2011年の冬シーズン、TBS系列の金曜夜10時「金曜ドラマ」枠で全10話が放映された心理サスペンス系の刑事ドラマ。
容疑者不明の難事件を、数少ない手掛かりからプロファイリングによって究明する、警視庁捜査一課犯罪行動分析室=通称「CPS」メンバーたちの活躍が描かれます。
彼らは正確に言えば警視庁所属の技官であり、刑事じゃないので捜査権も逮捕権もありません。つまりただ突っ立って謎解きするだけで、本来見せ場である筈の追跡や格闘は他人任せ。そんな刑事物に一体なんの意味があんの?って私なんぞは思うんだけど、いよいよそれが当たり前の時代になって来たワケです。
そんなCPSの謎解きゲーマーたちに扮するのは、北川景子、平岡祐太、須藤理彩、要 潤、そしてリーダーに木村多江。
ほか、CPSのアドバイスを活用する捜査一課の班長にユースケ・サンタマリア、管理官に小澤征悦、北川さんの妹に岡本杏理、といったレギュラーキャスト陣。
そして初回スペシャルで連続猟奇殺人鬼を演じたのが、後に北川さんと結婚することになるDAIGO君でうぃっしゅ!(でも、この時から付き合ってたワケじゃないらしうぃっしゅ!)
うぃっしゅはともかく、当時24歳の北川景子さんが演じた主人公=香月翔子は元精神科医で、米国のFBIアカデミーで研修を積んできた凄腕プロファイラーという設定。
いくら彼女より若い多部未華子さんまで刑事を演じちゃう時代とはいえ、ゴスロリ刑事が警察犬並みの嗅覚で活躍する振り切ったコメディの『デカワンコ』と違って、こちらは陰惨な猟奇殺人事件も扱う超シリアスな内容。つまり嘘がつきにくい世界観。
いくらなんでも、当時の北川景子さんでは無理があり過ぎました。当然若すぎるし、演じてる感がハンパなくて観てると痛々しいくらい。ゴスロリ刑事にまったく無理を感じさせない『デカワンコ』の多部ちゃんと、これまた実に対照的。
10代半ばから映画の現場で鍛えられ、朝ドラヒロインまで経験済みの多部ちゃんだからこそ演じられたゴスロリ刑事と、同じくらい現実離れした香月翔子というキャラクターを演じるには、ファッションモデル出身の北川さんはあまりに経験が浅すぎました。
そんな北川さん演じる主人公が、自信たっぷりにゴーマンな台詞を連発するもんだから、私は主人公をいちいち目の敵にする脇キャラたちに、生まれて初めて共感しちゃいましたw つまり肝心の主人公がぜんぜん好きになれない。これは北川さんのせいじゃなく、キャスティングする側の問題だろうと思います。
薄幸キャラならお任せの木村多江さんがボスで、サポートする男性陣が要潤くんと平岡祐太くんだけというのも何だか頼りなく、捜査一課のユースケ・サンタマリアさんも小澤征悦さんも今回は陰鬱なキャラで、一向に空気が弾まないのもマイナス要因でした。かと言ってダークな作風を売りにするワケでもなく、中途半端な印象しか無かったです。
私は海外のテレビ番組はほとんど観ないので知らなかったけど、本作はアメリカの大ヒットドラマ『クリミナルマインド』をかなり忠実になぞった内容らしく、そこに根本的な問題があったのかも知れません。日本とアメリカじゃ状況も国民性も全然違いますから。
その『クリミナルマインド』が布教した、犯罪行動プロファイリングのノウハウこそが最大の見所ではあるんだけど、それもやっぱり魅力的なキャラクターがいなけりゃドラマの面白さには繋がりません。(そもそも犯罪捜査に心理学を用いるのは当たり前で、『太陽にほえろ!』の時代から普通にやって来たことだし)
それを知ってか知らずか、この2011年冬シーズンには犯罪心理学をメインテーマにした刑事ドラマがさらに2本、続けざまに登場するんですよね。
連ドラのネタ被りはよくある事だけど、同シーズンに3本、同じジャンルで同じテーマの番組が出て来ちゃうのは、たとえ偶然にせよクリエイターの姿勢としてどうなの?って、思わずにはいられません。