◇法律や弁護士に気軽に接して--信田恵三さん(51)
◆県弁護士会とは
弁護士法で定められた法人で、県内で活動する弁護士87人が登録しています。「人権擁護委員会」「消費者問題対策委員会」「高齢者障害者支援センター」などの委員会があり、各弁護士は複数の委員会に所属して日々の業務以外の公益的な活動を実践しています。
◆4月に会長に就任しましたね
任期は来年3月31日までですが、主に二つのことに取り組みたいと思っています。
一つは、弁護士をより多くの人に身近な存在としてPRすることです。弁護士というと、市民には親しみにくい存在だったと思います。でも、実際にはそんなことはない。気軽に何でも相談してもらいたい。そのために、市民開放講座や無料の相談窓口開設などを実施しています。今月18日の改正貸金業法施行に伴い、26日には多重債務に関する無料相談会を開催します。
もう一つは、他業種の関係者とのネットワーク構築です。特に福祉分野には、法的なこと以外の多様な問題があります。法律やお金に関する問題なら、弁護士がある程度解決の力になれますが、福祉サービスが必要な高齢者や障害者、生活困窮者には、法律以前の日常生活のフォローが必要です。
◆他業種との連携を意識したきっかけは
福祉に携わるケースワーカーから弁護士への相談が非常に多いのを知ったことです。
高齢者や障害者の抱えるお金の問題も、本人に問題意識があれば法テラス(日本司法支援センター)が相談窓口になりますが、ケースワーカーが指摘しても本人に自覚がない場合、法テラスは対応できません。これらの問題は弁護士や、医療、福祉関係者が連携して取り組むべき問題だと思います。
◆そのためにどんな活動を
弁護士の他、県や市町村の担当者、社会福祉士、ケアマネジャーを集めた勉強会を開いています。4月22日に開いた「高齢者虐待事例勉強会」には70人以上が集まり、医療、後見問題や「虐待者と被虐待者を分離すべきか」といったことについて活発に議論しました。
◆刑事事件に関して弁護士会で取り組みたいことは
裁判員裁判が始まって1年がたちました。甲府地裁では死刑が審理される公判はまだありませんが、いずれ出てくることになると思います。
我々も死刑という刑罰について真剣に考える機会はそう多くない。一般市民ならなおさらでしょう。7月3日に、死刑囚と接する刑務官を描いた映画「休暇」を上映する市民集会を企画しています。
「司法を身近に」という点では民事でも刑事でも我々が取り組むことは同じです。法律や弁護士に気軽に接してもらえるような試みを続けていきたいですね。
==============
■人物略歴
◇しのだ・けいぞう
1958年生まれ。県立巨摩高、中央大法学部を卒業後、東京で警備員をしながら試験勉強に励み、33歳で司法試験に合格。95年に県弁護士会に入会し、現在ひまわり法律事務所(甲府市)所属。休日にジムで体を動かし、サウナに入るのがリフレッシュ法。
毎日新聞 2010年6月23日 地方版
◆県弁護士会とは
弁護士法で定められた法人で、県内で活動する弁護士87人が登録しています。「人権擁護委員会」「消費者問題対策委員会」「高齢者障害者支援センター」などの委員会があり、各弁護士は複数の委員会に所属して日々の業務以外の公益的な活動を実践しています。
◆4月に会長に就任しましたね
任期は来年3月31日までですが、主に二つのことに取り組みたいと思っています。
一つは、弁護士をより多くの人に身近な存在としてPRすることです。弁護士というと、市民には親しみにくい存在だったと思います。でも、実際にはそんなことはない。気軽に何でも相談してもらいたい。そのために、市民開放講座や無料の相談窓口開設などを実施しています。今月18日の改正貸金業法施行に伴い、26日には多重債務に関する無料相談会を開催します。
もう一つは、他業種の関係者とのネットワーク構築です。特に福祉分野には、法的なこと以外の多様な問題があります。法律やお金に関する問題なら、弁護士がある程度解決の力になれますが、福祉サービスが必要な高齢者や障害者、生活困窮者には、法律以前の日常生活のフォローが必要です。
◆他業種との連携を意識したきっかけは
福祉に携わるケースワーカーから弁護士への相談が非常に多いのを知ったことです。
高齢者や障害者の抱えるお金の問題も、本人に問題意識があれば法テラス(日本司法支援センター)が相談窓口になりますが、ケースワーカーが指摘しても本人に自覚がない場合、法テラスは対応できません。これらの問題は弁護士や、医療、福祉関係者が連携して取り組むべき問題だと思います。
◆そのためにどんな活動を
弁護士の他、県や市町村の担当者、社会福祉士、ケアマネジャーを集めた勉強会を開いています。4月22日に開いた「高齢者虐待事例勉強会」には70人以上が集まり、医療、後見問題や「虐待者と被虐待者を分離すべきか」といったことについて活発に議論しました。
◆刑事事件に関して弁護士会で取り組みたいことは
裁判員裁判が始まって1年がたちました。甲府地裁では死刑が審理される公判はまだありませんが、いずれ出てくることになると思います。
我々も死刑という刑罰について真剣に考える機会はそう多くない。一般市民ならなおさらでしょう。7月3日に、死刑囚と接する刑務官を描いた映画「休暇」を上映する市民集会を企画しています。
「司法を身近に」という点では民事でも刑事でも我々が取り組むことは同じです。法律や弁護士に気軽に接してもらえるような試みを続けていきたいですね。
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■人物略歴
◇しのだ・けいぞう
1958年生まれ。県立巨摩高、中央大法学部を卒業後、東京で警備員をしながら試験勉強に励み、33歳で司法試験に合格。95年に県弁護士会に入会し、現在ひまわり法律事務所(甲府市)所属。休日にジムで体を動かし、サウナに入るのがリフレッシュ法。
毎日新聞 2010年6月23日 地方版
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