすくなったと期待している人たちも多い。手帳を取ったらラべリングされると消沈していた人が、当事者会で市営バスが無料になるなどの話を聞いて、就活しやすくなると元気になっています」

 職場で苦しんでいた当事者たちも、診断を得ることでチャンスが生まれ、精神疾患者を雇用する企業の動きは、これからジワジワと広がりそうだ。

ダイヤモンド・オンライン


障害者雇用 推進へ協定 防府市と防府商議所 県内初

2018年04月06日 12時06分19秒 | 障害者の自立

 障害者の法定雇用率が4月から引き上げられたことを受け、防府市と防府商工会議所は4日、市内企業の障害者雇用の推進に協力して取り組む協定を結んだ。自治体と商議所が同種の協定を締結するのは県内では初めて。

  民間企業はこれまで、従業員の2%を障害者とするよう定められていたが、4月から2・2%に引き上げられた。雇用が義務付けられる企業の規模も、従業員50人以上から45・5人以上に広がった。

 協定は、障害者の自立と社会参画を支援するため、市が防府商議所(会員約1700社)に打診して実現した。今後、障害者の実習を受け入れる企業の拡大や、雇用に関連した助成金制度の説明会開催などに取り組む。

 市役所であった締結式で松浦正人市長は「障害者が生きがいを持って働く社会を実現しなければならない」とあいさつ。喜多村誠会頭は「障害を持つ人が安心して働けるよう、できるだけの支援をしたい」と語った。

 防府市と山口市の一部を管轄するハローワーク防府によると、昨年度は管内企業の63・5%が法定雇用率を達成した。

毎日新聞             2018年4月5日


聴覚障害者が人の孤独を救う!?「サイレントボイス」

2018年04月06日 11時55分55秒 | 障害者の自立

尾中友哉さんが夢見る社会とは

同じ空間にいるのに、居合わせた人が別々のスマートフォンを見つめる光景。電車の中やカフェで、あるいは家庭内で目にしたことありませんか? 現代はかつてないほど個人が言葉を綴り、世に発信しています。もしも、それが人々の孤独の反動だとしたら、現代人はかつてないほど孤独を感じているとも言えます。

「聴覚障害者は聞こえない分、最も孤独を感じやすい存在です。でも、だからこそ孤独を乗り越える方法も知っている。彼らの世界が持つ可能性が社会に出たら面白いなと思うんです」。

NPO法人および株式会社「サイレントボイス」の尾中友哉さんはそう言います。なぜそう言い切れるかというと、ご両親が聴覚障害者であるために乳幼児の頃から手を使った言葉で、この世界の色と形を知ってきた人だから。

前回greenz.jpで尾中さんの取り組みを紹介した際には、大反響をいただきました。あれから約半年。「サイレントボイス」の“現在地”を再びみなさんにお届けします。

「デフアカデミー」は、折れない心を育む場

「サイレントボイス」 はNPO法人と株式会社の2つの形態をとっています。NPO法人としては、聴覚障害・難聴のある子どもたちに特化した総合学習塾「デフアカデミー」を運営。一方、株式会社「サイレントボイス」は企業などに向けてコミュニケーションのマインド向上の研修を提案しています。

まず、「NPO法人サイレントボイス」の活動を見てみましょう。「デフアカデミー」には、両耳の聴力レベルが40デシベル以上の聴覚障害・難聴のある小学生から高校生までの子どもたちが通っています。現在は京都と大阪で開校しており、生徒の数は合計40名ほどになりました。

大阪にある谷町六丁目校は、放課後等デイサービスの事業所として大阪市から指定を受けているため、一般的な収入の家庭であれば費用も月々4600円が上限と良心的。生徒たちは週に2回を目安に通っていますが、中には毎日やってくる子もいるとか。

「デフアカデミー」は聴覚障害・難聴児に特化した総合学習塾なので、カリキュラムも特別です。聴覚障害者は情報を目でキャッチするため洞察力が鋭く、視覚能力も高いと尾中さんは話します。カリキュラムはこうしたいい点を伸ばすよう、オリジナルで開発しました。

同じ空間にいるのに、居合わせた人が別々のスマートフォンを見つめる光景。電車の中やカフェで、あるいは家庭内で目にしたことありませんか? 現代はかつてないほど個人が言葉を綴り、世に発信しています。もしも、それが人々の孤独の反動だとしたら、現代人はかつてないほど孤独を感じているとも言えます。

「聴覚障害者は聞こえない分、最も孤独を感じやすい存在です。でも、だからこそ孤独を乗り越える方法も知っている。彼らの世界が持つ可能性が社会に出たら面白いなと思うんです」。

NPO法人および株式会社「サイレントボイス」の尾中友哉さんはそう言います。なぜそう言い切れるかというと、ご両親が聴覚障害者であるために乳幼児の頃から手を使った言葉で、この世界の色と形を知ってきた人だから。

前回greenz.jpで尾中さんの取り組みを紹介した際には、大反響をいただきました。あれから約半年。「サイレントボイス」の“現在地”を再びみなさんにお届けします。

尾中友哉(おなか・ともや)

尾中友哉(おなか・ともや)

株式会社およびNPO法人「Silent Voice」代表。1989年、滋賀県出身。聴覚障害者の両親を持つ耳の聞こえる子ども「通称:CODA(コーダ)」として、手話を第一言語に育つ。大学卒業後、東京の大手広告代理店に勤務。激務の日々の中、「自分にしかできない仕事とは?」について考える。退社後はフリーの広告ディレクターとして活動しながら、2014年2月に任意団体「Silent Voice」を立ち上げる。企業などへのセミナープログラム「DENSHIN」は株式会社「Silent Voice」として、また聴覚障害・難聴のある就学児向けの「デフアカデミー」はNPO法人「サイレントボイス」として運営し、聴覚障害者の強みを生かす社会に向けて活動している。

「デフアカデミー」は、折れない心を育む場

「サイレントボイス」 はNPO法人と株式会社の2つの形態をとっています。NPO法人としては、聴覚障害・難聴のある子どもたちに特化した総合学習塾「デフアカデミー」を運営。一方、株式会社「サイレントボイス」は企業などに向けてコミュニケーションのマインド向上の研修を提案しています。

まず、「NPO法人サイレントボイス」の活動を見てみましょう。「デフアカデミー」には、両耳の聴力レベルが40デシベル以上の聴覚障害・難聴のある小学生から高校生までの子どもたちが通っています。現在は京都と大阪で開校しており、生徒の数は合計40名ほどになりました。

大阪にある谷町六丁目校は、放課後等デイサービスの事業所として大阪市から指定を受けているため、一般的な収入の家庭であれば費用も月々4600円が上限と良心的。生徒たちは週に2回を目安に通っていますが、中には毎日やってくる子もいるとか。

「デフアカデミー」は聴覚障害・難聴児に特化した総合学習塾なので、カリキュラムも特別です。聴覚障害者は情報を目でキャッチするため洞察力が鋭く、視覚能力も高いと尾中さんは話します。カリキュラムはこうしたいい点を伸ばすよう、オリジナルで開発しました。

 

子どもたちは、みんなすごい集中力です。尾中さんには、聴覚障害者の持つ特性を生かしながら、社会で活躍する人材を育成しようという目標があります。しかし、学習面で成功するには何といっても土台となる“心の成長”が必要です。

「デフアカデミー」の子どもたち。手話を使う環境に定期的に通うことで、手話も上達します。

聴覚障害のある子どもたちの多くは、一般の小・中学校に通っています。聞こえる側のペースで進んでしまう授業では、どうしても孤立してしまう場面もあります。特に思春期になり、自分を客観視するようになると「なぜ自分は周りと違うのだろう?」と悩み、日常生活の中の失敗を聞こえないことのせいにしてしまうこともあるのだそう。そんな時どうすれば諦めずに前向きに努力できるのか? 尾中さんが一番大切にしているのは、折れない心を育むことです。

ここでは、視覚能力(画像記憶力や速読力など)を高めるワークもやりますが、一番大事にしているのは子どもを褒めること。子どもを褒めて存在を認めてあげて、安心して成長できる場所をつくっているんです。

それを続けると、最初は自己肯定感が低くて褒められてもきょろきょろしていた子が、笑うようになったり。子どもがこちらを信頼してくれる瞬間って、わかるんですよ。

2018年1月には、京都を中心に海外にまで学習塾を展開する「株式会社京進」の講師たちによる「夢を描くドリームツリー」授業が開催されました。

内容は、脳科学の考えを取り入れた京進オリジナルの学習法「リーチングメソッド」を用いて、自分の夢を言語化し、夢を叶えるために行動を喚起するというもの。子どもたちは、自分の得意なこと、褒められて嬉しかった言葉などを振り返り、自分の夢を書き出していきました。

言葉や音声を用いないユニークな研修

「株式会社サイレントボイス」の活動も見てみましょう。尾中さんらは、2014年からコミュニケーションのマインド向上をはかる企業研修を行ってきました。

研修では数人のグループをつくり、言葉や音声を用いずに表情やジェスチャーでお題を伝えます。参加者は伝えられないもどかしさを含めて、言葉を超えたところにあるコミュニケーションの根幹に触れます。最近は大阪のみならず、東京でも研修依頼が増えたとか。

研修は音声による言葉や音声を用いないので、外国人の方も参加できます。

僕らが広げている世界は、言語に依存することとは逆の考え方。つまり、“無言語”という発想です。要は言葉が介在しないコミュニケーションです。そこはある意味、言葉の壁がなかったり、誰にでも伝わるというユニバーサル性がすごく高い。

また、企業のみならずこの“無言語”コミュニケーションの研修は、少しバリエーションを変えて「話さない英会話」として関西の某大学にも提案している最中。内容は様々な国籍の学生たちがチームをつくり、言葉による言語を使わないで与えられたミッションをゲーム形式で解決するというもの。時にはジェスチャーですら異なる海外の人々と一緒に問題をクリアするなんて、考えただけでスリリング。そして学びや気づきも多そうです。

本当のコミュニケーションって何だ?

生まれた時から、耳が聞こえない両親に自然と身振り手振りで自分の欲求を伝えてきた尾中さんは、もはや伝えることのプロ。「コミュニケーションって自分がどうこうではなく、相手が理解することなんですよね」と自然に口をついてでてくる言葉が実に深いのです。「デフアカデミー」の企業理念には、伝えることの姿勢についてこう書かれています。

「デフアカデミー」の企業理念。「コミュニケーションは自分がラクな方法が自動的に選択される性質を持って」いると書かれています。まさに、その通り。

「あれだけ言ったのに、わかってない」。「ここに書いてるのに、読んでないのかな?」こんなやりとり、したことありませんか? これって、自分本位な一方的な発信なだけで、相手に伝わっていないならコミュニケーションとしては意味がないもの。

僕は本当のコミュニケーションって何だ? と聞かれたら、相手に本気で伝えることや、相手を本気で理解することを通じて相手に向き合うことだと思うんです。

聴覚障害者は、問題を掘り下げていくとコミュニケーションの壁に行き着きます。だからこそ、聴覚障害者の中に「ながら会話」をする人はいない。相手の目を見る。そして、相手に伝わったか確認する。かすかな表情の変化ですら、今の自分の気持ちを表す「声なき声」なんです。僕らも聴覚障害の人と働いているからこそ、コミュニケーションを深めていける。

だから「DENSHIN」という企業研修で本気で伝える、本気で理解するっていう姿勢を伝えています。この基準を組織が持つと、相手を理解した上で話そうと思えるように変わるんです。

障害者が健常者を救う社会へ

尾中さんのお母さんは、聞こえないながらも喫茶店をきりもりしています。

そんなお母さんのモットーは「ひとつ助けてもらったら、2つ恩返しする」というもの。いつも一生懸命に生きる両親の姿から、尾中さんは聴覚障害者が社会で活躍することを目指して「デフアカデミー」を立ち上げました。

その思いはさらに大きく膨らみ、今は聴覚障害者が人々の孤独を救う社会を夢見ています。

2017年12月にはTED×Kobeにも登壇しました。

イギリスでは6000万人の人口のうち、900万人が孤独を感じていると国がレポートをあげました。また彼らが病院に通ったり働けなくなった場合の経済損失は4.9兆円といわれます。日本だって同じように成熟国で、きっと似たような問題を抱えていると思うんです。

そんな時、孤独の辛さや対処法を知っている聴覚障害者がコミュニケーションの側面からこの問題を考えて解決していけないかな、と考えているんです。日本には550万人の難聴者がいる。世界では4.5億人いるんです。4.5億人の人が、これから80億人に増える人口の孤独を解決できたらおもろいなと思うんですよ。

「みんなの夢AWARD」でグランプリを獲得した瞬間。

尾中さんは去る2月、日本一の夢の祭典「みんなの夢AWARD」にファイナリストとして出場しました。先の壮大な夢を2000人の前でプレゼンテーションしたところ、全国から400名のエントリーがあった中、見ごと栄光のグランプリに輝いたのです。

両親が子どもをつくるとき、親戚には心配の声もあったそうです。でも今僕は毎日が楽しくて。両親が子どもをつくることをあきらめなくて良かったなって思うんです。だって両親があきらめてたら、こんなこと、全部なかったんです。観客席にいた両親の「おめでとう」という手話が見えたとき、自分を産んでくれてありがとうって心底思いました。

だから、聴覚障害のある今の子どもにも「あきらめない」心を持つ大切さを伝えたいんです。それがあれば、ちょっと人と違う場所でだって輝けるんです。

尾中さんいわく、近年は補聴器や医学の発達で聴覚障害者でも聴力を回復しつつあり、将来的には聴覚障害者はいなくなるのでは? ともいいます。

今は聴覚障害者を講師として雇用するなど、具体的に仕事をつくり出すことも行っていますが、本当に目指しているのは聴覚障害者がいなくなったとしても、今と同じようにサービスを続けていける仕組みです。

グランプリを勝ち獲った夜、尾中さんのお父さん、お母さんとともに。

たとえば「デフアカデミー」は、折れない心を育てるプログラムを開発・実践しているので耳の聞こえる聞こえないに関わらず、あらゆる悩みごとを抱えた子どもにも適用できる。

いずれは「DENSHIN」も、元聴覚障害者がコミュニケーションの一番大事なところを伝える研修という形もあるかもしれない。

いつも、聴覚障害者が助かるという視点から、もうひと段階掘り下げて、いかにすべての人にとっての価値に変えていけるかを考えています。同じ人間ですから必ずつながっているはずです。

ものごとには、いつも裏と表があります。尾中さんは、自分に与えられた環境をマイナスと捉えることもできたかもしれません。けれどそうはしなかった。むしろそれを糧に、逆転の発想で新しい価値観を世に問うている。少し先の未来、この新しい価値観が少しずつ世の中の当たり前になっていくことを私は信じます。


障害者解雇 再就職進まず 倉敷・フィル /岡山

2018年04月06日 11時51分24秒 | 障害者の自立

 倉敷市内で障害者の就労継続支援A型事業所を運営していたフィルが事業停止し、障害者約170人を解雇した問題で、フィルは4日、障害者の再就職先を確保するよう求めた市の命令に対する回答を提出した。しかし、再就職はほとんど進んでおらず、市は事業所指定の取り消し処分も視野に対応する。

  市によると、フィルは解雇した障害者の再就職支援に担当者を置いて対応しているとする文書を提出。口頭で「再就職が決まったのは数人程度」と報告した。市は先月30日付の命令に先立ち、再就職支援を求める勧告を3月15日付で出していたが、再就職はそれ以降ほとんど進んでいないとみている。今後、命令に従えないことへの弁明の機会を設けた後、指定取り消し処分を検討する。

 障害者総合支援法によると、取り消し処分を受けた事業者や役員は、障害福祉サービス事業を5年間できなくなる。

毎日新聞         2018年4月5日