Dr. 鼻メガネの 「健康で行こう!」

ダンディー爺さんを目指して 日々を生き抜く
ダンジーブログ

癌性胸膜炎

2009-06-10 | 想い・雑感
お腹の中が腹膜という膜で覆われているように
胸の中には胸膜という膜がある
その胸膜に癌が存在し胸水が溜まったりする状態が
癌性胸膜炎

胸膜原発の癌はまれで
多くはほかの臓器から胸膜へ転移してきたもの
その場合癌としたら全身に散っている状態で
すでに末期といわれる状況

癌に対する治療とすれば
抗がん剤による全身治療が適応となる
薬が効かなければ
癌自体に対する治療方法は手詰まりとなる

胸水が多くなると肺を圧迫し
呼吸が苦しくなる

胸に針を刺したり 管を入れたりして
胸水を抜いてあげると少し楽になる
水を抜いた後に薬剤を注入して
水がたまりにくくしようと試みても
多くの場合は効果が出ず
またすぐに溜まってくる

胸水の中にはたんぱく質その他の栄養素も含まれているので
胸水を抜くことは
ある意味栄養も抜き取ることになる
でも呼吸が苦しいという
生命に関わる苦しみに対する恐怖を少しでも緩和するために
また抜く
そのたびにほかにできることは無いかと考える
患者さん自身がまだ家に帰る希望を失っていないうちに
勝手に手を引くことはできない

苦しい息の下で
「少し食べられるようになれば楽になると思うけど・・・」
と患者さんがつぶやく