全羅南道に伝わる民話です。
慾深い老夫婦と、心の優しい老夫婦が、隣り合わせに住んでいました。
或る日、心の優しい爺は、いつものように、薪を採りに山の中へ入って行きましたが、
夜になっても、帰って来ません。
婆は、まんじりともせずに、朝を迎えました。
昼ごろになって、一人の若者が現れ、庭に荷物を下ろしました。
婆は、おずおずと近づき、若者の顔を見ると、なんと、若い時の爺ではありませんか。
爺は、いぶかる婆の手を引いて、奥山の泉の畔につれて来ました。
婆が泉の水を一口飲むと、婆は、花嫁の頃の若々しい姿になりました。
それを聞いた、隣の欲深い夫婦は、急いで山に入り、泉の水を、がぶがぶ飲みました。
心優しい夫婦が心配して、山に行って見ると、男と女の赤ちゃんが、産声を上げていました。
二人は、赤ちゃん達を、優しく抱き上げて、山を下って行ったと言うことです。
お終い。