チューリップの授粉のことをしきりに考えて花を見ているとき,思いがけなくヒメヒラタアブが葯に取り付いているのを発見。花粉を摂食しているところでした。
思いがけなくというのは,ふつうチューリップの花に昆虫がいるのを見かけることはないからです。実際,ネットで「チューリップ,花,昆虫」「チューリップ,受粉,昆虫」などのキーワードで検索しても,訪花昆虫はミツバチ辺りしかヒットしません。見かけ上は,ふしぎなほどに昆虫とは縁のない花のようです。
実際,わたしもこれまでに目撃した試しがありません。
しかし,チューリップという花の特徴を考えると,まず花弁の鮮やかだという点が浮かんできます。これは明らかに虫を呼ぶ道具になっているはず。次に品種改良は人手によって異品種の交配を繰り返します。オシベとメシベはずいぶん離れています。交配は自然界では昆虫に頼るほかありません。
こんなふうに考えてみると,チューリップの花と昆虫とのつながりについて謎が深まりばかり。
砺波平野のような広大な畑で栽培しているチューリップの場合,訪花昆虫はどのくらい見られるのでしょうか。そこでは結実は関心のない話題でもあり,早々に花を摘んでしまうので,地元の人すらそれを確認する機会は少ないことでしょう。それにしても,チューリップの花と昆虫との関係は気になります。
以上長い前置きになりました。それで,この度わたしがお目にかかった昆虫はとても印象に残ったのです。おまけに,時間をたっぷりかけて花粉を舐めていました。お蔭さまで,証拠写真をばっちり撮ることができました。その一部をどうぞ。
真上から撮りました。
口吻の様子がわかります。
ヒラタアブの例はけっしてありふれてはいないでしょう。ありふれていたら,よくよく見受けることができるはず。チューリップの花にはふしぎが詰まっています。