2011年の冬シーズン、フジテレビ系列の火曜夜9時枠で全11話が放映された、心理サスペンス系の刑事ドラマ。
警視庁刑事部凶行犯捜査課「分室」の室長に任命された熱血刑事=瀬川理央(松下奈緒)が、皮肉屋の心理学教授=南雲(藤木直人)のアドバイスを受けて難事件の謎を解いていきます。
刑事ドラマが謎解き(犯人当てゲーム)メインとなるのは今や当たり前で、あとは舞台設定(たいてい警視庁の窓際部署)を微妙に変え、旬の人気俳優(たいてい男女の組み合わせ)を主役に据えれば新番組の出来上がりという、いよいよお手軽なジャンルになって来ちゃいました。
そんな創り手たちの姿勢が、TBSやテレ朝との完全ネタ被り(同シーズンに心理サスペンス系の刑事ドラマが3本!)という結果にもろ表れてますよね。
TBSの『LADY/最後の犯罪プロファイル』は米ドラマ『クリミナルマインド』にソックリらしいし、はねっかえりの女性刑事が偏屈学者のアドバイスを得て事件を解決させる本作は、明らかに自局(フジ)のヒット作『ガリレオ』を心理学に置き換えただけ、に見えちゃいます。
勿論あの『太陽にほえろ!』だって偉大な先駆者たちの模倣からスタートした筈だし、革新的と云われた『踊る大捜査線』もその『太陽~』から派生したような作品なんだけど、決してそれだけで終わらず「誰もやらなかったこと」を徹底的に追究した結果の大ヒットだったワケで、そんなプラスアルファの努力があるか無いかによって視聴者の感じ方が全然違って来る。要は、ガツン!と来るか来ないかの違い。
流行りのネタを取り入れるのも、過去のヒット作を模倣するのも大いに結構。だけどそれだけじゃ我々にガツン!と来させるような作品は絶対に生まれません。
そんな「もうひと押し」の情熱というか、執念が、2000年代に入ってからの刑事ドラマには(特に謎解きメインの番組には)ほとんど感じられません。同じ商品をパッケージだけ変えて売ってるようにしか私には見えない。
主人公のキャラクターといい、警察組織における窓際部署の扱われ方といい、演じる役者さんが違うだけでやってることはほとんど一緒。となるともう、そのキャスティングにどれほどの見所があるかで観る観ないを決めるしかない。
残念ながら松下奈緒さんにも藤木直人さんにも、それだけの魅力は(少なくとも私は)感じられません。二人を取り巻く横山 裕、北村有起哉、勝村政信、泉谷しげるetc…といったレギュラー陣も、決して悪くはないけど「この人が出てるなら!」っていうほどの吸引力は無い。
唯一、鑑識課長に佐藤二朗、その助手に臼田あさ美という組み合わせには「何かやってくれそう」な期待感があるけどw、それはほんの添え物に過ぎないし……
というワケで本作『CONTROL/犯罪心理捜査』も、この時期から爆発的に量産されていくお手軽刑事ドラマ(謎解きゲーム番組)の、残念ながら典型的な1本に過ぎないと言わざるを得ません。