Dr. 鼻メガネの 「健康で行こう!」

ダンディー爺さんを目指して 日々を生き抜く
ダンジーブログ

余病

2013-01-29 | 想い・雑感
手術を予定するときには
患者さんの全身状態を見るために
呼吸機能検査
心電図検査や必要なら心エコー検査
血液型
感染症の有無
血液生化学検査
などを行い
さらに肝機能検査や腎機能検査なども行うことがある

それらを術前検査と呼ぶが
そこで初めて手術とは直接関係がない
体の異常が見つかることがある

「これまでずっと健康で病院にかかった事がない」
と自信たっぷりだった人は
検査しなかったからわからなかっただけで
実はかなり前からばっちり健康という状態でなかった
ということがわかってしまうことになる

早期胃癌で紹介されてきたMさん
術前検査でかなりの糖尿病であることが発覚
手術前にまずは血糖のコントロールが必要ということで
内科に入院していただいた

糖尿病は失明の原因ともなる疾患
必ず眼科も受診していただくことになるが
そこでレーザー凝固が必要と診断され
その治療も受けることに

一段落して胃の手術

それにしても
手術をすることにならなければ
そのうち失明していた可能性があったこと考えると
早期の癌が見つかってよかったのかも知れないですね

突然

2013-01-29 | 想い・雑感
本屋さんや図書館に行くと
がん患者さんの闘病記をよく見かける

癌にかかってしまう
というのは人生において大変なことだが
ある意味闘病記を書ける状態が
ある期間は持続することができることを意味する

一方
脳梗塞などで突然自由を奪われながらも
生を保てた場合
その後の闘病記というものを
本人が書いたものというのは少ない

やはり
脳へ受けた障害から
外に向け表現をするというのがむつかしくなるのかもしれないし
程度の差はあるが大幅に身体の自由が奪われてしまう事が多いからだろう

さらに
動かなくなった手足
物を飲み込めなくなった口
発語ができなくなった状態
人の言葉の意味がわからないこと
身の回りのことのほとんどを人にしてもらう必要があること
などなど
赤裸々に見せることはかなり辛いということもあるであろう

しかも
人体としての機能喪失が突然訪れる
恐怖 悲しみ 絶望 孤独 怒り 
を乗り越えて表現することは
大きな困難を伴うだろう

そこをおして表現された
脳梗塞後の闘病記は
こちらの胸まで大いにかきむしる

医療者はそのような苦しみの叫びに
耳を傾けなければならない