障害者による手すきの紙を愛用する作家らの作品展「御影倶楽部(くらぶ)と仲間たち」が、白鶴酒造資料館(神戸市東灘区住吉南町4)で開かれている。素朴な質感と厚み、ぬくもりを生かし、大小さまざまな絵や版画、凧(たこ)など計約120点が並ぶ。11月3日まで。
障害者作業所「御影倶楽部」(同市同区御影本町3)では、8年ほど前から、利用者が不用の酒パックをちぎり、1枚ずつ手すきで紙作りに取り組む。
名刺の素材として利用されていたが、数年前から美術家の間に口コミで広がった。イラストの台紙や飲食店のメニューなど、好みに応じた注文が相次いでいるという。
地域に密着した運営の一環として、白鶴酒造が会場を提供して、展示が実現。出品者はいずれも神戸在住で、「WAKKUN」の愛称で活躍する涌嶋克己さん▽太田朋さん▽小野サボコさん▽加藤亮太郎さん▽寺西奈央さん-の5人。
タコが月見をしているユニークな掛け軸を並べた湧嶋さんは「いい意味でのラフさがあり、自分の絵としっくりくる」と魅力を語る。紙すき歴10年の黄日祥(こうにっしょう)さん(65)は「芸術活動に楽しく使ってもらえてうれしい」と話した。
御影倶楽部の紙を取り扱うトンカ書店(同市中央区下山手通3)でも同様の作品展を31日まで開催中。今回の5人を含む13人が参加している。
24日午後2時からは、動画とトークで利用者らが紙すきを紹介する。午前9時半~午後4時半。
入場無料。同資料館TEL078・822・8907
障害者の手すき紙を使った思い思いの作品が並ぶ=神戸市東灘区、白鶴酒造資料館
手すきの紙を作っている障害者とスタッフたち=神戸市東灘区、御影倶楽部
2015/10/20 神戸新聞
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