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季節の移ろいに写真を添えて発信します。

ロッセル塩 解けた謎

2009年09月19日 | 季節の便り
ウコン花


解けた謎
戦争末期校庭に山ブドウのつるがうず高く積み上げられて、つるを煮出した液体から何やら抽出していた光景を見た。
その産物は酒石酸といった、国民学校1年か2年生の記憶である、酒石酸という難しい名前を覚えていることすら不思議なことなのだけれど、国のための機密の任務らしいという強烈なインパクトがあったからだろう。

圧電素子という面白い性質を持つ物質がある、この物質に電気を流すとわずかに伸縮し、力を加えると物質に電気が発生する。
判り易く言えば音を電気に変え、電気を音に変えるすぐれた特性を持っている。

この特性を持つ代表的なものはロッセル塩結晶で、一時期マイクロフォンや、スピーカに盛んに使用され、私は就職先で扱った補聴器によってその存在を知った。

昨日 補聴器に関連する研究所の所内報で偶然その記事を目にした。
理科学分野で著名なその研究所は圧電素子の研究では群を抜いていたらしい
戦時下 日本軍は水中音響センサーとして良質の圧電素子、中でもロッセル塩の結晶を切望しており、研究所に協力を求めてきた

当時ロッセル塩はワインの製造過程の副産物である酒石酸を精製して作っていた、煎じつめればブドウが原料であったという。

敵の潜水艦の行動を探査する、水中マイクロフォンの肝心な部分は、あの校庭の得体のしれない液体から生成された酒石酸だったのだ。


コメント
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