セザール・フランクの弦楽四重奏曲ニ長調を聴きました。
フランクはベルギー生まれですが、主にフランスで活動していたので
フランスの作曲家として見られています。
あまり目立たない作曲家ですが、大好きな作曲家の一人です。
学生のとき(1990年)に没後100年を迎えましたが、
全く話題に上っていませんでしたので、個人的に特集?しました。
(確かチャイコフスキー生誕150年とかとかぶっていたような)
現在、フランクの作品で演奏機会が比較的多い傑作は
皆、晩年になってから作られました。
それも、ピアノ五重奏曲、ヴァイオリン・ソナタ、交響曲と
それぞれ一曲ずつ、狙いすましたかのように・・・。
弦楽四重奏曲も一曲だけで、亡くなる年に作られています。
初演はフランクにしては珍しく好評だったようです。
ある作曲家の「最高傑作は何か?」という問いはかなり難しい問題です。
技巧的に優れている、時代を先取りしている、
美しい旋律がある、深い精神性、あるいは人気がある・・・、
どこに注目するかで違ってきます。
フランクの曲で最も好きな曲は、実は別の曲ですが、
「最高傑作」となると、この弦楽四重奏曲ではないかと思います。
晩年の作品の特徴となっている「循環形式」が
これでもかというくらい発揮されており、正に"集大成"といった感じです。
ただ、その分"長大"で"難解"といった感は否めません。
CDも何種類も持っていますが、どれも一長一短で、
個人的には満足のいくものはありません。
美しい旋律の表現は十分でも、
「循環形式」や対位法といった技巧的な部分の表現が明確でないと、
この曲の真価は明らかにならないと思っています。
(特に四つの楽器が均等に目立たないと・・・)
第4楽章は、その後で展開する主題を挟んで、
第3楽章、第2楽章、第1楽章の主題が順に回想されます。
まさにベートーヴェンの「第九」の終楽章を模したようです。
(一方、交響曲の動機は、
やはりベートーヴェンの最後の弦楽四重奏曲第16番の
動機との類似を指摘されています。)
コーダで第3楽章の旋律が浪々と謳われる部分を聴くたびに、
「どうだ!」というフランクのこの曲に対する自信の表れを感じます。