自然となかよしおじさんの “ごった煮記”

風を聴き 水に触れ 土を匂う

ジャガイモの種子,予備的発芽実験の試み(まだまだまだ)

2013-11-19 | ジャガイモ

11月14日(木)。芽生え第一号は,塊茎がどんどん膨らんでいます。土が持ち上がり,割れ目が大きくなり,という感じです。塊茎に小さな葉が付いていることも見逃せません。

 

子葉脇から出たストロン(A)がいちばん膨らみますが,その上にある本葉脇から出たストロン(B)もまた膨らんでいます。たぶん,土をかけたらもっと膨らむでしょう。本来のイモは,やはりA位置にあるものが地中で成長するというのが本筋かと思われます。

 

芽生え第二号は,地中の塊茎から小さな葉を見せています。それに塊茎の色が緑がかっています。かける土の量が足りなかったのでしょう。

 

播種から始めてこの時点まで観察を続けてきました。継続観察をとおして,はっきり導き出せる栽培ポイントがあります。それは,『ジャガイモを栽培する際は,手入れとして人為的に根元に土をしっかり被せることが大事である』ということです。種イモを植える場合も播種する場合も,まったく同じです。どうやらストロンは,土を押し分けて地中に潜るほどの力を持ち合わせていないようです。

 


キアシナガバチのからだ

2013-11-19 | 昆虫

ハチが一匹,家の廊下でじっとしていました。気温が下がってきたため,動きが鈍ってきたのでしょう。よいチャンスと思い,クローズアップで写真を撮ることにしました。

写そうとして触ると,ゆっくりながら歩いたり,からだを動かしたりします。これでは思うような画像が得られません。それで,申し訳ないと思いつつ,動きをできるだけ抑える作戦を執ることにしました。その作戦とは冷蔵庫に短時間入れるというもの。

動きのうんと鈍ったところで全身を撮りました。色彩やかたちが手に取るようにわかります。胸と腹の間のクビレは,いつ見てもふしぎなほどの細さです。頭・胸・腹の分化が非常に進んでいる様が理解できます。胸に付いた脚と翅から,胸が運動器官として極めて重要な役目を果たしていることがうかがえます。頭を覆うかのような目。その性能は相当なものなのでしょう。

 

仰向けになったところを撮りました。撮っているときに,尻の先が開いて針のようなものが度々出てきました。毒針でしょうか。 

 

頭部を見てみましょう。 複眼には個眼が並んでいます。複眼の上部に,三つの単眼があります。成体の単眼は光を感知する機能があるといわれています。昼光性の昆虫は単眼と複眼を駆使して,環世界に反応しながらからだの向きを巧みに調整しているらしいのです。 

アップで撮ると,からだが鎧で守られていることがよくわかります。

 

次に,前から撮りました。わたしの指の動きに敏感に反応しました。触覚はまったく堂々たるものです。匂いを感じるほか,育房をつくる際寸法を測る役目を果たしているといいます。 

 

 

おしまいに,強力な武器である顎にピントを合わせて写しました。獲物を捕らえるほか,巣をつくるときに朽木の皮などを砕くのに使われます。いかにも,凄みのある姿をしています。

 

撮影が終わる頃になると,体温が上がってきたようで,元気を取り戻しました。こんなわけで,冷蔵庫作戦はバッチリうまくいきました。   

 


富士遠望

2013-11-18 | 日記

11月18日(月)。

所用があって,日帰りで東京に行ってきました。この日,東京は雲一つない快晴。気温は高めで,最高気温20.1℃。風が強く吹いていましたが,快適な天気でした。

朝,新幹線の車中から見えた富士がなんとも見事でした。思わず,「わぁーっ!」と呟いていました。雪を頂いた山頂が,薄雲の上からすっくと突き出ていました。よく見ると,稜線がうっすら裾野まで確認できました。あの頂きに,20年前に登ったことが懐かしく蘇ってきます。何しろ,酸欠で体調を崩してしまったのですから。 

 

夕暮れ時,立ち寄った親戚宅の二階から富士の山頂を見ました。西日を受けて,鈍く光る姿はやはり雄大さを感じさせました。 

 

東京なんてめったに行けません。今日の天気に感謝。大自然からの贈り物に深謝。世界文化遺産に登録された年の秋,こんなすてきな姿が遠望でき幸せでした。

 


ハナバエのからだ

2013-11-18 | 昆虫

ツワブキに来たハナバエがとても印象に残ったものですから,しっかり写真に撮っておこうと思いました。というのは,丸一日そこにいて,ほとんど動かず,動いても同じ花だけ。辛抱のいいことです。寒いので,動きが鈍いと解釈すればそのとおりなのでしょう。

 

からだのあちこちに,花粉がしっかり付いています。 背中にも付いているのですから,オシベを掻き分けるようにして好物を口にしたと思われます。

 

頭をこちらに向けたときに, タイミングよく撮れたものが下写真。これはもう,“仮面ライダー”ですね。

 

トリミングして目を拡大してみると,個眼がきれいに並んでいるのがわかります。 ふしぎなほど整然と配列されています。

 

時々,口吻や脚をきれいにする行動が観察できました。脚を真っ直ぐ前方に伸ばして,入念な手入れです。動作を見ていると,ハエ自身としてはとても清潔好きなようです。なにしろ味覚がしっかりはたらいて,そうして栄養分がしっかり口にできないとお話になりませんから。 

 

ハナバエがぐるっとからだを回しました。肛門がこちら向きになった一瞬に撮ったのが下の写真です。毛で覆われてたいせつに守られています。斑点模様も立派なものです。 

 

見ていると,突然肛門から透明な液体が一滴排泄されました。時々見かける風景なのですが,ゆっくりした動作の中でこそ,味わえる一瞬です。わたしには衝撃的な写真となりました。この液はいったいなにものか,さっぱりわかりません。無駄な液体を体外に出しているのでしょうから,マアいってみれば,オシッコなのかもしれません。病原体が詰まっているのでしょうか。 

 

じっくり観察してはじめてわかる生態・しくみといったものがまだまだ隠されているのでしょう。 わたしにはそれが見えていないだけでしょう。そう考えると,観察の魅力が尽きることはありません。

 


ダンゴムシと送粉

2013-11-17 | 生物

ふつう目にすることがないためにほとんどその実態が見えない暗闇の世界。そこで活動する虫たちに多少の興味があって,我が家の前栽に咲くツワブキを観察しました。

すると,とても驚く世界が見えてきました。その一つをご紹介しましょう。

夜,懐中電灯を手にそこに行ってみました。すると,黒っぽいものが花に付いていました。「なんだろう」と思って,メガネを付けてようく見ると,なんとダンゴムシでした。わざわざ花に取り付く格好をしていました。ということは花,つまりオシベ・メシベに関心をもっていたはずです。

懐中電灯で照らして写真を撮っていたら,光を感じて退散していきました。 

 

時間が経ってからもう一度行ってみると,一つの花にダンゴムシが二匹付いていました。 よほど関心がありそうです。

その近くの花に,別の一個体がいました。その格好のスゴイこと! 逆立ちそのものです。花との関係を考えざるを得ない姿! 頭を花の中に突っ込んで,脚はオシベをつかんで,というふうだったのです。 花粉を食べていたのでしょう。 

 

ダンゴムシのこうした動きは,送粉になにがしか役立っているのではないでしょうか。そう思って調べると,なんとダンゴムシはハランの送粉虫としての側面を持つのだとか。我が家にもハランがあります。ダンゴムシとハランとのこの関係,知らなかったー!

夜の生きものを観察したことで,新しい事実が見えてきました。「ほっ,ほーっ」の世界です。

 


雨模様のキクを訪れた昆虫たち

2013-11-17 | 昆虫と花

キク科植物の花は秋の代表。我が家の庭でも,キクやツワブキが咲き誇っています。小雨が降ったり止んだりする一日,花を観察していると,結構虫たちが集まってきています。からだをすこしぐらい濡らしても,へっちゃらという感じです。あるいは,よほどのごちそうがそこにあるのでしょう。

ハナバエの仲間が来ていました。体長5mm。口吻を伸ばして蜜を舐めていると思うと,すぐに口吻の掃除にかかったりしていました。

 

名はわかりません。シマバエの一種でしょうか。 透明感のある褐色をしたハエが,夢中になって蜜を舐めていました。とても小さいので,目を凝らさなくてはその存在がわからないほどです。 

 

ホソヒラタアブは常連です。 これはオスの個体。

 

ヤガ科の一種と思われるガが一匹,じっとしていました。もちろん,蜜を吸いに来たのです。 

 

ツワブキにハナバエが一匹。複眼が濡れて,からだに花粉が付いて。 じっとそこにいて,離れようとはしませんでした。

 

すこしぐらい天気が悪くても,匂いと色とで,キクはなんとか虫を誘おうとしています。これらの昆虫はこの作戦にうまくのってくれました。種子をつくって種族を維持しているためには昆虫の“手”を借りなくてはならないのです。 

 


ナシケンモン(梨剣紋蛾)の幼虫が!

2013-11-16 | 昆虫

夕食の献立でカレーを作ろうと思い,畑にニンジンを採りに行きました。すると,葉に何か蛾の幼虫らしい毛虫が付いてじっとしていました。よく見ると,脱皮後で,すぐ傍に脱いだばかりの殻がありました。

体長が1cmばかりなので,特徴が肉眼ではよく確認できません。それで,家に持って入って撮影することにしました。

ファインダーを覗いてびっくり! 小さいのに,なんと立派な毛をそなえていることか! 頭を見ると,堂々とした顔つきをしています。

 

 

こういうときは,とにかく,動きや変化に細心の注意を払って観察することにしています。それで,「この後,どんな行動をとるのか」と気にしながら,ときどきファインダーを覗いて確認しました。脱いだ皮を食べるのではないか,毛があるとどうするか,そんな単純な問いを感じていたのです。 

しばらく時間が経って見ると,おもしろいことに,からだの向きを逆にして,殻を食べていたのです。これで納得です。大きな顎とその動きが確認できました。センチの世界に,動物一般に共通した食餌行動が当たり前のように存在しているわけです。タンパク源を無駄にしない動きに脱帽です。「ほっ,ほう!」です。

こんな発見があり,カレーの味はまた格別でした。翌朝,幼虫を畑のニンジンの葉に戻してやりました。ニンジンを食べる害虫ではありますが,ほんの一匹だし,畑の持ち主として困っているわけでもないし。

このケムシの特徴である体側の色や斑点,また束になって生えている白い毛を判断材料にして名を探すと,どうやらナシケンモンらしいです。食草についてはたいへん適応性があって,いろんな草や木の葉を食べるということです。

 


イチジクの実と昆虫と(後)

2013-11-15 | 昆虫と花

品種改良の結果,栽培種ではメバナだけを持つ品種が多いそうです。国内で栽培されている品種は昆虫による受粉を必要とせず実を結ぶもので占められているとか。そうなら,専門用語で単為結果性の持ち主ということになります。セイヨウタンポポ,キュウリ,バナナなどの結実と共通しています。そうすると,栽培種のオバナはどうなっているかという話になりますが,退化して本来の役割を果たせないようになっていると思われます。

ここでは,そこまで考慮して話を進めていくとややこしくなりますので,以下野生種を念頭に置き,イチジク元来の生殖法に基づきながらみていくことにしましょう。

下写真は,目が開き始めた時点の花嚢を割って撮りました。オバナ・メバナともに赤みがかっているのは,生殖過程がそれなりに進んでいるからとみてよいでしょう。

 

三裂している実を見つけました。裂けるのは,熟してきているからです。赤みといい,その熟し方といい,白かった頃とはずいぶん違ってきました。メシベの先“花柱”が黄色くなって,倒れたり縮んだり。種子も見えます。

 

花嚢の先に開いた目を見てみましょう。 イチジクは虫媒花なので,ここから昆虫が出入りするのです。狭い目から入る昆虫はどんなものかと想像してしまいます。おまけに,目の構造を見ると,一旦入るとなんだか出にくいように見えます。鱗片が爪のように並んでいて,怖そう!

 

とにかく,昆虫が入るお蔭で受粉が行われ,結実します。イチジクを食べると,口にプチプチした粒が残ります。この感触を与える正体こそ,種子です。種子の様子はクローズアップ写真を撮れば,手に取るようにわかります。 黄色で,萎びた細長いものは花柱です。

 

イチジクには,昆虫が訪れます。大きなものでスズメバチがいます。子どもの頃,イチジクを採りに行ったとき,たくさんのハチがいた思い出が懐かしくよみがえってきます。考えると,そんな危険を冒して実をもぐとは,まことに怖い話です。熟して甘い糖分が露わになっているのですから,ハチには格好の食糧になっていたわけです。似た場面は,その後何度も見てきました。しかし,スズメバチは糖分を一方的に得るだけで受粉には貢献していません。この食餌行動は樹液にあつまる姿と重ね合わせると,理解できます。

まだ若い実に,ショウジョウバエぐらいの大きさのハエがよくいます。こうした類いの昆虫こそが,本来イチジクが招きたいものなのでしょう。イチジクとの相性がよいのはイチジクコバチというハチらしく,花嚢に棲み付いているとか。それが受粉に一役買っているのです。わたしが見たのは栽培種なので,イチジクコバチではないのかもしれません。 

この間,下写真のようなカに似た昆虫を見かけました。糖分を舐めに来ただけなのか,それとも種として受粉に多少なりとも貢献する役目を受け継いでいるのか,それは不明です。余りにも小さいので,レンズを通してやっとその存在に気づいたほどです。ちっとも慌てず,悠々とした動きでした。 

 

もう一匹,見つかりました。 

 

成熟する前の果実,つまり花嚢に入っていたのですから,なんらかの目的をもってやって来たのでしょう。

イチジクはまことにふしぎな果実を持つ植物です。  

 


ブナ帯の森林更新(前)

2013-11-15 | 植物

古い記事ですが,アップしないままになっていましたので,載せることにします。今秋登った大山にちなむ記事です。新聞によれば,11月12日に初冠雪があったそうです。みごとな紅葉風景とともに紹介されていました。


 

大山山麓はブナの見事な森林地帯になっています。一本一本の威風堂々とした姿といい,枯れ葉に覆われた根元一帯の瑞々しさといい,梢から射し込む日のきらめきといい,目に映るすべてがまるごと絵になっています。樹間をさわやかに吹き抜ける風が肌にやさしく触れ,葉ずれの音が耳に心地よく届いて,小鳥のさえずりが軽やかに響くと,気分を生き生きとしてくれます。ブナ林は生気に満ちています。

ブナの成長に,登山道からほんのすこし目を向けると,「ほほうっ!」と感じ入る発見が続きます。そんな話題をちょっとばかり。

 

幹の周りがおとな二人,三人両手をつないで測るほどの大樹に育つと,さすがに大したもので,根は地表にこんなに現れています。しかし,本来は土をしっかりつかんでいるはずのもので,たまたま道になったためにこんな姿になったのです。すべてのブナの根の様子を推測するのに,まことに見事な見本だといえます。

 

一本の大樹だと,根毛まで入れるといったいどれほどの根が付いているのやら。それらをつなぐと,どのくらいの長さになるのやら。地球一周をはるかに超すのじゃないでしょうか。

 

この根は,からだをどっかと支え,水分と栄養分を地中から吸い上げるたいへんな役目を果たしています。一日に吸い上げる水の量,蒸散する水の量は相当なものでしょう。しかし,ときには大自然の力には抗しきれない事態が生じます。すると,枝が折れたりからだ全体が根こそぎ倒れたりすることもあります。

ここにも。

 

あそこにも。中には,寿命が来て自然の摂理として倒れてゆく木もあります。

 

やがてこのからだにコケが生えて,蔦が登って,キノコが生えてというふうに,他の植物に格好の生育環境を提供することになります。 

 


イチジクの実と昆虫と(前)

2013-11-14 | 昆虫と花

せっかくなので,イチジクの話をしましょう。せっかくというのは,我が家のミニ果樹園でイチジクが育っていて,今年初めて実が実ったからです。今も,名残りのような感じで実が付いています。

イチジクはよく知られているように,漢字で“無花果”という文字を充てます。実を見ても花が咲いているように見えない果物という意味です。実際,外からは花がまったく見えないふしぎな実(花嚢)です。そうかといって,割って観察しても花らしい花は存在していません。実を縦に割ると,花嚢の内側に細長い器官びっしり密生しています。この一つひとつが花であり,イチジクの花嚢には小花がぎっしり詰まっているのです。

しかし,イチジクの花はことばほどに単純なしくみではありません。花嚢の先にぽっかりと“目”と呼ばれている穴が開いていますが,この目の直近にはオバナが,それ以外にはメバナが密集しているわけです。つまり,雌雄異花でありながら,同一花嚢内に存在するという変わり種なのです。メバナの先にある花糸が所狭しと並んでいます。

 

花嚢の内部を覗いてましょう。メバナがなんと行儀よく並んでいることでしょうか。子房と花柱が林立して,踊っているようにさえ見えます。

 

やや時間が経った花嚢を見ると,花柱の先が褐色を呈しています。まだ役目を終えたようには見えません。

 

別の花嚢を見ると,こんなに赤っぽい色をしたメバナがありました。種子になる前の胚珠が褐色をしています。ぎゅうぎゅうに詰め込まれている様子が印象的です。

 

先端付近を見てみましょう。オバナが見えます。先は丸くなっています。中に,葯が収納されているのです。メバナの数と比べると,雲泥の差です。

 

これが熟した後と比べてみましょう。イチジクは虫媒花なので,目から昆虫が出入りしたことが一目瞭然です。狭い目から入る昆虫はどんなものかと想像してしまいます。おまけに,目の構造を見ると,一旦入るとなんだか出にくいように見えます。訪花昆虫には簡単には出ていってほしくないというメッセージなのでしょうか。鱗片が爪のように並んでいて,怖そう! 

 

オバナをよくよく見ると,丸みを帯びた花被片の傍に黄色い葯がいくつか確認できます。