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福祉ナビ:高齢者や障害者と一緒に暮らす共同住宅って?

2011年02月24日 01時28分30秒 | 障害者の自立
 ◆高齢者や障害者と一緒に暮らす共同住宅って?

 ◇支え合う、新しい形態 互いに老後を見合う/障害者と健常者が共に

 総ヒノキ造りの平屋に入ると、木の香りが漂う。長野県南部の泰阜(やすおか)村。アルプスの山並みを望む高台に「悠々長屋」(電話0260・25・2255)は建つ。病気などで体調を崩し自宅で暮らせない高齢者を、元気なお年寄りが支える共同住宅だ。

 09年5月、村の地域交流センターも兼ねてオープンした。村の委託を受けた高齢者協同企業組合泰阜が運営している。まきストーブや掘りごたつを置いた広いリビングを囲むように個室10室が並ぶ。半分は組合員用。残る5室は非組合員向けで、現在は認知症や知的障害がある80~90代が入居している。

 組合員は1口5万円の出資金を払って加入すると、自分が体調を崩したり、自宅での生活が難しくなった時、ここに入居できる。ただし加入後は介護が必要な入居者らの送迎や食事作り、まき割りなど年60時間のボランティアをこなす義務がある。一時的な住まいでも最期を迎える終(つい)のすみかでも、使い方は自由だ。組合員は現在、県内外に63人いる。

 宮島義寛さん(84)と妻昭子さん(82)はオープンと同時に組合員になった。息子2人は同居を勧めるが「子どもに当たり前のように面倒を頼める時代ではない。地縁や人との縁で互いに老後を見合うのも一つの方法と思った」と話す。

 費用は非組合員の場合、敷金・礼金がそれぞれ15万5000円。1カ月の入居費は標準(要介護度3程度)が月15万5000円。組合員は割引があり、敷金・礼金は不要だ。共同住宅は介護保険の適用外のため、日中はヘルパーら4人が食事や排せつの介助などを行い、夜は組合理事長の本田玖美子さん(69)と組合員が交代で泊まっている。

 泰阜村は在宅福祉の村で知られる。人口1881人(2月1日現在)で高齢化率は37・7%だが、公共事業費などを削り在宅支援を手厚くした結果、08年度の1人当たりの老人医療費は全国平均の86万5146円を大きく下回る54万5932円になった。

 大学教授だった本田さんは研究のためこの村に通い、4年前に気に入って移住。スウェーデンの過疎の村での実践例を参考に、悠々長屋を設立した。「住み慣れた土地で暮らしたい人だけでなく、古里のない団塊世代の受け皿にもなり得る。今は財政的に大変だが、空き室に一般客を有料で泊めるなどの方法で収入を増やしていきたい」と話す。

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 介護の必要な高齢者や障害者だけが施設に集まって暮らすのは、自然な社会の姿ではない--。そんな発想で、共同住宅の新しいスタイルを模索する動きが広がりつつある。

 JR恵比寿駅(東京都渋谷区)から徒歩8分の高級住宅街には、軽い知的障害がある人と障害のない人が一緒に暮らす共同住宅「いこっと」(電話03・5766・7302)がある。障害者の生活を支援するNPO法人「ぱれっと」(同)が昨年4月に設立、今は27~48歳の障害者4人と健常者3人の計7人が暮らす。

 3階建て全8室の各部屋には鍵が付き、1室6畳程度で家賃は月7万円前後。ほかに電気代と備品代が月計6000円かかる。台所、風呂、トイレ、冷蔵庫などは共有だ。管理人のようなスタッフはおらず、入居者は最低月1回集まり、掃除分担などのルールや改善点を話し合う。

 一等地に造れたのは企業の支援があったからだ。ぱれっとの活動に協力してきた建築資材製造会社「東京木工所」(同)が所有地約105平方メートルを無償提供し、約3700万円の建物を建設。ぱれっとは建物を借り上げ、家賃収入で建設費を返済している。

 軽い知的障害がある石橋美帆さん(35)はさいたま市で家族と暮らしていた。自立のため1人暮らしの住まいを探していて、いこっとを知った。昨年11月、面接を経て入居が決まり、実家で掃除や自炊の訓練を重ねた。初めは人とのコミュニケーションが不安だったが、入居者同士でボウリングに行ったり、レストランで誕生会を催すうちに仲間が増え「行動範囲も広がって楽しい」と話す。

 「少しの支えがあれば、地域で自立して生活できる人は多い」とぱれっと理事長の谷口奈保子さん。「こうした共同住宅は地価の安い地方ほど建てやすい。企業や地主・家主、行政を巻き込むことが成功の秘訣(ひけつ)」とアドバイスする。

毎日新聞 2011年2月23日 東京朝刊


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