自閉症のハンディをものともせず粘土人形を作り続ける「粘土職人よっちゃん」こと、水戸市立笠原中二年の松橋克希(よしき)さん(13)を取り上げた自主制作映画「欲望の怪物」(松本卓也監督)が完成した。障害者が持つ個性や可能性を楽しく知ってもらうことが狙い。三十分の短編エンターテインメント作品で、二十三日の取手映画祭で初上映される。 (山下葉月)
母親の裕子さん(47)によると、松橋さんは幼少期に発達障害があることが分かり、自閉症と学習障害と診断された。現在は笠原中の特別支援クラスに通学しながら、アクリル絵の具で多彩な色を付けた紙粘土を使い分け、精密な十五センチほどの人形を作り続けている。
松橋さんの姿を通して障害者の自立を支援しようと、裕子さんが知人らに呼びかけ映画制作の実行委員会を発足。昨年十一月から水戸や笠間市などで撮影を始めた。
映画は、松橋さんの作った人形が、持ち主の欲望をかなえるとされ、主人公ら女性三人組がこの人形を手に入れようとサバイバルイベントに参加する。誰もが持っている欲望をテーマに風刺をきかせ、面白おかしく描いた。
映画には松橋さんも出演。裕子さんは「誰が見ても楽しい映画になった。よっちゃんの『できない』ことより『できること』を見てほしい。それが個性を生かせる社会につながるのでは」と力を込める。
上映は、取手ウェルネスプラザで午後一時半から。入場無料。このほか、五月四日、水戸市の県民文化センターで特別試写会を開く。問い合わせは裕子さん=電080(3754)9796=へ。
映画のワンシーン。よっちゃん(左)も本人役として登場する 「映画にはよっちゃんの粘土作品がたくさん登場します」と紹介する母親の裕子さん
2019年3月23日 東京新聞
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