ハリソン君の素晴らしいブログZ

新旧の刑事ドラマを中心に素晴らしい作品をご紹介する、実に素晴らしいブログです。

『デカワンコ』#01―2

2018-09-14 12:00:10 | 多部未華子








 
花森一子(多部未華子)が所属するのは本庁の捜査課なんで、取り扱う事件の管轄は広範囲に渡り、毎回違った所轄署へと出向いて行くことになります。

で、冒頭事件の捜査本部が置かれたのは「湾岸警察署」で、なにげに『踊る大捜査線』へのオマージュも見られます。

これまでに登場した13係の同僚刑事は、まず銃撃戦の際に一子のピンチを救った叩き上げのベテラン=「ガラさん」こと五十嵐刑事(佐野史郎)。一子に理解を示してくれる、現時点では唯一の存在です。

そして現場のリーダー「コマさん」こと小松原刑事(吹越満)。演じる吹越さんは、本作の主演に多部ちゃんが起用されるきっかけとなった舞台『農業少女』で多部ちゃんと共演済みで、良き相談相手だったりするそうです。

「ヤナさん」こと柳刑事(大倉孝二)は頭脳明晰で分析型の捜査が得意……っていう設定は全く活かされずw、やたらキレ易かったり一子に頭突きしたりデブ専だったりと、大倉さんの変態っぷりばかりが活かされてましたw

「チャンコ」こと和田刑事(石塚英彦)は相撲部出身。満面の笑顔がトレードマークの石塚さんだけど、本作においては監督から「笑顔禁止令」が下りw、終始ムッツリしかめっ面を通しておられます。

「キリ」こと桐島刑事(手越祐也)は前回ご紹介した通り、一子より1年だけ先輩の若手刑事。手越くんはジャニーズアイドル「NEWS」の一員でありながら、第3話で下痢ピーの苦しみを体当たりで熱演する姿に、私は感動しましたw

デューク(水上剣星)のみ、名前がデューク・タナカだからニックネームで呼ばれてない。強いて言えば、コマさんがいつも「おい、デーク」ってわざと呼び間違えてるのがニックネームみたいなもんですw

水上剣星くんは、よく刑事ドラマで「主役刑事の同僚その3」辺りの、目立たないポジションにいる姿をお見掛けしますw だけどこのデューク役だけはキャラが立ってて、とても印象に残ってる。そこがまた『デカワンコ』の素晴らしさなんですよね。

そして、捕まえた犯人の取り調べシーンで初登場したのが、主任の重村警部補(沢村一樹)。アウトローで取り調べの名人、通称「落としのシゲさん」と来れば、モデルは明らかに七曲署の山さん(露口 茂)です。

……と言っても、シゲさんにはシゲさん流の落とし(自白させる)テクニックがいくつもあって、今回は前置き無しに般若心経をひたすら唱えるというw、新手の拷問みたいな手段を使ってました。

とりあえず矢追町殺人事件が片付いたところで、いよいよ「ボス」=門馬係長(升 毅)が登場。ブランデーグラス片手に部下達をねぎらうかと思いきや、銃撃戦における弾丸の無駄遣いを指摘し、チクチク小言を垂れるというw、七曲署のボスとは大違いな小者キャラでした。

そして次に登場するのが、なぜか一子とは旧知の仲らしい、松田警視総監(伊東四朗)。一子があんな格好で警察に勤務出来るのも、警視総監のご威光があればこそ、なのかも知れません。

「服、それでずっと行くの?」

「はい」

「あ、そう」

それで済ませちゃう警視総監も凄いですがw、そもそも刑事に服装の制限は無く、長髪やジーンズ姿の刑事も実在するそうですから、ロリータファッションの刑事がいても決しておかしくはない。いや、おかしいんだけどw、100%有り得ない事じゃないんですよね。

それはともかく、多部ちゃんにロリータファッションが似合ってるか否かは意見が岐れるところかも知れません。私は、物凄く似合ってると思います。ルックス的にも似合うけど、それより「我、我が道をいく」多部ちゃんの生き方を、一子のロリータファッションが象徴してるように感じるんですよね。

常識だの世間体だのに縛られず、自分が良いと思ったことを貫き通す。周りと違うことや、変な眼で見られることもいっさい気にしないし、孤独を恐れない。

私自身、そうありたいと常々思ってます。だから、私が『デカワンコ』にハマったのは、一子のロリータファッションに理想の生き方を見出したから……なのかも知れません。

そういう意味でも、花森一子を演じるのは多部未華子さんでなくちゃダメなんですね。ルックスや演技力だけの問題じゃないんです。(映画『下妻物語』の深田恭子さんもしかり)

さて、ここで新たな事件が発生します。「八曲署」の管内でw、ビルの屋上から転落したと思われる死体が発見され、どうやら他殺らしいってことで本庁の13係が駆り出されます。

さらに鑑識課も到着し、やがて一子とは永遠のライバル関係となるw、警察犬「ミハイル」も初登場! なぜかミハイルに対抗意識を燃やす一子が、ここで被害者の遺留品の匂いを嗅ぎ始めます。

コミカルなBGM「嗅覚のテーマ」に合わせて、クンクンと鼻の穴を広げる一子の姿を見て、以前からの多部ちゃんファンは「やめてくれぇー」って思われたかも知れませんw

だけど私は、この場面を観て「この女優さんは凄い!」って、初めて思い知ったワケです。犬のマネをしてヘン顔を晒すことが凄いんじゃなくて、そういう演技を見せられた私自身が、全然「痛々しい」と感じてない事実が凄い!と。

並みの女優さんが同じ演技をしたら、たぶん痛々しくて観てられないだろうと思います。理屈では説明しようが無いんだけど、とにかく私は、この場面を観て「この女優さんなら、きっと大丈夫」「このドラマは面白くなる」って、確信したんですよね。

だけどドラマの中では、一子はまだ誰にも信頼されてません。現場の匂いを嗅ぎまくる一子の姿は変態にしか見えずw、ヤナさん=大倉孝二は本気の頭突きを一子に食らわし、主演女優に嫌われる羽目になりますw

そんな四面楚歌な一子に、ただ1人だけ優しく声をかけてくれたのが、佐野史郎扮するガラさんでした。

「地道な捜査こそが刑事の基本。大事なのは現場百回だ。いいな」

そんなガラさんのアドバイスに励まされ、一子は隅々まで現場の匂いを嗅いでいきます。そして、思いがけない事実を発見しちゃうのでした。

「うそ……なんで? なんであの人の匂いが?」

それは、松田警視総監と同じ匂いだったのです。なぜ、この現場に警視総監が? 一子は、後先も考えず総監に会いに行きます。

かつて、一子が小学2年生の時、コンビニ強盗の正体を匂いで嗅ぎ分け、逮捕に協力したのが警視総監との出逢いでした。

「あの時、総監が刑事になれって勧めてくれたんです。敏感な鼻が、きっと武器になるって」

「それだけが理由じゃないよ。君の正義感こそが、刑事には大切なんだ」

「はい。刑事ドラマで教わりました」

「警察学校では、もっと大事なことを学んだんじゃないのかね? 証拠も無しに人を疑ってはいけないという事だ」

そう言いながら、一子が出て行った後で誰かに電話をかける警視総監は、どう見ても怪しいですw 果たして、もし総監がクロなら一子が生命を狙われるかも知れないし、シロならクビにされかねない。

「でも一子は刑事でしょ? 自分で捜査すれば?」

そう言って一子にハッパをかけたのは、交通課の婦警で一子の親友=琴美(渡辺直美)でした。体型が一子とは正反対ですw

『デカワンコ』のレギュラー陣はその後みんな売れっ子になりましたけど、コメディアンが本職の直美さんも例外じゃありません。売れるにつれて横幅もどんどん広がりましたよねw

一子は、ボスに尋ねてみました。警視総監を疑えば生命を狙われるのか、あるいはクビなのか? 

「クビだ」

「えっ、やっぱり!」

以降、一子の「やっぱり!」は毎回の恒例になって行きます。ダメに決まってる事を上司に尋ねて「やっぱり!」って言うのが正しい使い方。皆さんも職場で流行らせて下さいw

「皆さん、身内だからっていいんですか? 正義は? ここに正義は無いんですか!?」

一子の主張に、同僚刑事たちは耳を貸してくれません。そもそも証拠が「匂い」だけじゃ話にならないし、一子の嗅覚なんか誰も信じてない。

仕方なく独りで極秘捜査を始めた一子は、被害者宅を訪れます。未亡人に警察手帳を見せながら、周りをキョロキョロ見回す姿は無駄に怪しいですw

この、意味なく周りをキョロキョロ見回す動作も恒例になるんだけど、多部ちゃんの動きがまた無駄にシャープなんですよねw その無駄なシャープさがあればこそ笑えるワケで、やっぱ多部ちゃんは超一流のコメディエンヌです。

「本当に警察の方ですか?」

『太陽にほえろ!』でマカロニ(萩原健一)やジーパン(松田優作)もよく言われてました。ロリータファッションも長髪やジーンズの延長線上と思えば、花森一子は七曲署にいてもおかしくないキャラクターです。

さて、一子が被害者宅に入ると、そこには松田警視総監がいて、仏壇で線香を上げてました。

実はジャーナリストだった被害者は、何やら警察の不祥事を追いかけ、松田総監に調査協力を求めてた。例のビル屋上は両者が密会に使ってた場所であるからして、総監の匂いが残ってても不思議じゃなかったワケです。

「暴力団に捜査情報を流してる刑事がいる」

松田総監は事件の夜、被害者と会っていた。その密告刑事が誰なのかを聞き出す為に…… つまり総監はシロで、その密告刑事が発覚を恐れ、口封じの為にジャーナリストを殺した。

「信じらんない……刑事って、正義の味方ですよね?」

犯行現場には、被害者と松田総監の匂いしか残ってなかった……という事は、一子と一緒に現場検証してた、同僚刑事達の中に犯人がいる……!?

「そんな!」

てっきりノーテンキなハチャメチャコメディと思われた『デカワンコ』ですが、事件は急転直下、シリアスな方向へと進んで行くのでした。

(つづく)
 

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2 コメント

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一子、再び! (gonbe5515)
2018-09-14 13:38:16
おお!デカワンコだ。
いやあ、うれしいです。実はつい先日、リターンズのDVDを観たばっかりで、もう一度初回から見直してみようかなと思ってたとこなんです。やっぱり私とハリソン君とは、深いところでつながっているんですね(はーと)

記事、楽しく読ませていただいてます。
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>gonbeさん (ハリソン君)
2018-09-15 00:50:08
おっさんずラブですねw 私も久々に第1話を観直しましたが、やっぱり何回観ても面白いです。2010年代ナンバー1の神ドラマになりそうですね。
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