せろふえ

チェロとリコーダー
自閉症の娘
本と漫画 農と食 囲碁パズル
とっちらかっているので、気になるカテゴリーやリンクを

目の見えない白鳥さんとアートを見に行く 河内有緖

2023年03月02日 | 
 全盲の美術鑑賞者の白鳥さんとアートを見に行く話。
 基本的には全盲の人が絵を見ることはできない。一緒に行く人にこういう絵だよと説明されたり、あるいはまあ、いろいろ思いつくことを言ってもらったり会話して、つまりそういう会話とか、雰囲気とか、付随するあらゆるものをを楽しんでいるのだろう。
 著者自身がそういう状況、会話などで自分を見つめ直すというか、価値観が揺さぶられるさまがなかなか良いし、読む方も同じだ。見えるということ、見るということはそもそもどういうことなのだろうか?
 また、障害者のことも、障害をもつ子供を持っていると、ますます考えさせられるし、そもそも障害って何?こういうのって、まだそんなこと言ってるの?じゃなくて、ずっと考え続けなければならないことなのだ。(ということもこの本の中に出てくる。)
 一方で、著者や友達のマイティの「美術は先入観や基礎知識なしにただ見れば良いんだよ」というのには、そういう面もあるが、たいてい間違っている、とも思う。名著「怖い絵」中野京子を読むべきだ。
 そういうわけで、なかなかおもしろかった。