何もしない
ということに耐えるのは難しい
80代後半の女性が
胃癌で亡くなった
食べる量が次第に減り
入院後は点滴を開始された
昔なら
自然に枯れていき
眠るように亡くなったのかもしれないが
点滴による水分と栄養の補給により
命を少し永らえられるようになっている
延びた時間の間も
癌自体は確実に広がっており
そのことによる苦しみも増してくることがある
この女性も
痛みが出てきた
吐き気が出てきた
息苦しさがでてきた
熱が出てきた
点滴をしなければ
ここまで命を永らえることはなく
後に出てきた苦しみは感じる必要がなかったかもしれない
でもここで点滴をするか否か
決めることは難しいし
絶対の正解も無いのだろう
ある人が
「もう治らないとわかれば
苦痛を取ること以外の治療は何もしない」
と心に決めていたとしても
実際に何もしない
ということを実行するのは難しい