前略、ハイドン先生

没後200年を迎えたハイドン先生にお便りしています。
皆様からのお便り、コメントもお待ちしています。
(一服ざる)

アルカン 25の前奏曲集

2010-03-21 20:50:12 | クラシック音楽
シャルル・ヴァランタン・アルカンという作曲家は
今ではあまり知られていません。

時代としては、ショパン、リストの少し後、
ブラームスとほぼ同時期のフランスの作曲家です。


ピアニストとしては非常に優れた人で、
ある本では「リストと並ぶ名手だった」とされています。
ただ、ひっこみ思案で公開演奏をすることが嫌いだったようです。

作品についても、作曲家のブゾーニは
「リスト以後のピアノ曲史上もっとも偉大な業績」
と語ったそうです。



どういう経緯でアルカンを知ったかは忘れましたが、
最初に買ったCDがこの前奏曲集でした。
ショパンの前奏曲集に影響を受けているようですが、
25曲は3つのグループに分けられており、
表題が付けられている曲も少なくありません。


ピアノ曲はあまり聴く方ではありませんが、
なんとも不思議な雰囲気の曲ばかりでとても気に入り、
その後もいろいろCDを買いました。
「48のモティーフ集」という小品も素敵な作品です。
(ローラン・マルタンというピアニストの演奏がまた素晴らしい)


アルカンが残した作品のほとんどはピアノ曲ですが、
かなり変な作品もあります。
「ある鸚鵡の死によせる葬送行進曲」という題の曲ですが、
四部合唱と3つのオーボエ、1つのファゴットという編成です。
かなり"変わった"人でもあったようです。


「ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン」では
練習曲「鉄道」という作品を聴く予定です。
走っている機関車を表現した曲ですが、
演奏が極めて困難な曲なので、生で聴けるのがとても楽しみです。

フランク 『ピアノ五重奏曲ヘ短調』

2010-03-17 20:56:23 | セザール君の作品
弦楽四重奏曲に続いて、フランクのピアノ五重奏曲ヘ短調を
聴きました。

この作品は晩年の傑作群の中では最初期の1879年に
作られました。


フランクの作品は総じて"渋い"ものが多いですが、
それでも交響曲などは終楽章は長調に転じて明るく締めくくられます。

ところがこのピアノ五重奏曲は違います。
言葉は悪いですが徹底的に"救いがない"というか、
最後まで暗いまま終わります。
初めて聴いたときは、かなり驚きました。


特に終楽章(第3楽章)は、何かに追い駆けられているような、
危機が迫りくるような恐怖感を覚えます。

"思索的"とか"叙情的"とか言われることもあるようですが、
私には"恐怖"、"危機感"という風にしか感じられません。
(もちろん「名曲」であることには違いないですが)


私のお気に入りの演奏、
ヤナーチェク四重奏団&エヴァ・ベルナートヴァ(P)が
特にそういう雰囲気だからかもしれません。
(録音の古さも影響しているかも・・・)




ところで、ピアノ五重奏曲というジャンルは、
モーツァルトもベートーヴェンも残していません。
ピアノ三重奏、ピアノ四重奏は書いていますのでちょっと不思議です。
「弦楽四重奏団+ピアノ」という編成が"奇異"に映ったのでしょうか?


その代わり、ロマン派に傑作が多いですね。
シューベルト、シューマン、ブラームス、ドヴォルザーク、
フォーレ、フランク、ショスタコーヴィチ・・・。
(シューベルトの作品は「弦楽四重奏団+ピアノ」という編成ではなく、
第2ヴァイオリンの代わりにコントラバスが入っています)

しかも、フォーレを除いてみな1曲づつしか書いていません。
(と思います。初期の習作は除きます)


ベートーヴェン以降、弦楽四重奏曲は"内省的"というか
少し"堅い"ジャンルになりましたが、
ピアノ五重奏曲は親しみやすい?というか解り易い感じがします。



ピアノは"万能楽器"ですが、唯一「持続音を出せない」という
欠点があります(言うまでもなく弦楽器は持続音が大得意)。
ですから、一つの旋律を最初はピアノで、再現部では弦楽器で、
なんてやってくれますと結構うれしいです。
(非常に"ベタ"な手法かもしれませんが・・・)

こういう"ツボ"はドヴォルザークが外さないんですよね。

ハイドン先生のお言葉 「セザール君に会いました」

2010-03-15 22:11:51 | 先生のお言葉


ちょっとバッハ大先生に似てるね。

バッハ大先生を大変尊敬しているからでしょうか。
オルガンの即興演奏では「バッハ大先生の再来」と言われました。
リストさんからもお褒めの言葉を頂きました。

フランク 『弦楽四重奏曲ニ長調』

2010-03-15 21:46:56 | セザール君の作品
セザール・フランクの弦楽四重奏曲ニ長調を聴きました。


フランクはベルギー生まれですが、主にフランスで活動していたので
フランスの作曲家として見られています。

あまり目立たない作曲家ですが、大好きな作曲家の一人です。
学生のとき(1990年)に没後100年を迎えましたが、
全く話題に上っていませんでしたので、個人的に特集?しました。
(確かチャイコフスキー生誕150年とかとかぶっていたような)


現在、フランクの作品で演奏機会が比較的多い傑作は
皆、晩年になってから作られました。
それも、ピアノ五重奏曲、ヴァイオリン・ソナタ、交響曲と
それぞれ一曲ずつ、狙いすましたかのように・・・。

弦楽四重奏曲も一曲だけで、亡くなる年に作られています。
初演はフランクにしては珍しく好評だったようです。



ある作曲家の「最高傑作は何か?」という問いはかなり難しい問題です。
技巧的に優れている、時代を先取りしている、
美しい旋律がある、深い精神性、あるいは人気がある・・・、
どこに注目するかで違ってきます。

フランクの曲で最も好きな曲は、実は別の曲ですが、
「最高傑作」となると、この弦楽四重奏曲ではないかと思います。

晩年の作品の特徴となっている「循環形式」が
これでもかというくらい発揮されており、正に"集大成"といった感じです。


ただ、その分"長大"で"難解"といった感は否めません。
CDも何種類も持っていますが、どれも一長一短で、
個人的には満足のいくものはありません。

美しい旋律の表現は十分でも、
「循環形式」や対位法といった技巧的な部分の表現が明確でないと、
この曲の真価は明らかにならないと思っています。
(特に四つの楽器が均等に目立たないと・・・)



第4楽章は、その後で展開する主題を挟んで、
第3楽章、第2楽章、第1楽章の主題が順に回想されます。
まさにベートーヴェンの「第九」の終楽章を模したようです。
(一方、交響曲の動機は、
 やはりベートーヴェンの最後の弦楽四重奏曲第16番の
 動機との類似を指摘されています。)


コーダで第3楽章の旋律が浪々と謳われる部分を聴くたびに、
「どうだ!」というフランクのこの曲に対する自信の表れを感じます。

『美しき挑発 レンピッカ展』 Bunkamuraザ・ミュージアム

2010-03-13 18:46:35 | 美術関係
Bunkamuraザ・ミュージアムで
『美しき挑発 レンピッカ展』を観てきました。


タマラ・ド・レンピッカはポーランド生まれ、
アール・デコの時代を象徴するような女流画家です。


タマラ・ド・レンピッカの展覧会を観るのは3回目くらいです。
機会があれば必ず観に行っていますが、
最初に観たのは、もう30年近く前になります。

小学生のとき学校で無料のチケットが何枚かあったので、
友達と行きました。


小中学生くらいの"思春期"に感銘を覚えたものは、
その後の人生に大きな影響を及ぼすと思います。
少々極端かもしれませんが、
「美しいと感じるもの」「かっこいいと感じるもの」の基準が
その時決まるのではないでしょうか。
少なくとも私の場合はそうでした。


あの時、タマラ・ド・レンピッカの絵と出合ったのは決定的でした。
その後、ラリックやアール・デコ全般へと興味は広がり、
今もそれらは自分の中の「美しさの基準」になっていると思います。


艶やかで滑らかな陰影と曲線。ハッキリとした輪郭と色合い。
どこにあってもハッと目を引きます。
小学校の美術の授業で観る絵とは全く違っていました。

図録が欲しかったのですが、6,000円以上する豪華版で
小学生にはとても手が出ませんでした。
(大人になってから買いましたが)


でも、最も美しい「作品」はモデルのようなポーズで立つ
彼女自身の写真でしょうか・・・。




キャンディーを買いました。

この色(エメラルドグリーン?)が特徴的です。
展覧会場内に、この色をさり気なく使った長椅子がありました。
意図したものでしょうか?