患者さんやそのご家族から声をかけられたら
きちんとそちらを向いてお話を聞き
忙しそうな様子を出さないよう心がけている
手術の時間が近づいていたりすると
どうしてもないがしろな受け答えになることもあることは白状するが
なるべくそうならないよう努力している
人と人とのコミュニケーションの基本は
この 向き合う ということだろうと思う
これまでの総理大臣 各大臣 大物といわれる政治家
の受け答えを見ていると
レトリックの技術を
相手に何かを伝えるために使っているのではなく
けむに巻き ごまかすため
自分の意見をごり押しするため
につかってきていたように思う
また質問や意見に正面向いて答えず
都合の悪ことからは逃げるような態度が見え隠れした
昨夜の鳩山丸船出での
首相の記者に対する受け答えは
これが当たり前とは言いながら
記者のほうを向き
質問内容に対してきちっと答えていた
わかる言葉で
わかる論理展開で
語る総理大臣は
近年初めてではないだろうか
もうじき術後2年を迎える
進行大腸がんの女性
実家がお寺との事で
お盆やお彼岸などには手伝いに戻るという
*******
あまりの忙しさに
終わるとぐったり
家にいたほうがずっと楽
主人が何でもしてくれるから
あまり主人が良くしてくれるので
時に
「ひょっとして私の病気悪いの?
知らないところで医師から何か説明を受けているの?」
と不安になる
*****
患者さんが
何につけても
ふと不安を感じてしまう心理
乱れる心を
ほんの少しでも意識しつつ
診療を行いたいものだ
肛門癌の手術を受け
人工肛門となったかたが
外来に来られた
置いた荷物を見ると
Harley-Davidsonの帽子がおいてある
「バイクに乗られるのですか?」
「え?
いや 乗っていたのですが
この病気をして手放しました
振動で内臓がおりるような感じがするので
だけどこの時期バイクの音を聞くと
そわそわ いらいら してしまいますね」
手術は体を傷つける治療
なるべく障害が残らないように
不安が残らないように心掛けていても
手術の前と後では
体調は異なってしまう
さまざまな不安や体の変調を抱えながら
日々を過ごすことになる
大好きなバイクをあきらめることにもなる
1年2カ月使い続けたヘルメット
はじめて洗った
それほど汚れているとは思わなかったが
洗ったのちにかぶってみると
実にさわやか
気がつかぬうちに
垢や汗を吸い取ってくれていたのであろう
そして天気の良い休日に
全くバイクに乗らなかったのも
この1年2カ月で初めてのような気がする
ヘルメットがなかなか乾かずいたしかたなし
夕暮れも早くなり
静かな夜の背景は
虫の声が主となっている
ふらふらと走り回ることばかり考えず
夜長を読書で過しますか
以前は
喜怒哀楽を現さないで寡黙であるのが
男らしいと思っていた
感情を表すのは
恥ずかしいことだと思っていた
でも言わなきゃ伝わらない
最終的に言葉にならなくても
少なくとも伝えようとする意識や行動がなければ
伝わらない
とわかるようになってきたのは
最近の事かも知れない
両親に対する感謝の気持ち
ずっと持っていたけど
その気持ちを素直に表したことがあっただろうか
わかってくれていると思っていたけど
本当にそうだったのだろうか
親が旅立ち
随分と時が流れて
心が痛む
患者さんのことを考えていても
その気持ちを
実際の行動に現さなければ
伝わらない
患者さんも
症状を
気持ちを伝えなければ
わからない
伝え
感じる
能力が必要
双方にとって
何もしない
ということに耐えるのは難しい
80代後半の女性が
胃癌で亡くなった
食べる量が次第に減り
入院後は点滴を開始された
昔なら
自然に枯れていき
眠るように亡くなったのかもしれないが
点滴による水分と栄養の補給により
命を少し永らえられるようになっている
延びた時間の間も
癌自体は確実に広がっており
そのことによる苦しみも増してくることがある
この女性も
痛みが出てきた
吐き気が出てきた
息苦しさがでてきた
熱が出てきた
点滴をしなければ
ここまで命を永らえることはなく
後に出てきた苦しみは感じる必要がなかったかもしれない
でもここで点滴をするか否か
決めることは難しいし
絶対の正解も無いのだろう
ある人が
「もう治らないとわかれば
苦痛を取ること以外の治療は何もしない」
と心に決めていたとしても
実際に何もしない
ということを実行するのは難しい
仕事帰りに遠回りをして
標高500mほどの高台に行くことがある
周りには小高い山々が見えるのみ
日常から一気に非日常へ
鳥や虫の声
風の音や肌触り
草のにおい
それらに包まれながら
コンクリート製のベンチに横たわる
今日の空はどこまでも青く
片隅に一刷毛の雲が見えるのみ
青い空のさらに向こうは
無限と思える宇宙へと連なる
宇宙エレベーター
それが実現するなら
乗ってみたい
などと思っているうちに
一時間ほど眠ってしまった
高台にやってきた
寒さを少し感じさせる冷気で
目を覚ました
私の感じ方の問題かもしれないが
低炭素社会という言葉は
なんとなくしっくり来ない
と言って他の言葉も思いつかないのだが・・・
低炭素社会 low-carbon society
という言葉はどれくらい市民権を得てきているのだろうか
エネルギー源として炭素を用いるのを少なくしえ二酸化炭素の排出を抑えると共に
植林その他で二酸化炭素の固定化を図る・・・
ということだろうと頭では理解できるのだが
どうも炭素自体に対するネガティブキャンペーンの標語のように感じてしまうのだ
生物の体は様々な分子を取り入れ
それをエネルギー源としたり 体の構成要素に組み込んだりして生きているのだが
その分子の多くは炭素を骨格としたものである
例えば私たちのエネルギー源となる糖分は炭水化物と呼ばれる
これは炭(炭素)と水から成り立つ分子である
脂肪だってその骨格は炭素である
そう 私たちは炭素なしでは生存しえない
もう少し炭素に礼をつくした標語ってないものでしょうか
乾燥した運動場で土煙が上がり
眼を開けていることができなくなったり
未舗装道路で前を行く車が土煙を上げ
前が見えなくなり恐ろしい思いをしたり
という経験をお持ちの方もおられるでしょう
捲土重来の捲土は
兵が攻めるときに巻き上げる土煙を意味していると聞いたことがある
麻生首相は盛んに捲土重来を期す
とおっしゃっているようだが
これまで散々土煙を上げ
見通しが非常に悪い状況を続けてきたわけですから
もう捲土はご勘弁願いたい
自民党の再生を掲げるのはいいのですが
どこまでも民主党相手に戦うという言葉のみが聞こえてくるのは筋違い
国民の理解が得られるような政策や理念を掲げることに戦いのエネルギーを向ければ
自ずと支持者も増えるはずだと思います
そして自分自身 自分の党 支持者 などの利益を求めるのではなく
国の発展を目指すような活動を続ければ
同じ目標を掲げる人たちが自然と集まるものだと思います
「もう諦めていたから
ちょっとうれしいねぇ」
腫瘍マーカーの一つである CA-19-9が
このところ上昇傾向だったMさん
選択肢となる抗がん剤は使い切ってしまったが
相談しながら
薬の組み合わせを変え治療を継続している
当初からすべてお話しつつ治療を行ってきているので
現状は全てご存知
途中Mさんの心が折れかけ
2ヶ月ほど
治療の手を緩めたが
再度開始したところ
今回はマーカーが明らかに低下傾向
マーカーの動きを見つめれば
それは死を見つめることにも通じる
自己の死を身近に感じながら送る日々
様々な思いが去来することであろうが
少しでも
穏やかな時間を増やせると
いいなぁと思いつつ
治療を ケアを 行う
食事をしに出かけたとき
入ろうと思った店にお客さんがいっぱいで
待たされるとわかると
なかなか私は待とうという気にはならない
待ってまでここで食べなくてよい
と思ってしまう
そんな私が4時間待った
草千里09という催し物
今年で4回目という草千里09
阿蘇の草千里に
ライダーが集まり
写真を撮ってもらい
写真集にするという催し物で
1979年 1989年 1999年と開催され
そして今年である
同僚にこのことを聞き
直ちに参加の決心
朝早くに家を出て
休みなく走り
9時30に草千里にあと一歩まで近づいた
な なんとそこからすでにバイクが並んでいる
写真を撮ってもらうまで3時間待ちとのうわさ
ぐるっと阿蘇山頂まで周り
あきらめて帰りかけたのだが
次は10年後だし
10年後はバイクに乗る体力があるか否かも 生きているかどうかもわからないし
せっかく来てあきらめるのはしゃくだし
ということで結局草千里に戻り列の最後尾に並んだのは午前11時
上り坂の途中で
少し進んでは止まる
前後の人と話したりしながら
じわじわ進む
1時間
2時間
3時間
ようやく写真撮影会場の
草千里駐車場が見えてきた
そこからさらに1時間
ようやく駐車場へ
撮影をすまし
草千里を離れたのは
15時30分
よく頑張りました
どうってことないことだけど
初志貫徹
さてさて10年という時間を越えたとき
どうしているかなぁ
などと考えながら
遠い帰路を無事走り抜けた