昨日のNHK-BShiの「名曲探偵アマデウス」で
ショスタコーヴィチの交響曲第5番が
取り上げられていました。
先月のN響定期で聴いたばかりですし
とても興味深く観ました。
この作品の背景にある複雑な事情を紹介するのは
45分の番組では少々短いと思いましたが、
それでもなかなか面白かったです。
N響定期のパンフレットにも比較的最近の研究で、
ビゼーの歌劇「カルメン」からの引用が
指摘されている旨が書かれてありましたが、
その部分も番組で紹介されていて
大変参考になりました。
「カルメン」の中の有名な「ハバネラ」の旋律が
第4楽章に用いられており、
劇中でその旋律につけられている歌詞
「気をつけろ(信じるな)」が、
ショスタコーヴィチの心の叫びを
表しているのではないか、というものです。
特にコーダで「ハバネラ」の旋律が奏でられる中
ラ音(「ラ」は古いロシア語で「私」を意味する)
が252回連打される部分は、
「私は(スターリンの)社会主義を信じない!」
という芸術家の信念を表明しているという解釈です。
ショスタコーヴィチの作品はどれも謎めいており
真相は分かりませんが、もし真実なら、
とてつもない気概と強かさを持った芸術家ですね。