ブローバ(BLOVA)、エルジン(ELGIN)、ベンラス(BENRUS)スモールセコンド
ブローバは、以前にご紹介しました。エルジンも戦前のアメリカの時計メーカーです。ベンラスもアメリカの時計メーカーですが、文字盤には”SWISS"と書かれています。戦前のアメリカの時計メーカーは、ドイツ系スイス移民が立ち上げた会社が多いです。
みな戦前のアメリカの時計です。スクエアーでデザインも似ています。
左がベンラス、右がブローバです。ベンラスはプラスチック風防で、厚く盛り上がっています。プラ風防は、やはり傷がつきやすく、汚れてきます。表面の細かい傷で曇りが出ますので、コンパウンドで磨きます。深い傷は修復できませんが、細かい傷は、消えてピカピカになります。
ブローバの風防は、当時としてはかなり珍しいのではないでしょうか、ガラス製です。プラスチックに比べて傷はつきにくいのですが、割れやすく、この風防も四角が欠けています。現代は、サファイアガラスが使われているので、当時のガラスよりは硬くて丈夫です。以前にも紹介しましたが、ガラスは欠けたままにしておくとさらに欠けが広がってきますので、ABS樹脂製の充填接着剤で補修しておきます。
ブローバのフレームと裏蓋は、10k金製です。
エルジンも、フレームも裏蓋も10Kの金製です。この当時は、ステンレスが普及していなかったので、腐蝕しない金を使う腕時計が多く作られています。
エルジンの風防はプラスチック製なので細かい傷のある表面は、コンパウンドで、裏側はカメラレンズクリーナーで磨きます。
文字盤は、ほとんど腐蝕が見られず大変キレイな状態でした。
ただ小さなゴミ、ホコリがけっこうついていたので、フロワーで吹いたのですが飛びません。刷毛を使って払って、キレイになりました。
フレームと裏蓋は、コンパウンドが含まれている「金みがきクロス」で、磨きます。
金は腐蝕しないけれど、柔らかいので細かな傷がつきやすいです。逆に言うと、コンパウンドなどで磨くと艶が出て、大変キレイになります。
裏蓋もフレームもピカピカに、なりました。
古い時計は常に手をかけて行かないと、分解掃除をしてもすぐに調子が悪くなってしまいます。現代の時計は大変丈夫なので、同じように古い腕時計を扱うと、調子が悪くなったり壊れてしまうこともあります。
また、今の時計の防水は当たり前の機能ですが昔の時計に水は厳禁で、激しく動かすことも故障の原因になりました。時計を左手に着けるのは、普通は右利きの人が多いので、右手に着けると時計を傷つけやすいと言うこともありますが、激しく動かすことの少ない左手に着けたという理由もあります。
昔の時計は、大変デリケートなものだったのです。
~~~~~~~~~~~~~~~~~ ~~~~~~~~~~~~~~~~~~