2006-0730-yms097
ひっそりとわが家に咲いた紅梅の
香りが雲に届きますよう 悠山人
○紫式部集、詠む。
○略注=宮中へ差し出す紅梅に添えて。里篭りながら、梅の花が綺麗に咲きました。(わが身はまだ出仕していないので、)せめて香りだけでも内裏へ届いてほしいものです。平王ク歌番号103。
○「梅」の読みについて。「むめ」から「うめ」へ移行、が定説で、平王ク・渋谷版とも「むめ」読み。ただし新潮版は指定なし。旺文版古語辞典の用例に、時代はだいぶ下るが、「むめ一輪 一りんほどの あたたかさ」(嵐雪)。「埋」についても同様。ここでは二語同時なので、「むめ」「むも」に統一したが、かなり早い時代から「む」「う」が併用されていたから、「うめ」「うも」は誤記誤読、とは言えない。
¶むもれ木(埋もれ木)=「土中や水中に埋もれている木。」(新
潮版) 続けて「やつるる」(みすぼらしい、貧弱な)と、謙譲を重
ねる。合わせて蟄居生活も滲ませる。平王クは「埋木」と表記。
¶雲の上=宮中。内裏。
□紫097:むもれぎの したにやつるる むめのはな
かをだにちらせ くものうへまで
□悠097:ひっそりと わがやにさいた こうばいの
かおりがくもに とどきますよう
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☆午後、東北を除いて、長すぎた梅雨が明けた。☆