タイメックスの手巻き日付つきです。
タイメックスはアメリカの時計メーカーで、スイスや日本のような高級時計ではなく、本来精密機械の時計をリーズナブルな価格で提供するというコンセプトで作られた、高級感はありませんがデザイン的にもなかなか優れた時計です。
時間目盛りが太く、日付窓がやや中心に寄った特徴的なデザインです。ラグ幅は19mmでベルトが太く、個性的です。
最近買った合成樹脂製のノギスです。温度による伸び縮みが少なく、結構高い精度で測れます。スチール製と違って軟らかいので、測る対象物を傷つけません。
ベルトは本革のようですが表皮は型押しです。いかにもタイメックス風ですがオリジナルではないと思います。
時計は、かなり古いもののようで、と言っても戦後1970年代頃でしょうか。タイメックスというブランド名を名乗ったのは1969年からだそうです。
状態はゼンマイを巻き切っていて、振ると秒針が動きますがすぐに止まってしまいます。開けて見て、ちょっとビックリ。一瞬、クォーツかと思いました。ムーブメントを押さえる白いプラ枠からすると、もう少し新しい1980年代頃のものかもしれません。
石など使ってないようで、スチールの受板が直接テンプや歯車の軸を押さえています。ムーブメントがケースの中央に小さく収まっていて、まるでクォーツの様相です。上方に見える香箱(ゼンマイが収まっている)が一瞬、電池に見えました。日付窓が中心に寄っていたのは、このためだったのか・・・。
とてもシンプルというか合理的というか・・・。テンプもあっさりしていて、勿論チラネジなど無くて、薄いスチールの板を打ち抜いて作られているようです。ピンセットで触ると何かグラグラしていて、これで大丈夫なのかと心配になります。加工精度以前の、工場大量生産品の雰囲気です。
テンプはスムースに抵抗なく動くのですが、すぐに止まってします。ここで本来であれば分解掃除なのですが、例の裏技、魔法のスプレー液でジャブジャブと洗浄しました。
ブロワ―で吹いて液を蒸発させると何のことはない、しっかり動き出しました。白いプラ枠をはめ込んで完了。ちょっと、あっけない・・・
文字盤の周辺部分が少々汚れていますが、プラ風防はキレイで、これで良しとしましょう。高級感漂う時計ではないし、多少使い込まれた雰囲気の方が似合いそうなので。ちょっと、かわいそう?
とてもシンプルな構造のようですが、日付がついていて立派です。でもリュウズは一段引きで、日付変更は時間合わせのリュウズを巻く操作で24時間回さなければなりません。それで日付はしっかり変更できましたが。
受板は一枚だし部品点数がとても少ない構造です。しかし部品が少ないということは、組み上げた時の全体の精度を確保し易いということにもなります。全体の精度は、個々の部品とそれを組み立てる作業技術レベルの累積で決まります。また部品点数が少なければ、それだけ組み立て作業もしやすいし価格も安くできます。タイメックスは、そのようなコンセプトで作られている時計だと思います。
タイメックスはカジュアルな腕時計で、気軽に着けることができて気に入ってます。他にも何本かあったと思います。戦後唯一残っているアメリカの時計メーカーで、そのためか歴代のアメリカ大統領に愛用者が何人かいるそうです。(from Wikipedia)
カメラ、万年筆、腕時計、etc. ・・・の工房を主宰してはいるのですが、もう腕時計販売と修理のお店が開けそうですwww
このところ時計ばかりが続いたので、次は何か違うものをアップしようと思ってます。
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