老い生いの詩

老いを生きて往く。老いの行く先は哀しみであり、それは生きる物の運命である。蜉蝣の如く静に死を受け容れて行く。

言葉のチカラ

2022-04-04 07:51:02 | 老いの光影 第9章 捨石拾遺残日録


四年前の春、雪桜の景色だった

1869 聲が出る

コロナウイルス感染は、老人に大きな影を落とした。

「コロナに感染したら、大変だからおばあちゃん(おじいちゃん)外に出てはだめよ」、と
大人になった子ども夫婦から強く言われ、家に籠もる老人が増え出した。

足の筋力は衰え
顔の表情から生気が失せ
物忘れも出てきた。

ひとり暮らしのおばあちゃんがデイサービスで呟く。
「家にひとりで居ると、話す人がいないので言葉を忘れてしまう」
「こうして人と話すことで聲が出るようになった」

もうひとりのおばあちゃんは、
「仏壇の前に座り、仏壇の中にある夫の遺影に向かい、今日あった出来事を話している」

聲を出す。
他人(ひと)と話をする。
言葉の力は大きい。

愛を告白するのも
ひとを励まし奮い立たせるのも
言葉の力である。

人間の長い歴史の積み重ねを通し
労働により言葉が生まれた。



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