古希からの田舎暮らし

古希近くなってから都市近郊に小さな家を建てて移り住む。田舎にとけこんでゆく日々の暮らしぶりをお伝えします。

『軍旗はためく下に』をやっと読みました。

2012年12月02日 05時01分40秒 | 古希からの田舎暮らし 80歳から
 今年の紅葉はいままでで一番よかった。
 どこを歩いてもどの山を見てもきれいでした。三木では紅葉の名所になっている「東光寺」「慈眼寺」「伽耶院」に行ってみようか、という気になりませんでした。川向うの蓮花寺の山々を遠くに見て、裏山と福地池をぐるっと歩くだけでこころがしっとりしました。
 いま落葉しきりです。畑に行く道に風が吹き、落ち葉が降りかかる様を写そうと思いますが、ゴミが落ちてくるような写真になってしまいます。秋が通り過ぎてゆくのをただ眺めるしかありません。
               
 この写真は、きのう金谷のローソン駐車場から撮りました。太い根が曲がり、その上に石のお地蔵さんが祀られ、エノキがすっかり葉を落として立っています。絵になる樹で、なんとなく好きです。それが伝わる写真になりませんでした。

 結城昌治の『軍旗はためく下に』をやっと読み終りました。9月はじめに、映画化されたこの作品のビデオテープを購入したのですが、「しっかり原作を読んで」から「しっかり見よう」と思って、中公文庫を買ったのです。読むのがしんどかった。読みにくいのでなく、軍隊の中で上官が兵士をいじめるのを読み進めるのが辛かった。
 昭和2年生れの作家・結城昌治は戦後、旧軍隊の恩赦関係の事務にたずさわったことがあり、その仕事で見聞したことが下敷きになっていますから、現実にあったことと考えられます。上官を殺害したり、逃亡した事件は、旧軍隊の内部の病根をあぶり出しています。だれかがこんな不条理を暴かねばならなかったのです。もし〝必殺仕事人〝みたいな頼み処があったら「旧上官○○をやってくれ」とかつての兵士たちが殺到したことでしょう。敗戦後は街角で旧軍人が刺される事件がときどきあったそうで、「刺し違えてでも恨みを晴らさねば」という気持ちが伝わります。その人たちもいまでは90歳前後で、生き残っている人は少ないでしょう。
 では、映画『軍旗はためく下に』を見ることにします。
 
コメント
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