~ 恩師の「心行の解説」上巻より ~
講演 六
「過去世は己が修業せし前世
すなわち過ぎ去りし実在界と現象界の
世界なり」
先の続き・・・
「実在界」といいますと、
普通はこの世のことかと
思います。
現実にこの世はあると思います。
現実にこの机があり、
このマイクがあると思いますが、
しかしこれは実在界ではないのです。
この世のことは「現象界」といいます。
これを心にはっきり入れておいてもらわないと、
話がややこしくなります。
「実在界」とは見えない世界のことで、
見える世界が「現象界」です。
なぜ現象界というかといえば、
それはこの世はただ現れているだけの
世界だからです。
この世とは実体のない世界です。
なぜ実体がないかというと、いつの日にか、
みな消えていくからです。
どんなものでも、
時間が経てば消えていきます。
一番早く消えていくのが、
口に頂くものです。
ここにお饅頭を出していただいて、
「では、これを頂戴します」と
言って頂きますと、
もう再び現れません。
人間の肉体も同じことで、
或る時間を経ったら、
生きて実在していると思っている自分さえ、
この肉体が消えてしまいます。
すべてのものは現れては消え、
現れては消えているのがこの世の実体です。
この消えていくものに捉われてはなりません。
消え去っていくものに捉われて、
自分の心を苦しめてはなりません。
これがお釈迦様のお説きになった
御教えですね。
~ 感謝・合掌 ~