古希からの田舎暮らし

古希近くなってから都市近郊に小さな家を建てて移り住む。田舎にとけこんでゆく日々の暮らしぶりをお伝えします。

「辻政信」のような存在を出さない国に。

2015年04月01日 03時32分53秒 | 古希からの田舎暮らし 80歳から
 図書館で『蒋介石の密使・辻政信』(渡辺 望 著/2013年発行/祥伝社新書)という本を見つけたので、九州旅行の徒然に読んでみました。彼の経歴は「Wikipedia」に詳しく書いてあります。とにかく トンデモナイ 軍人です。本の帯には (「魔の参謀」と言われ、日本を破滅に引きずり込んだ男 / CIA 秘密文書が明かしたもう一つの知られざる「顔」!) とあります。
 また Wikipedia には 〔「機会があるならばためらいもせずに第三次世界大戦を起こすような男」(CIA・1954年の秘密文書)と酷評している〕 とあります。
 昭和14年(1939年)のノモンハン事件一つをとっても抹殺されるべき存在だったのに、左遷されても参謀本部に戻り、とにかくひどいことをした軍人です。でも彼の人気にあやかろうというのか、本屋さんにはいまでも彼の著書が復刻されて並んでいたりします。故郷には銅像がたっているとか。戦時中はマスコミに『作戦の神様』と祭り上げられたり。
 そんな「エエ加減さ」が破滅の穴を深くしたのに。そのために幾多の兵士が死んだのに。日本はそこの反省がありません。この本には、いま話題の原発をめぐってもこんな文があります。引用します。


 辻の人生の謎、嘘、不明の部分を解明する上で、前述のCIA機密文書の公開、その紹介に尽くした有馬哲夫氏の功績はきわめて大きい。
 有馬氏の機密文書の解読のおかげで、蒋介石と辻の結びつきに関する謎の解明も大きく前進した。また、辻以外にも、河辺虎四郎、有末精三、服部卓四郎、辰巳栄一など、陸軍の中枢にあった人間たちがあっさり大日本帝国への忠誠を捨てて、GHQや中国国民党のエージェントとして活躍したという隠された戦後史が判明することになった。
 さらに衝撃的だったのは、これら旧軍人たちの行動だけでなく、たとえば正力松太郎のような人物のCIAへの秘密協力の判明だった。正力は「podam(ポダム)」というコード名をCIAから与えられた正真正銘のエージェントであり、親アメリカ政策(たとえば、原子力政策の推進)を、自ら率いる読売グループを使って現実化しようとしたのである。正力はそのことと引き換えに、自身の政治的野心の実現に向けて、アメリカの援助を取りつけているが、その野心があまりに強引であったため、CIAの正力へのかかわりは次第に弱くなっていく。
 正力は、今や国内最大の発行部数(そして実は世界最大でもある)を誇る読売新聞において、神格化されてきた人物である。戦前国家への忠誠を唱えてきた軍人、そして戦後日本の言論界の中心にいた正力たちの隠された振る舞いを知るにつけ、私は「かつての日本人は現代人より立派だった」というような一般論は、とうてい成り立たないような気がしてくる。


 
 
コメント
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