2006-0705-yms078
千年も澄んだ水面に月うつり
ますますもって穏やかでしょう 悠山人
○紫式部集、詠む。
○略注=前歌は1008(寛弘5)年9月15日。その翌日、つまり16日も晴夜。若い女房たちが、華やいだ声をあげて、池の中島の周りで舟遊びをしている。楽しそうなので一首。道長の栄華と若宮の祝誕を詠い込む、と新潮注。この作品は、来歴なしでそのまま現代に通用する。語注なし。現代詠の「水面」は「みなも。みのも」両読み。
○じつは、『紫式部日記』は、大方ご承知のとおり、彰子の皇子出産が前半の主題となっている。参考のために、同じ『新潮 日本古典文学集成 紫式部日記・紫式部集』によって、開巻第一文節だけ転記する。
秋のけはひ入り立つままに、土御門殿のありさま、いはむかたかくをかし。池のわたりのこずゑども、遣水のほとりの叢、おのがじし色づきわたりつつ、おほかたの空も艶なるにもてはやされて、不断の御読経の声々、あはれまさりけり。やうやう涼しき風のけはひに、例の絶えせぬ水のおとなひ、夜もすがら聞きまがはさる。
□紫078:くもりなく ちとせにすめる みずのおもに
やどれるつきの かげものどけし
□悠078:せんねんも すんだみなもに つきうつり
ますますもって おだやかでしょう
千年も澄んだ水面に月うつり
ますますもって穏やかでしょう 悠山人
○紫式部集、詠む。
○略注=前歌は1008(寛弘5)年9月15日。その翌日、つまり16日も晴夜。若い女房たちが、華やいだ声をあげて、池の中島の周りで舟遊びをしている。楽しそうなので一首。道長の栄華と若宮の祝誕を詠い込む、と新潮注。この作品は、来歴なしでそのまま現代に通用する。語注なし。現代詠の「水面」は「みなも。みのも」両読み。
○じつは、『紫式部日記』は、大方ご承知のとおり、彰子の皇子出産が前半の主題となっている。参考のために、同じ『新潮 日本古典文学集成 紫式部日記・紫式部集』によって、開巻第一文節だけ転記する。
秋のけはひ入り立つままに、土御門殿のありさま、いはむかたかくをかし。池のわたりのこずゑども、遣水のほとりの叢、おのがじし色づきわたりつつ、おほかたの空も艶なるにもてはやされて、不断の御読経の声々、あはれまさりけり。やうやう涼しき風のけはひに、例の絶えせぬ水のおとなひ、夜もすがら聞きまがはさる。
□紫078:くもりなく ちとせにすめる みずのおもに
やどれるつきの かげものどけし
□悠078:せんねんも すんだみなもに つきうつり
ますますもって おだやかでしょう