ゴエモンのつぶやき

日頃思ったこと、世の中の矛盾を語ろう(*^_^*)

障害者の職場は「助成金」頼り? 事業所閉鎖で浮き彫りに「不自然な障害者ビジネス」

2018年04月22日 13時17分49秒 | 障害者の自立

 障害者の働く場所がどのように確保されるべきか――。依然として難しいこの問題について、改めて課題が突きつけられたのが、「障害者就労継続支援A型事業所」をめぐる一連の問題である。

 特に大きく報じられたのは、2017年7月末に、岡山県倉敷市にある5つの就労継続支援A型事業所が一斉に閉鎖され、利用者225人が突然、職を失った問題である。

 その事業所を運営していたのは一般社団法人「あじさいの輪」と、その理事長が運営する株式会社。チラシの封入や軍手の補修といった業務をしていたが、経営が苦しくなり、給与を払えなくなったとの理由で閉鎖にいたった。

助成金の利ざやで儲けていた

 そもそも「就労継続支援A型事業」とは、「障害者総合支援法」に基づき、通常の事業所に雇用されることが困難な障害者に対し、生産活動の機会を提供する事業所のこと。

 一般企業への就労を目指す就労移行支援と異なり、その事業所に継続的に通所することを想定した就労継続支援には、A型とB型の2種類がある。

 B型は通常、最低賃金を下回る額しかもらえず、雇用契約も結ばない。一方、A型は最低賃金を保証し、事業所と利用者は雇用契約も結ぶ。つまり、より一般の就労に近い通所を前提としているのだ。

 だが、今回の岡山の事業所閉鎖の背景には、この就労継続支援A型の運営が「不自然な障害者ビジネス」と化していた現状があった――。

 事業所には通所する利用者1人当たりの計算で、国から助成金が出る。たとえば、時給800円の利用者が1日に2時間の労働しかしなかった場合、1600円を支払うが、その際に国からも1日当たり、たとえば6000円が支給されるシステムになっている。

 その利ざやで運営者が利益を得る、というビジネスモデルになっていったのだという。

 障害者の通所施設では、そこで生産した商品や請け負った仕事によって得られる利益から障害者への賃金を払うべき。ところが、実際にはそれらの仕事でほとんど利益があがらず、助成金で運営される事業所がかなり多いのだという。

事業所の7割は助成金頼り

 もともと岡山県は、精神障害者の就労に関して、古くからあった「職親制度」や「精神障害者社会適応訓練事業(社適)」などの制度の下、かなり進んでいた地域だった。

 これらは国からの助成金が乏しい時代から続いていた。しかし、助成金が支給されるようになると「それなら……」といい加減な業者も参入してきたという。

 前出の岡山の事業所が立ちゆかなくなった背景には、運営が不適切な場合は、厚生労働省が指定の取り消しをすることも視野に入れ、運営状況の監督を強化してきたことがある。

 就労継続支援A型事業所は全国に3000カ所以上ある。そのうちの7割は、事業活動の利益だけでは利用者の賃金をまかなえず、助成金頼りの運営になっているのが実態だ。

 適切なサポートによって、障害者でも利益の出る商品やサービスを生み出すことができるはず。だが、現実にはうまくいかないところが多い――。

 ある程度の助成金頼りは仕方がないのかもしれないが、福祉とビジネスはどのようにすれば両立できるのか? 障害者の通所施設にも経営努力が求められている。

里中高志(さとなか・たかし)

精神保健福祉士。フリージャーナリスト。1977年生まれ。早稲田大学第一文学部卒。大正大学大学院宗教学専攻修了。精神保健福祉ジャーナリストとして『サイゾー』『新潮45』などで執筆。メンタルヘルスと宗教を得意分野とする。著書に精神障害者の就労の現状をルポした『精神障害者枠で働く』(中央法規出版)がある。

里中高志
里中高志(さとなか・たかし)
 
2018.04.21   ヘルスプレス
 
 

東北被災地でも課題 避難所バリアフリー化や人材確保、行政に現状訴え

2018年04月22日 13時11分54秒 | 障害者の自立

 災害発生時や復旧復興の過程で障害者をどう支えるかという重い課題は、東日本大震災から7年が経過した東北の被災地でもなかなか解消されていない。福祉関係者は避難所のバリアフリー化や、ヘルパーら福祉を担う人材の確保を行政側に訴え続けている。
 障害者の自立生活をサポートするNPO「CILたすけっと」(仙台市)は2011年3月末、宮城県内の福祉関係団体でつくる「被災地障がい者センターみやぎ」の事務局となり、ボランティアと共に被災者への物資配布や、生活相談などを担ってきた。
 行政側にも定期的に要望活動を重ね、今年3月には仙台市に1次避難所のバリアフリー化推進や、避難訓練に障害者が参加できる体制づくりなどを求めた。杉山裕信事務局長は「取り組みはまだ不十分。震災の教訓を生かせるよう提案を続ける」と話す。
 東京電力福島第1原発事故の被害を受けた福島県では、避難による人口減の影響もあり、ヘルパーら福祉の担い手不足が続く。南相馬市で障害者通所施設を運営するNPO「さぽーとセンターぴあ」の郡信子施設長は「行政に課題は認識してもらっているが、特に若手が少ない状況は変わらない」と実情を説明する。

2018年04月21日        河北新報


益城のボランティア団体 障害者支援新たな形で「孤立防止へ継続的に」

2018年04月22日 13時01分22秒 | 障害者の自立

 熊本地震の被災地で障害者をサポートしている民間福祉団体が、地震から2年を経て新たな支援体制を築こうとしている。ボランティア中心の組織から福祉サービス事業者への転換を図りつつ、被災者の生活相談に応じる準備を進める。代表の東俊裕さん(65)は「障害者が孤立しないよう継続的に支えたい」と話す。

 団体は地震直後の2016年4月に熊本市で発足した「被災地障害者センターくまもと」。熊本県益城(ましき)町に17年2月、拠点施設「障害者がともに暮らせる地域創生館」を設け、常勤職員6人が電話で相談を受けながら、全国からのボランティアと被災家屋の片付け、入浴介助などを支援した。
 益城町を中心に熊本市などでも活動し、17年度の支援件数は297件に上った。ただ、最盛期は1日20~25人に上ったボランティアは日を追って減少。運営の見直しが不可避となる中、新たに社団法人として障害者の訪問介護事業を展開し、被災の相談にも応じる方針を決めた。
 早ければ6月にも新事業をスタートさせる。代表の東さんは「仮設住宅を退去した後の住居探しなど、地震から2年を経てもさまざまな問題が生じている。組織的な体制を整える必要がある」と指摘する。
 自らも車いすで生活する東さんは弁護士としても活動し、東日本大震災の東北の被災地を何度も訪れた。「地域で孤立し、避難所に受け入れてもらえない障害者もいた」と痛感。熊本地震後、教授として勤務する熊本学園大(熊本市)の施設を、障害者も利用できる避難所として運営した。
 益城町で福祉事業に参入するのも、福祉サービスも十分に受けられず孤立する人を少しでも減らしたいとの思いがあるからだ。東さんは「一過性の支援ではなく、日頃の取り組みの中で障害者と地域のつながりをつくり出したい」と抱負を語った。

新たな福祉事業のスタートに向け、事務スタッフと打ち合わせをする東さん(右)

2018年04月21日        河北新報


親亡き後の知的障害者を支援 看護師常駐のグループホーム完成

2018年04月22日 11時53分55秒 | 障害者の自立

 知的障害のある人とその家族にとって「待望の施設」が4月、兵庫県明石市内に完成した。なぜ待ち焦がれていたのか。どんな施設なのだろう。取材した。

 JR大久保駅から北へ車で約10分。春には花見でにぎわう石ケ谷公園のすぐ手前に、知的障害者を支援する施設が集まっている。

 小学部から高等部まである市立明石養護学校。18歳以上を対象とする通所施設の市立木の根学園。社会福祉法人「明桜会」が運営する入所施設「大地の家」。

 この一角に、同法人が開設したのがグループホーム「あいすくりーむの家」だ。

 利用者5人、ショートステイ1人を受け入る。最大の特徴は、看護師が交代で24時間常駐することだ。

 白い壁。平屋の円形建物。訪ねたのは暖かい昼下がり。早速、利用者の布団が干してあった。高齢などで身体機能が衰えてきた人が利用できるグループホームも併設されていた。

     ◆

 明桜会は1998年、障害者の保護者団体が中心になって設立した。

 当時、市内で18歳以上の知的障害者が利用できるのは通所施設の「木の根学園」しかなかったため、共同生活ができる入所施設「大地の家」を設立。当初からの利用者は20年近く、ここで暮らしている。

 利用者や家族には、大きな悩みがあった。高齢などで病気になったり、手足を自由に動かせなくなったりして医療的ケアが必要になると、「大地の家」では対応できず、医師や看護師らの体制が整った病院に移るしかなかったからだ。

 医療的ケアが必要なまま退院しても、同会に看護師らの常駐体制がなく、市外の病院に転院していく利用者もいた。

 知的障害者は感受性が強く、ストレスに弱い人が多いという。そんな利用者が不慣れな環境を強いられ、なじみの薄い場所で終末期を迎える。保護者や関係者はずっと心を痛めていた。

 看護師が常駐できるようになった「あいすくりーむの家」では、胃ろうの管が挿入された人でも管が抜けないように目を配り、抜けても対応できる。歩行器を使うようになった人は、本人や仲間がけがをしないよう専門的な配慮ができる。

 施設管理者の奥山智子さん(62)は「親が亡くなり、帰るべき場所がなくなった知的障害者を最後までケアし、尊厳ある生活を送れる場にしたい」と話す。

 入所施設「大地の家」に長女(48)が暮らす明石市内の女性(72)は、「あいすくりーむの家」の完成を喜ぶ保護者の一人だ。

 1970年、双子の娘が生まれた。2人には知的障害があった。「自分が若いときはこの子たちも小さく、同居していた義母もよく面倒を見てくれていた」という。

 だが80年代後半、義父ががんになり、病院に送迎しながら娘たちを育てた。「当時、知的障害者を一時的に預かる施設は市内になく、親を介護しながら2人の世話をするのは大変だった」と振り返る。

 90年に義父が亡くなり、一緒に娘の世話をしてくれた義母も93年に亡くなった。

 娘2人は「木の根学園」に通っていたが、99年、同施設の近くに「大地の家」ができ、症状の重い長女を入所させた。次女は今も「木の根学園」に通う。

 開所20年目に入った「大地の家」は、入所者もそのまま年を重ねた。長女はそこが生活の拠点になり、友人も職員も20年、共に生活してきた。

 「大地の家」の保護者会長を務める傍ら耳にしたのは、体の衰えで病院でしか対応できず、施設を離れていく入所者がいることだった。

 両親が亡くなり、病院で治療を受けていた70代の入所者が、最後に住み慣れた「大地の家」に戻り、職員に看取られて亡くなる例も見た。

 自分が倒れたら娘はどうなるのだろう。

 考えると「夜眠れないこともある」という。他の保護者らと同じように「この子たちがいるから頑張れる」と自らを奮い立たせてきたが、自分も70代になった。2年前にペースメーカーを入れた夫(78)も以前のようには動けない。

 「あいすくりーむの家」ができ、親亡き後の子どもを任せられると、ひとまずは安心する。

 「娘がこの新しい建物に初めて入るとき、顔見知りの入所者に誘われると安心したのか、すっと入れた。みんなにとって『大地』はまさに家。子どもがずっと、地域で暮らせることを願っている」

 多くの人の協力で完成したことに感謝しながら「これが他の地域にも広がる第一歩になれば」と話す。

 「親亡き後」をどうするか。知的障害者や保護者にとって、高齢化への対応は長年の課題だ。

 県によると、療育手帳を交付されている知的障害者、発達障害者は県内で約4万9千人。明石市で約2600人(2017年3月末時点)。このうち18歳以上の重度障害者は約3割とみられる。

 健診などで幼年期に知的障害があると判明した人は通常、特別支援学校や特別支援学級に通う。卒業後、民間の事業所などに就労しない場合は福祉サービスを利用しながら通所施設に通うことが多い。高齢になるとグループホームで少人数の共同生活を送る。重度の障害者や、保護者が十分な介助ができない場合は入所施設で職員の支援を受けながら多人数で生活する。

 県などによると、障害者のグループホームは県内に225施設。だが、看護師が常駐するのは「あいすくりーむの家が初めてではないか」(県障害福祉課)という。

 県内にある知的障害者の入所施設71カ所でも、看護師が常駐しているのは6施設だけ。医療が必要になれば病院に移らざるを得ないのが実情だ。

 昨年秋、県知的障害者施設協会が主催した「福祉の集い」で大学教授や施設職員が現状を報告し、課題を共有した。県の担当者は「小規模なグループホームで看護師の24時間配置を実現したのは画期的。他の施設にも広がってほしいが、人材の確保とともに、医療従事者の理解の深まりが必要だろう」と話す。

「あいすくりーむの家」の中庭で長女と談笑する女性(左)=明石市大久保町大窪

「あいすくりーむの家」の中庭で長女と談笑する女性(左)
 
2018/4/21    神戸新聞NEXT

障害者施設で心理的虐待「女性社長が先導」

2018年04月22日 11時47分07秒 | 障害者の自立

 劣悪な保育環境で認定こども園の認定を取り消された「わんずまざー保育園」(廃止)に続き、兵庫県姫路市の事業者による心理的虐待などの不正が明らかになった。

 事業所指定を取り消した市は20日の記者会見で、既に事業所の廃止届を出した同市西庄の障害福祉サービス会社「実る」の女性社長を「虐待を先導しつつ、他は『知らないところで従業員がやった』と責任を認めていない」と糾弾する一方、最初の指導で事態を見抜けなかった点も認めた。

 市によると、「実る」は2006年11月設立で、翌年1月から障害者の居宅介護サービスを開始。09年9月に就労継続支援B型事業所として「club can do」を始めた。

 女性社長は50歳代で、障害者グループホームの管理者は長女、世話人の従業員の1人は姉、「club――」の管理者は息子が務めるなど、親族中心で運営に当たっていたという。

 知的障害者らが日中に通った生活介護事業所「club――」では、無断で知人の医師の名義を使って虚偽申請し、11年8月に県の事業所指定を受けた。13年には偽造した配置医師契約書を提出し、実地指導があった16年7月まで医師がいなかったことを隠蔽(いんぺい)。14年4月~16年7月の介護給付費約26万円を不正受給した。

 女性社長はこれも、「従業員がやった。(医師は施設に)来ていると思っていた」と否認しているという。

 一方、市は、12年に指定権限が県から移ったことから、13年7月、同社に最初の実地指導。偽造された医師契約書の書式や記述内容が「整っていた」ことから、虚偽を見抜けなかったという。この日の記者会見で岡本勝也・市保健福祉部参事兼監査指導課長は「県からの権限移譲から間もなく、不正を見分ける経験が未熟だったことは否めない」と苦渋の表情で話した。(藤井浩、新田修)

2018年04月21日 21時00分 Copyright © The Yomiuri Shimbun