ハリソン君の素晴らしいブログZ

新旧の刑事ドラマを中心に素晴らしい作品をご紹介する、実に素晴らしいブログです。

『凪のお暇』#01

2019-07-27 12:00:05 | TVドラマ全般









 
2019年の夏シーズン、TBS系列の金曜夜10時「金曜ドラマ」枠でスタートした新ドラマ。

コナリミサトさんの同名コミックを実写化した作品で、主演は黒木華さん。奇しくも映画『日日是好日』で共演したばかりの多部未華子さんの新作(NHKのドラマ10『これは経費で落ちません!』)と同じ時間枠で真っ向対決となりました。(録画して観る我々には関係無いことだけど、視聴率の食い合いにはなっちゃいますよね)

常に周りの空気を読み、無理して周りに合わせて生きて来た28歳のOL・凪(黒木 華)が、そんな彼女を同僚たちが内心バカにし利用してたこと、そして心の支えだった筈のカレシ・慎二(高橋一生)が自分との交際理由を「カラダの相性がいいから」だけと周囲に洩らしてることを知ってしまい、あまりのショックで倒れ、入院したのに誰ひとり見舞いに来ない現実に絶望し、全ての人間関係を断ち切るべく会社を辞め、布団以外の家財一切を捨てて郊外の安アパートへと引っ越します。

そこに住むのは腕にタトゥーを入れた自由人(中村倫也)、パン屋さんで食パンの耳を日常的に恵んでもらう独居老人(三田佳子)、凪を不審そうに睨みつける少女(白鳥玉季)など、一見まともには見えない人ばかり。

ところが勇気を持って話しかけてみると、タトゥー男は穏やか過ぎるほど穏やかな好青年だし、独居老人は貰ったパンの耳で美味しいお菓子を作るなど質素な暮らしを楽しんでる人だし、凪を睨みつけてるように見えた少女も実は、凪がこれまで必死に隠して来た天パ頭が「もふもふのワンちゃんみたいで可愛いから」触りたいのを我慢してただけだったりと、OL時代とは逆の意味で人の多面性を目の当たりにし、心の傷を癒していくのでした。

そんな凪の貴重な「お暇」にズケズケと土足で侵入して来る慎二の高圧的な態度も実は、初めて心から惹かれた相手が凪であることの裏返し、だったりするんですよね。世の中うまく渡ってるように見える彼も、けっこう無理して生きてるのかも知れません。

かように人間とは複雑な生きものであり、読もうったって読めるようなもんじゃない。そんな無駄なことに労力を費やして疲れるより、本当に自分らしく過ごせる空間を見つけようよ、せっかくの労力はそういうことに使おうよっていう、人間関係に疲れてる我々へのメッセージなのかも知れません。

凪は確かに生き方を変えなきゃ窒息しちゃうかも知れないけど、だからといって山口智子さんが色んなドラマで演じるキャラみたいに、やたらめったら明るくてサバサバした人を目指す必要はまったく無い、と私は思います。むしろそのままでいて欲しい。

最近、やたらサバサバした自分をアピールする女性が増えてる気がするんだけど、そんなの格好良くも何ともないですよ。サバサバしてようがジメジメしてようが、ひとり我が道を行く人こそが一番カッコいい。それは男でも同じこと。

凪も性格はそのままで、無理して周りに合わせるクセだけ直せばいい。私に言わせりゃ三田佳子さん演じる独居老人こそ理想の生き方だと思うんだけど、孤独を恐れて自分を偽り、無理して明るく(あるいは強く)見せようとする人のなんと多いことか。

凪は山口智子もどきを目指す必要も無ければ、くっつく相手(男)を選ぶ必要もまったく無い。そういうことを真っ当に描いてくれるドラマだとしたら、もしかすると多部ちゃんを差し置いて本作が今季ナンバーワン作品になる可能性は充分にあります。

登場してからほんの数秒でキャラクターを我々に理解させ、同時に共感させ、その後も画面から眼を離せなくさせちゃう黒木華さんの、圧倒的な吸引力。そして性格俳優としての本領を久々に発揮する高橋一生くん。

さらに市川実日子、吉田 羊、片平なぎさ、武田きんにくん真治etc…といったキャストが登場、そしてセクシーショットは凪の元同僚役の唐田えりかさんと、タトゥー男の仲間=エリィ役の水谷果穂さんです。
 
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『ルパンの娘』#01~#02

2019-07-27 00:00:04 | 探偵・青春・アクションドラマ









 
2019年の夏シーズン、フジテレビ系列の木曜夜10時「木曜劇場」枠でスタートした新ドラマ。横関大さんの同名小説を実写ドラマ化した作品です。

先祖代々が泥棒という「Lの一族」の三雲ファミリーに生まれた娘(深田恭子)と、家族全員が警察官(ペットも警察犬w)という桜庭ファミリーに生まれた刑事(瀬戸康史)が、お互いそうとは知らず恋に落ちたからさぁ大変!

絶対に相容れない境遇にいる男女の愛、そして刑事である恋人を(正体を隠しつつ)手助けする女泥棒という、『ロミオとジュリエット』と『キャッツ・アイ』を合わせたようなラブコメで、三雲ファミリーが『ミッション:インポッシブル』ばりのチームワークで不可能を可能にする痛快アクション活劇でもあります。

他愛ないんだけど、こういうバカバカしいことを大真面目にやっちゃうコメディが、私は一番好きなのかも知れません。

もちろん下手にやっちゃうと見るも無惨な代物になりかねず、キャスティングにかなり大きな比重がかかって来るんだけど、この『ルパンの娘』はどうやら成功したようです。

深田恭子さんはこういう極端に現実離れしたキャラクターを演じてこそ真価を発揮する女優さんだし、泥棒ファミリーの渡部篤郎、小沢真珠、栗原 類、どんぐり、麿 赤兒、警察ファミリーの信太昌之、マルシア、藤岡 弘、と適材適所な顔ぶれが揃ってるし、刑事部屋のボスが加藤 諒くんというフザケた人選もぎりぎりスベってないしw、今後は深キョンの恋敵として岸井ゆきのさんも登場するらしく、芸達者なキャスト陣の掛け合いを見てるだけでも楽しめます。

でも、今季イチオシ!って言えるほどハマったかと言えばそうでもなく、もひとつ何かが足りない気もします。ダンサーでミュージカル俳優の大貫勇輔さんが唐突に登場し、深キョンとしばし唄い踊るという演出はややスベってるしw

たぶん笑いに欠かせない「毒」が足りてないんだろうと思うけど、基本がラブコメだから仕方ないのかも知れません。

そんな中でやたら目立ってるのが、深キョンの祖母を演じるどんぐりさん。映画『カメラを止めるな!』で注目されたものの、アクが強すぎて使いづらいのか活躍の場がなかなか無かったけど、ついに本作でブレイクされるかも知れません。

家族みんな標準語なのに、なぜかお祖母ちゃん1人だけコッテコテの関西弁で、そこに何の理由も無いのが私のツボですw

渡部さんや小沢さんも相当エキセントリックに演じておられるんだけど、とんでもない飛び道具がそばにいるもんだからフツーに見えちゃうw(だから使いづらいんでしょうか)

面白いけど今のところハマるほどでもないのが、これからジワジワとクセになって行くのか、はたまたすぐに飽きちゃうのか、自分でも予測がつきません。

メインであるラブコメ要素がつまらなければ間違いなく後者で、命運は恋敵として登場する岸井ゆきのさんに懸かってるかも?

ともあれ、限られたドラマ鑑賞の時間をどの作品に割くか考えれば、私は辛気くさい法医学モノや悪趣味な刑事モノより、断然こっちを選びたいと思います。
 
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