風邪気味でした。大事をとって家でコタツにあたり、「もりたなるお」(森田成男)という作家の『虐殺 …… 一巡査の告白』という本を読みました。評判の本でも読みたかった本でもありませんが、終わりまで読んでしまいました。
その理由。「<支那事変>から敗戦前後にかけての庶民の生活をありのまま伝える描写」に惹かれたのです。
ふつうあの時代(昭和元年 ~ 昭和25年頃)を作家が書くときは、何かメッセージを引きずっています。「こんな酷い目に遭いました」とか「散々やられました」とか「愚かな軍隊の上層部が戦争へ、戦争へと舵を切った」とか。それはあとで味付けされたメッセージであって、当時の庶民の心情をそのまま描写したものではありません。
中国との戦争で戦線が拡大し、現職の警察官まで出征するようになり、昭和元年生れの「もりたなるお」は少年警察官になって、庶民の生活をつぶさに見たから描けたのです。特にこの本の半分以上を占める『 銃後 …… ある兵事係夫妻の ″聖戦″ 』は、″あの時代″の庶民の生活や心が、とてもよく伝わります。<支那事変>から太平洋戦争、そして敗戦にかけて、村役場の兵事係が召集や戦死公報の任務をこなしていく描写がいい。修飾や情緒を排して、伝える力をもっています。
そんなふうに描ける人がもういなくなります。
その理由。「<支那事変>から敗戦前後にかけての庶民の生活をありのまま伝える描写」に惹かれたのです。
ふつうあの時代(昭和元年 ~ 昭和25年頃)を作家が書くときは、何かメッセージを引きずっています。「こんな酷い目に遭いました」とか「散々やられました」とか「愚かな軍隊の上層部が戦争へ、戦争へと舵を切った」とか。それはあとで味付けされたメッセージであって、当時の庶民の心情をそのまま描写したものではありません。
中国との戦争で戦線が拡大し、現職の警察官まで出征するようになり、昭和元年生れの「もりたなるお」は少年警察官になって、庶民の生活をつぶさに見たから描けたのです。特にこの本の半分以上を占める『 銃後 …… ある兵事係夫妻の ″聖戦″ 』は、″あの時代″の庶民の生活や心が、とてもよく伝わります。<支那事変>から太平洋戦争、そして敗戦にかけて、村役場の兵事係が召集や戦死公報の任務をこなしていく描写がいい。修飾や情緒を排して、伝える力をもっています。
そんなふうに描ける人がもういなくなります。