Dr. 鼻メガネの 「健康で行こう!」

ダンディー爺さんを目指して 日々を生き抜く
ダンジーブログ

先のこと

2011-09-15 | 想い・雑感
あの時ああしとけばなぁ…

なんてことは誰にでもある

でももう一度その場 その時に戻っても
また同じような道を歩くような気がする

現在から 現在を知って過去を振り返るから
別の道もあったことを知るわけである


癌も末期近くになると
或る時から急に状態が悪くなっていく場合が多い
悪くなるまでは比較的よい状態を保っているので
周りの人には油断が生まれる
 まだ大丈夫だろう…   と

だから
悪くなりだすと慌てる
あそこに連れて行ってあげとけばよかった
あの人に合わせてあげたい
あれを食べさせてあげたい

多くの想いが 願いが
叶わぬことを知ったとき
あの時ああしとけばよかったとの後悔が生まれ
もっと早くこうなることを教えてくれればよかったのに
と矛先が医師に向くことがある

それは無理な相談である
悪くなり始めるのがいつなのか
そんなことは誰にもわからない
明日の事も分からぬ人間に先を見通せとは酷な話である

進行がんの方が身近におられれば
急変も含め
状態が悪くなる日が近づいているという現実から目をそらさず
一日一日を大切にかかわっていくしかないのである

これは
自分自身の人生の過ごし方にも通ずることである

支え

2011-09-13 | 想い・雑感
2年も3年も
となれば無理かもしれないけど
僅かな時間しかなくて
本人が家にいたいと思うのであれば
頑張って支えますよ

自宅近くの
病院がサポートしてくれるとはいえ
仕事を持つ身で
なかなか大変だし 不安だろうなぁと思うのだが

さわやかな笑顔を残し
奥さんは外来を後にした

あまり無理をしないでください
いつでも連絡してくださいね

どれくらい?

2011-09-13 | 想い・雑感
身近な人が
進行がんと言われたとき
何とか助けて
という思いが出てくるのは自然なんことでしょうが

じゃあどれくらいの期間
命を長らえることができたら
もういい と思えるのでしょうか

必ず
 必ず死はやってくる

そこのところをしっかり押さえて
考える必要がある

ゴーストタウン

2011-09-10 | 想い・雑感
ひさしに掛かる看板が風に揺れ
酒場へ入る扉がパタパタと鳴る
西部劇に出てくるゴーストタウン

ゴールドラッシュの時代
人は金を求めてさまよい
それとともに町が現れては 消える
人が去り建物だけが残された町をゴーストタウンと呼ぶ

現代ならチェルノブイリなどは
ごく少数の住人がいるものの
ゴーストタウンと呼ばれることがあるようだ

これを日本語にすると
幽霊町とか死の町とかいう言葉になるのだろうか

原爆が爆発したのちに空から降り注ぐ灰を
死の灰と呼ぶのであれば
チェルノブイリなどはまさに死の町と呼んでもよいのかもしれない
決して生命が絶滅したわけではないにしろ

今ある大臣が
死の町という表現を使ったことが問題になっているらしい
配慮が足りないと言われればその通りだが
チェルノブイリと同等あるいはそれをこえる放射性物質をまき散らした事態を責めるべきで
その言葉だけで大臣に集中砲火を浴びせるのは言葉狩りだろう

事故自体に問題の焦点を当てれば
自民党議員を含め
多くの国会議員に件の大臣を責める資格などないのではなかろうか

これまで散々事後処理を遅らせてきた国会議員たちは
いい加減に言葉尻を捕まえて鬼の首を取ったような発言をする幼稚な活動をやめ
政治を動かしていただきたい

ただしこの大臣
汚いものをなすりつけるような動作で
「放射能つけた!」
などといったとか言わないとか
もし言ったなら
レベルは小学生か中学生
いやそれ以下かもしれない

自分の体

2011-09-07 | 想い・雑感
「自分の」体

と思って生きているのだが
時にふと思う

骨格筋を収縮・弛緩させて体を動かす 
ということ以外
なにかできることがあるのだろうか と

心臓を動かす
食べたものを消化吸収する
尿を作る
赤血球を作る
腸内細菌を整える
入ってきたばい菌をやっつける
血圧を調節する
血糖をコントロールする
傷口が治る
………

どれ一つ
自分の意志で行っているものはない

自分の
と言ってもいいのだろうか

寿命

2011-09-06 | 想い・雑感
人には寿命があり
それを無理に伸ばそうと
あれやこれや策を弄すると
かえって苦しみばかり増やすことになる
死を免れることができないのなら
どこかでそっと手を離さざるを得ないのでしょう

それがわかるから
無駄な延命処置は受けたくない
と思う人が出てきて当然

人だけではなく
原発にだって寿命はあるでしょう
一旦稼動したものは
寿命が尽き掛けているとうすうす感じても
もう少し延命させよう 延命したい
という動きが 執着 が出てくるものなのでしょうが
きっちり終わらせてあげることが大切なのでは

ぶよぶよした死体

2011-09-05 | 想い・雑感
「最近はぶよぶよした死体が多い」

という一文に出会った

昔なら
飲食ができなくなれば
からだから水分が減り
枯れるように死んでいくのが普通だったものが

点滴や経管栄養の発達で
枯れるように死ぬことはできなくなり
代わりにぷよぷよの死体が生まれることになる
まさにその点を突いているわけである

水分を含む栄養補給手段は
手術の成績改善に多大なる役割を果たしているが
ガンの末期であるゆえに
あるいは高齢ゆえに食べられなくたって来た人に
無闇に適応してよい手段ではないかもしれない
死を先延ばしして単に苦しみを増やしている場合も少なくない

ただ
「Aという手段を講じておけばBの時点で生存していた蓋然性が高い」
という理由で医師の過失を認める判決が出る日本では
無闇に栄養補給をされたとしても
諦めてもらうしかないのかもしれません
延命が善であり 正義なのですから


イトカワ

2011-09-05 | 想い・雑感
ハヤブサが往復してきたイトカワ

消滅した星の星屑を集めて出来上がった星
との研究成果が発表された

ところが
数億年から10億年で
イトカワも消滅すると推測されている

するとまたそのかけらを集めて
別のほしができるのだろう

生々流転

この世に永遠に存在するものは無いのだろうが
形を変えて
永遠の営みにつながっているのだろう

自身のいのちも
そのように永遠につながっている
と得心できれば
死も受け入れられるのだろうか

薄焼き卵

2011-09-04 | 想い・雑感
そうめんに薬味はつきものだが
僕は錦糸卵も添えるのが好き
だから
いつでも食べられるように
少し多めに作って冷蔵庫へ

ただ
薄焼き卵を作るとき
きれいにひっくり返すことができない

左右からお箸をそっと差し込み
持ち上げて
返す

どこか折れ曲がったままとなってしまう

フライ返しでやっても
なかなか
完璧にひっくり返らない

思い切って
エイヤッと空中を舞わせば
着地が無残

なにかいい方法ないかなぁ

持越し苦労

2011-09-03 | 想い・雑感
持越し苦労
という言葉を聞きました

取り越し苦労
という言葉があるのですから
それとまさに対をなす言葉

過ぎてしまったことを繰り返し考え
ああしとけばよかった
と今さら変えられぬ過去の出来事に
意味もなく心を波立たせる状況を語っているのでしょう

まだ来ぬ未来を無暗に不安がったり
変えられぬ過去に拘泥することなく
今をしっかり生きなさい

ということなんでしょうね

誰が治療方針決定?

2011-09-01 | 医療・病気・いのち
90代の女性が紹介されてきた
施設入所中にお腹にしこりが見つかり
提携しているクリニックへ連れて行ったところ
検査が必要とのことでこちらへ

施設職員に伴われやって来た本人は
特に症状を訴えることもない

お腹を触ると確かに下腹部にしこりがあり
触れると少し痛がる
血液検査とCT検査のみを行ったところ
恐らくかなり進行した大腸癌

・大腸の進行がんである
・お腹の壁にも浸潤していると思われ そこで炎症を起こしている
・近い将来腸閉塞になる可能性が高い
・しかし詰まるのが先か 寿命が尽きるのが先か 誰にもわからない
・局所の感染から敗血症に至る可能性もある
・胸水の貯留は癌性胸膜炎によるものかもしれない
・根治術は無理である
・人工肛門造設など外科的処置が望ましい状況ではあるが全身状態からリスクが高い

 などを職員に説明した

施設に持ち帰り検討するとのこと

翌日その施設から電話が入り
遠方にいる息子と娘に連絡したが
どちらも
「もう関係ないからいいようにしてくれ。亡くなれば引取りにはいく。」というらしい
子供が許せぬようなことを母親がしたのか
母親が子供の面倒を見なかったのか
子供に余裕がないのか
理由はわからないが 悲しい人生の終末期である

年齢および体力からみて
先のことは見通せない
癌の事だけを考えて治療方針を立ててよいわけでもない
なにがよい選択となるのかだれにもわからない

ただこの治療方針は医師が決めることではない
といって施設の担当者が決めてよいのか
本人の認知症が進んでいる状況で誰が意思決定をするのか

このような問題は
現在の医療現場では日常的に起こっていると思う

親子

2011-09-01 | 想い・雑感
親が病に倒れる
普段あまり会話を交わすことがなかった子供は
あわてだす

こんなことなら…

と多くの後悔が錯綜し
取り戻せるはずもない時間を何とか逆行させようとするかの如く
動き始める

医師に対しては
様々な治療方法を希望してくる

病状とその時点での治療方針を説明したうえで
とんでもない
と思われる治療方法以外は
検討することを私は約束するが
治療はあくまで患者本人の想いに従って進めるから
十分親と話をするよう促す

親と会話を交わす時間を十分持つと
空回りしていた親への想いが
しっかりとかみ合ったものへなっていく

治したい という思いは変わらず持ちつつも
無理な治療に親を攻め立てることをしなくなる

子供の気持ちは
親への大いなる応援になる

子供が病室を訪れ 顔を見せてくれる
それだけで親はうれしく 幸せになれる

病室の空気までも
柔らかくなる